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作品が人の想像を超えたとき、そこに“面白さ”と“感動”が生まれると思うんです
 鯉沼 久史

コーエー入社! PS2の立ち上げを目の当たりに

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 コーエーが業績を高め、会社の規模を拡大するタイミングに、鯉沼さんの就職活動が上手くマッチ。大学4年の5月にはすんなりと内定が出て、翌年、鯉沼さんはプログラマーとしてコーエーに入社した。ところで、鯉沼さんはどんなゲームをつくりたくて、この業界に入ったのだろうか?

「昔から『ストリートファイターII』とか対戦格闘を好きだったこともあり、ずっとアクションゲームをつくりたいと思ってました。できれば2Dの。当時はもう『バーチャファイター』などの3Dゲームも出てきてましたけど、ゲームセンターで働いていた身としては、筐体が高価すぎたり、メンテに手間がかかるのが面倒で、あんまりいい印象を持ってなかったんですよね(笑)」

 しかし、その言葉からすると、歴史シミュレーションゲームの雄として名を馳せていたコーエーは、アクションゲームをつくる会社としては……?

「……と思いますよね。でも、逆に考えると、“今までコーエーが手がけたことのないジャンルだからこそ、つくらせてもらえるんじゃないかな?”という淡い期待が、私にはあったんですよ。しかも、入社してみたら、スーパーファミコンに日本ファルコムのアクションRPG『ブランディッシュ』を移植する開発チームができていたんですね。“あ、コーエーもアクションゲームをつくるんだ”と喜んだ私は、さっそくそのチームに入れさせてもらいました。それが、今の“ωフォース”の前身です」

 その後も鯉沼さんは、コーエーを代表するゲームの開発を、プログラマーとして次々と手がけることになる。中でも印象に残っているのは、PS2ハードと同時発売された『決戦』の開発だ。鯉沼さんは『決戦』のメインプログラマーとして、PS2という新ハードの誕生を目の当たりにする。

「PS2の立ち上げを体験できたというのが、今までの仕事の中でも特に強烈な印象として私の中に残っています。コーエーとしても、新ハードと同時発売でソフトを出すのが初めてでしたから、かなりしんどかった。でも、技術屋としてはとても面白い体験でした。開発の最終段階でデータが化けてしまうという不具合が起き、深夜3時にSCEさんとやりとりをしたのも懐かしい思い出かと(笑)。ムービーの量も半端じゃなく、総データ量がDVDに入る4Gギリギリまであったんですよね。最後はとても全部入りきらないと、スタッフロールなどの重要度の低いムービーは画面を荒くして、圧縮率を上げてようやく入れ込んだんですよ(笑)」

『決戦』スクリーンショット

『決戦』

『決戦II』スクリーンショット

『決戦II』

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鯉沼久史にとってのゲーム市場、現在と未来

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 プログラマーとして始まった鯉沼さんのゲームクリエイター人生は、辛さよりも楽しさが上まわっていると言う。楽しさの源は、「いかに周囲の予想以上の結果を出して、みんなを驚かせるか」。それは、鯉沼さんがプログラマー時代から、一環して保ち続けている、ゲームづくりのポリシーでもある。

「クリエイターの人はみんなそう感じていると思うんですが、自分の作品が人を驚かせたり、人の想像を超えた時に生まれるのが、“面白さ”や“感動”なんじゃないかと。そういう意味でも、ユーザーの方を含めて、他人の反応をいちばん気にしますよね」

 人の反応という意味では、コーエー初の他社コラボレーション作品となった『ガンダム無双』も、業界にさまざまな反応を巻き起こすタイトルとなった。鯉沼さんは、この作品でコーエー側のチーフプロデューサーとして活躍。そこで、彼は今までにない大きな刺激を受けた。

「バンダイナムコゲームスさんと初めてコラボレーションした『ガンダム無双』などはいい例ですが、やはり刺激的な作品づくりというのは大切だなぁと思いましたね。コーエーは人気作品の続編をつくる機会が多い会社ですから、スタッフのためにも刺激的な開発タイトルに触れさせてあげたかった。もちろん、自分としても、この業界に入ったからには、一度は『ガンダム』に関わってみたいという小さな野望はありましたしね(笑)。もしも機会があれば、またコラボレーションタイトルには挑戦したいですね」

 そして今後。コーエーの『無双』シリーズではないが、現在のゲーム市場はさまざまなハードが群雄割拠する戦場だ。その激しい戦場で、鯉沼さんはこれから、どんなゲームでユーザーを驚かせてくれるのだろうか?

「気になるのはネットワークですよね。今の次世代機と呼ばれるハードは、どれもネットワーク対応が前提になってますから、そこで、ネットワークを使った面白い遊びを何か産み出したいというのがまずありますね。あとは、携帯ゲーム機ですね。業界的には、据え置きハードの話題に隠れがちですが、PSP®もかなりの台数が普及してきていますし、みなさんの生活にもずいぶん溶け込んできているのは実感していますので、そこで何か仕掛けられないか。PSP®の利点はハードスペックの高さ。アクションゲームの再生もスムーズですし、ビジュアルに凝ったネットワーク対戦が可能であることは、すでに実証されてますので、カジュアルゲームではない本格的なゲームをPSP®に提供していければなぁと。個人的には、アクションRPGというジャンルに非常に興味があるので、いつかはアクションRPGをつくってみたいですね」

『ガンダム無双』

『ガンダム無双』

『激・戦国無双』

『激・戦国無双』

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2007年7月 桐山 佳子氏
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