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渡辺浩弐が訊く!人気ゲームの舞台裏 Vol.1

『モンスターハンターポータブル 3rd』プロデューサー 辻本良三

『モンスターハンターポータブル』シリーズの進化と拡大に立ち会い、最新作『3rd』で社会現象と呼ばれるほどのブームを巻き起こした辻本良三プロデューサーの素顔に迫り、現代人を惹き付けるこのゲームの魅力、その秘密を明らかにしていく。

むしろ大事なのはもっとアナログなこと、チーム全体がわいわい楽しくやり続けていることです。

プレイするたびに、心の底から不思議な懐かしさが湧き上がってくる。そこが、このゲームが他のRPGやアクションゲームと違うところだ。
こんな世界に実際に行った経験があるはずがない。なのに、「懐かしい」のである。
温泉、だろうか。主人公が拠点にしている、温泉が湧く村のたたずまいのせいなのだろうか。
あちこちから噴き上がる湯気。狭い通りを、村人や行商人に混じって往来する家畜。店先まであふれ出している原色の果物。丘を上がれば、そこに農場が広がる。
いや、この映像にも実は見覚えはない。これは僕たちになじみの深い地方観光地の温泉町ではない。ぎらぎらした喧噪をも感じさせるその風景は、むしろ東南アジア……タイやインドネシアあたりのそれも山奥の田舎村を想起させる。
そんな拠点から一歩外に出ると、そこからは冒険の世界。緻密に描写された大自然。
うっそうと深い緑の奥に生き物の黒影。そこから白い眼光。
もやもやと黄色い風。褐色獣の気配。
どろどろと赤く流れる溶岩。
そういう色彩の全てが、恐怖と同時に、根源的な欲望、例えば食欲を刺激するのだ。ものすごく恐いのに、なぜか惹かれる。激しく心をかき立てられる。頭が冴える。危険を顧みず、その道を分け入りたくなる。
今、日本中で、何100万人もの人々が、この同じ場所に入り込み、我を忘れている。人は、そして僕は、なぜこの世界に、『モンスターハンターポータブル 3rd』に、惹かれるのか。
そこを知りたいと思った。

渡辺
まずはお疲れさまです。大ヒットおめでとうございます。
辻本
ありがとうございます。
渡辺
開発にはどれくらいの年月がかかり、どれくらいの人々が関わったのですか。
辻本
期間は2年半くらいですかね。スタッフは多い時には100名を超えることもありました。
渡辺
大人数で、長期間にわたって作るビッグタイトルならではの難しさがあったと思いますが。
辻本
このゲームは、個々のディテールが他の部分にも深く関わっているということがかなり多いんです。例えば一個の武器のパラメーターをほんの少し変えただけでも、それはゲームの全体に影響したりとか。その武器のポジションが変化しまったりするわけなので、バランスを取るために同時に他の武器も、あるいはモンスターのパラメーターも変えないといけなくなるわけです。
渡辺
一人のスタッフが小さな一カ所を直したら、それが別の人が担当している別のパーツにも影響するから、同時にそこも直さなくてはならない、さらにそこに関係する別の……と、部分と全体を同時に進行させる作業ですね。そういうことを、3人くらいのチームだったらわかりますけど、100人もの大所帯で続けていくのは相当に大変だったと思います。
辻本
一人の担当者だけが知っている、というようなことが一つでもあると、全体的には大きな歪みとなります。だから絶えずコミュニケーションを取って情報共有もしていくというところがものすごく、重要になるんですね。
渡辺
うーん、難しそうです。100人が一つの脳を共有するみたいなことですね。それはイントラネットを活用したりするわけですか。
辻本
むしろ大事なのはもっとアナログなこと、チーム全体がわいわい楽しくやり続けていることです。賑やかに、楽しく作る雰囲気がまず第一です。こっち変えたいんで、じゃあ、こっちも変えないと、じゃあ、ここはこうするよ、といった会話が必要なんです。
渡辺
最先端のデジタルコンテンツの制作現場で、大事なことはアナログな雰囲気、という話はとても面白いです。
辻本
やっぱり楽しくやっている時の方が、雑談の中で良いアイデアが出たりするんです。みんなで他愛もない話をしている時に、ある人の何気ない話の中から別の人が大事なアイデアを拾ったり、それが実際にゲームの中で使えたり、そういうことが本当にたくさんあるんです。
渡辺
なごやかな現場、いいですね。けれど、100人もの人間が2年半も顔を突き合わせて夜昼なく働いていると、だんだん人間関係ぐちゃぐちゃになってきませんか(笑)。
辻本
長年一緒にやっているメンバーなので、お互いのやり方も人となりもよく知っていますから、実は揉めることはほとんどないんですね。喧嘩とかあったでしょう、みたいなことをよく聞かれるんですけど、本当にあまりなくて、和気藹々としてるんです。
渡辺
すばらしいチームですね。
辻本
そうですね。これはディレクターの一瀬泰範のおかげでもあると思います。賑やかに楽しく作る。そういう雰囲気の中で開発していくというのが、彼の考え方というか、コンセプトでして、それがチームカラーにもなっているんです。僕はディレクターとコミュニケーションを取っていれば自然と他のメンバーとも繋がっていられるという安心感が常にありました。
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渡辺 浩弐(わたなべ こうじ)
1962年生、福岡県出身。作家。小説の他、マンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著書『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』他。
辻本良三(つじもと りょうぞう)
1973年生、大阪府出身。1996年カプコン入社。『モンスターハンターポータブル 2nd』よりシリーズのプロデューサーを務める。
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