プレイステーションで、Spotifyと遊ぼう
Free Soul / Cafe Apres-midi Special Site

Special Interview

橋本徹(SUBURBIA)監修・選曲によるミリオンセラー・コンピ・シリーズ『Free Soul』と、「午後のコーヒー的なシアワセ」をテーマに編まれた大ヒット・コンピ・シリーズ『Cafe Apres-midi』がSpotify available on PlayStation™Musicに登場!

スタートを記念して、橋本徹さんのスペシャル・インタヴューをお届けします。

Spotifyでのセレクションを広大な音楽の海を公開していく上での羅針盤に

――最近のサブスクリプション・サービスの充実ぶりは本当に目覚ましいものがありますが、いよいよ満を持してSpotifyが日本上陸しましたね。PlayStation®4(PS4®)、PlayStation®3(PS3®)でも、PS Musicを通じて、世界最大の音楽ストリーミング・サービスSpotifyが楽しめるようになりました。

さまざまなライフスタイルに対応した、いろいろな可能性を持ったメディアだと思うんですが、ここでは音楽好きの視点から話していこうと思います。まずは4,000万曲以上というSpotifyの音源の豊富さと、それが基本的にフリーミアム(無料サービスもしくは月に980円でプレミアム会員のサービスが受けられる)というのが、なんといっても魅力ですよね。

橋本 そうそう、自分の学生時代だったら考えられないですね!
レコードやCDを買う人たちは、試聴という意味合いでも重宝するSpotifyを使えば、より好きなものを的確に買えるから、欲しいものが増えすぎちゃうかもしれないけど(笑)。
もう今から30年くらい前の話だけど、当時は中身のよくわからないレコードを、自分なりに勘を働かせながら一生懸命買って、少しずつ音楽地図を広げていったんですね。それが今の人たちは、すでに目の前に広大な音楽の海が広がっているんですよね。

――ビートルズの音源が全部並んでいて、しかもそれを好きなときに好きなだけ聴くことができるというのは、ちょっと信じられないですね(笑)。

橋本 その海をどう航海するかは個々人の自由に任されているわけですが、やはり羅針盤が必要(大切)だとは思うんですね。そういったものを、僕がアナログな時代から培ってきた音楽への愛情や知識、センスというものを駆使して、プレイリストとして提示する場を与えてもらったというのは、今回とても嬉しく思います。

――実際、こういうサービスを使い始めたときって、まずは「自分が好きな曲やアーティストは入っているかな?」って検索しますよね。ただ、その次に何を聴いていいのか迷うんですよね。そのときに橋本さんのキュレーションというのはとても大きな示唆を与えてくれるものだと思います。

橋本 そうありたいですね。航海というたとえで言うと、以前に見た美しい景色を見に行きたいという航海もあるだろうし、まだ知らない新しい景色を見てみたいというそれもあると思うんです。だからSpotifyで僕が提案していくプレイリストは、そのどちらにもアプローチできるものでありたいと思っています。

フリー・ソウルとカフェ・アプレミディのプレイリストが続々と公開

――Spotifyのローンチに合わせて「Free Soul 500」「Cafe Apres-midi 500」、それから「Free Soul Stevie Wonder」「Free Soul Sade」「Free Soul D’Angelo」「Carole King for Cafe Apres-midi」「Kenny Rankin for Cafe Apres-midi」「Everything But The Girl for Cafe Apres-midi」がPlayStation™Music Japanオフィシャル・アカウントにて公開されましたね。

前者2つはフリー・ソウルとアプレミディのエッセンスを知るのに最適かつ心地よいBGMとしても最高ですね。後者6つはそれぞれを代表するようなアーティストにフォーカスしたベスト的なプレイリストで。

橋本 今回、世界中のリスナーを想定して選曲ができるというのも僕の中で大きなモティヴェイションになっていて。やはり1億人以上ユーザーがいる中で、フリー・ソウルやカフェ・アプレミディの可能性が広がっていくというのがとても楽しみですね。
だから、過去に300枚以上作ってきたコンピレイションCDを改めて再現することも含めてやっていきたいと思っているんです。20年以上の間、日本の音楽業界に身を置いて、CDというフォーマットをメインに選曲してきたわけなんですが、それをサブスクリプションに置き換えるという作業も、新しいセレクションと並行してやっていきたいと。
あるいは過去にコンピレイションを組んだアーティストも、80分という時間の縛りがないので増補版というような感じで公開していけたらいいですね。過去のコンピレイションは廃盤になってしまっているものも多いですし、配信で手軽に聴けるようになるのは大きな意義のあることだと思っています。

