私の夏休み、それも小学生の頃となれば、生まれ育った横浜・本牧というエリアそのものが懐かしい思い出である。
70年代の本牧は、大げさにいえば、半分は、日本人が入れない区域だった。
米軍住宅、入り口にはOFF LIMITの表示。ごみごみした我々の住宅街とは違い、フェンスの向こうには大きな庭付きの白い家が余裕の間隔で並んでいた。今考えれば、当時も「戦後」の時代だったのである。
夏休みは、とにかく遊んだ。自転車でどこまでも行った。
立ち入り禁止の埠頭に自転車で潜り込み、護岸壁をよじ登って海側のテトラポッドに降り、そこで鬼ごっこ。僕たちにとって、海とは、きれいな砂浜や海水浴場ではなく、すぐそばをタグボートにひかれた巨大なタンカーが通る本牧港のことだった。
堀割川にハゼを釣りに行くのも、工場跡地で野球をしに行くのも、伊勢佐木町の有隣堂に本を買いに行くのも、ある庭園にこっそり入ってザリガニを捕りに行くのも、いつも自転車が足だった。
開発が急ピッチで進んでいた時代とはいえ、自然はまだまだ残っていた。トンビが空を旋回し、キジバトの声はやむことなく、ウミネコも家のそばまで飛んできていた。
音、風、におい・・・、30年以上前のこととは思えない鮮烈な記憶。それは、小学生という多感で吸収力が旺盛な年頃であったが故のことだろう。その時代の出来事は、忘れてしまっているのではない。必ず頭のどこかに残っていて、なにかの拍子によみがえるものなのだ。
「ぼくのなつやすみ3」は、その隠された記憶を思い起こさせる装置である。
虫取り網を握りふった感触、素足で土の上を走った感触、冷たい川の水に足をつけた感触。
すべてが懐かしく思うとともに、その当時の自分自身が過ごした日々を重ね合わせることができるだろう。
そうだ、そんなことがあったんだ。
記憶が連鎖しクリアになっていく過去に、思わずほくそ笑む。
だから、わたしは、「ぼくのなつやすみ」の大ファンなのだ。






