
この国を訪れたなら、まずは覗いておきたいのが交易都市セラクレイブだ。
声海に面したこの都市は、想像を絶するほどの巨大な港を有し、毎日様々な品物が売り買いされて世界のどこかへと旅立っていく。
その活気あふれる様子を眺めるだけでも楽しめること請け合いだが、せっかく来たからにはお土産のひとつも買って帰ってもらいたい。
さて、あなたはどんなものが欲しいだろうか?
──というのも、このセラクレイブでは朝市、昼市、夕市といった具合に時間ごとに異なる場所で市場が開かれているのである。
さらにそれぞれの市場では、限定された商品しか扱っていないため、お目当ての商品を購入するにはしかるべき時間に、しかるべき場所へ赴かなくてはならないのである。
世界の珍しい食料品や酒、スパイスが欲しいなら朝市へ。
様々な民族衣裳や、少数民族の作るエキゾチックなアクセサリーをお望みなら昼市へ。
貴重な書籍から怪しげな手書き本など、書籍と絵画なら夕市へ。
日の出から日没まで、セラクレイブの町中にはぎっしりと屋台が並び、時間に合わせて場所を移動する者や、商品の入れ換えに追われる者など、その様子を見ているだけでも退屈しない。
では夜は?
露天や商店は軒並み店を閉めて、街は静まり返ってしまう。
だが──セラクレイブのどこかでは、闇市なるマーケットが存在していると、近頃船乗りたちの間では噂になっているのだ。
闇市では、手に入らないものはないと言われている。
失われたはずの宝石、某国王の首を刎ねた大剣、怪しい美貌の踊り子、そして……あまりにも強大な力を持ってしまったため、発行を禁じられたはずの召喚カード。
差し込む光が強ければ強いほど、足下に落ちる影が濃くなるように、生気と活気に満ち溢れたセラクレイブの影は、この闇市なのかもしれない──。

建国の聖人、聖トリトナがこよなく学問を愛したためだろうか。
細長いトリトナ女王国のほぼ中央、アルージア平原には世界最大規模の図書館──いや、図書城が建っている。
そこにはテラ・フォーマ始まって以来、全ての書籍が収められているとも噂されているが、それが本当なのかどうかは、城で働く者たちも知らないそうだ。
なにしろ図書城は歴代女王の暮らすティノア城よりも遥かに大きく、未だ鍵さえ発見されていない部屋が幾つもある。
また城内の文献から、地下にも巨大な空間があることまでは判明しているのだが、現在もなお、そこへと通じるルートの確保ができてはいない。
巨大な地下空間にはどのような古文書が隠されているのかと、各地の研究者たちはルートの開通を心から待ちわびているようだ。
これほどまでに巨大な城をいつ、誰が、どのようにして作ったのか、それさえ明らかにはなっていない。
(それを知るために、日夜城内で文献を探す研究者がいるほどだ)