――Spotify available on PS Musicの前、ソニー・コンピュータエンタテインメント(当時)はMusic Unlimitedというサブスクリプション・サービスをやっていたんですよね(2015年3月30日に終了)。「Free Soul 500」「Cafe Apres-midi 500」をはじめとするプレイリストも、そこで公開されていた選曲をアレンジしたもので。

橋本 そうですね。Music UnlimitedでFree SoulチャンネルもCafe Apres-midiチャンネルもおかげさまで大人気だったんですが、またPS Musicを通じて Spotifyというプラットフォームを得て、より多くの方に楽しんでもらえたら嬉しいと思っています。
フリー・ソウルもアプレミディも今回の500曲は、Music Unlimitedのときに選曲してSpotifyにもあった音源の中で、特に初めてのリスナーに対して挨拶代わりになるもの、魅力が伝わりやすいエッセンシャルなものというのを意識して選んだんですが、これからはSpotifyにしかない曲の中で、それらと同じくらい吸引力や希求力がある曲を選んで、季節ごとに入れ替えていきたいと考えていますね。

――フリー・ソウルのコアなファンは、僕みたいに1970年代生まれという人が多いと思うんですが、アンダーソン・パークやKINGなど現在進行形の楽曲が収録された橋本さんの最新コンピレイション『Free Soul~2010s Urban-Jam』は、若い世代からの反応もとても良いですよね。そういうところをきっかけに、世代をこえた新たな航海がSpotifyで始まることもありそうですよね。

橋本 「好きな音楽を好きなときに好きなだけ」というコンセプトだからね。未知の音楽に興味はあるけど、聴いたことがないという人にとっては、本当に入り口として素晴らしいと思います。言ってしまえば真夜中でも行けるジムやヨガ、家でやれる習いごとみたいなもんだよね(笑)。

――思いついたときにパパッと検索できるのが便利ですよね。10代の頃にディスクガイドや音楽雑誌を読んでいると、例えば表題になっているアルバムだけではなくて、文章の中でもたくさんの曲やアーティストが紹介されていたんですが、今ならそれをひとつひとつ聴きながら読むこともできるし、とても楽しめるな、と思いました。

橋本 そうだね。その先には素晴らしい音楽の果てしない世界が待っているので。

多彩でスピード感あふれる新規プレイリストの制作

――フリー・ソウルやカフェ・アプレミディのプレイリストから検索して、それぞれアーティストやレーベルの個性に気づいていくこともできますよね。今後は新規のプレイリストも公開されていくということですが、どのような感じのものになりそうですか?

橋本 コンピレイションだと『Free Soul~2010s Urban』という現在進行形のメロウ&グルーヴィーな音楽を集めたシリーズだったり、CDもおかげさまでヒットした『Free Soul 90s』あたりは、より多くのリスナーの方が興味を持っているもの、求められているものという感じがするので、まず最初に作るんじゃないかな、という気がしています。

――なるほど。橋本さんの仕事は、60~70年代を中心とした過去の知られざる名作のアーカイヴ的なものがパブリック・イメージ的には強いと思うんですが、熱心なファンならご存知のように同時代の音源を使ったものも多いんですよね。最近だと「2010s Urban」とか「Good Mellows」のように。それがプレイリストになることで、より敷居も低くなる気がして大歓迎です。

橋本 より厳密に言えば、「2010s Urban」や「90s」はリスナーの方に求められているんじゃないかという感じが強くて、「Good Mellows」に関しては僕の方から積極的に提案していきたいテイスト、という感じですかね。

――橋本さんは以前Music Unlimitedで、エリカ・バドゥやQ・ティップのプレイリストも作られているので、今ならロバート・グラスパーとかその周辺のミュージシャンの作品をまとめたものなんかは求められているんじゃないでしょうか。

橋本 そうかもしれないですね。例えば『Free Soul~2010s Urban-Jazz』で紹介したような現在進行形ジャズの充実だったり、今のLAやシカゴのシーンの活況だったり、そういう細かな熱いトピックを映したものや、フェスや来日アーティストに合わせた時事的なトピックのあるものも、提供できるといいなと思っています。やっぱりコンピCDよりもはるかに音楽を聴いてもらうまでに必要とするスピードが短いですからね。

――単行本なのか、あるいは週刊誌や新聞なのかの違いですよね。

橋本 ある意味、日記代わりのようにプレイリストは無限に作れるんですよね。CDだと選曲して権利をクリアしてアートワークを起こしてマスタリングして……という作業を経由してようやく制作が終わり、それからプレスや印刷なわけで、何か月かのタームで1枚のCDができるんだけど、プレイリストに関しては短い時間で届けることができるのがメリットだと思います。

タイムリーにしてタイムレスな選曲で音楽の桃源郷への旅へ

――今の話を聞いていて、リスナーとして期待値がどんどん高まってきました(笑)。

橋本 今までの切り口とは違うものもできるだろうし。極端な話、その週に買ったレコードでSpotifyにある音源を集めてみたりね(笑)。自分の一週間をメモ代わりにリスナーと共有することもできる。

――リスナー自身が作ったプレイリストもアップロードできますからね。そういうSNSを含めた共有性の高さはSpotifyの大きな特徴ではないでしょうか。あと、ちょっとここで触れておくと、Spotifyは音質の良さはもちろんですが、さまざまなデバイスで使える便利さがあって、 PCでもスマートフォンでもすごく操作性がいいですね。サクサク動くので、使っていてストレスを感じることがほとんどない。これは特筆すべき点だと思います。

橋本 そういう意味で言えば、僕のプレイリストで気に入った曲があったら、リスナーの方にもどんどんチェックして自分のプレイリストに入れてもらって、友達とかと共有してもらえたら嬉しいです。さっきの話とちょっと重なるんですが、セレクションを提供する側からすると、Spotifyというのは世界最大手のサブスクリプション・サービスで、選曲の対象も増え、1億人以上の人に聴いてもらえる可能性があるというのは、フリー・ソウルやカフェ・アプレミディの音楽が持っているポテンシャルの高さや普遍性がより生きると思うんです。

――どちらも詳しい言葉で説明する必要がないというか、聴けばもう良さが伝わるタイプの音楽ですからね。

橋本 そうそう。そういった音楽の根源的な魅力を伝えるにはいい媒体だと思いますね。

――フリー・ソウルというのも、当初はマニアックな音楽を掘り起こしてきた、というイメージが強かったですけど、今ではラジオでかかるのはもちろん、普通に朝のニュースやTV番組のバックで使われてますからね。それだけフリー・ソウルで選ばれた楽曲にポテンシャルがあったということでもあると思うんですが。

橋本 それは20年以上かけてやってきたことの成果であると同時に、その音楽がエヴァーグリーンだってことですよね。フリー・ソウルだけでなくカフェ・アプレミディもそうですけど、当初はレコードショップ/CDショップやクラブ・シーンからだったのが、いろいろな店や街の空間の音楽へと広がっていって。僕自身としては、自分の好きな音楽がいろんなところで流れたらいいな、という気持ちでずっとやってきただけなんですが、それが今度はスマートフォンやパソコンの中にも溢れてくるきっかけになったらいいなと思います。

――まさに無血革命ですよね。村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の中で「ジム・モリソンが死んで十年以上になるが、ドアーズの音楽を流しながら走っているタクシーにめぐりあったことは一度もない。世間には変化することとしないことがあるのだ。変化しないことはいつまで経っても変化しない」と書いてあったのを昔読んで、非常に印象的だったんですが、いやいやどうして、変化することもあるんだなあと今は思います(笑)。

橋本 そうだね(笑)。究極的なことを言えば、タイムリーにしてタイムレスな選曲をしたいってことなんですよね。

――だから安心して聴いてくださいと(笑)。

橋本 そうですね、もう自信をもってお勧めできますので。それぞれのリスナーの方がいろいろな方向に航海を続けて、最終的には自分なりの音楽の桃源郷に辿り着いてもらえたらと思います。

――SpotifyのCMでは「新しい音楽の旅」というフレーズが使われていましたが、それぞれの航海日誌をつけてほしいということですね。

橋本 僕流に言うなら「冒険者たちよ、音楽の旅へようこそ」という感じかな(笑)。僕はその水先案内人を責任をもって務めますから、という。

――はい、本当に楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました。

2016年10月12日 構成・文/ waltzanova

Profile

Special Interview

橋本徹 (SUBURBIA)

編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。サバービア・ファクトリー主宰。渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは330枚を越える。USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。

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