[株式会社アクワイア]大橋晴行さん(ディレクター)宮崎朋篤さん(プランナー/各種データ作成や魔王のコメントを担当)内山竜多さん(アニメーター)[SCEJ]小島英士さん(アソシエイトプロデューサー)小林陽明さん(デザイナー)永井寛志さん(主にいきものずかんのテキストを担当)大村邦福さん(主にチャレンジモードを担当)[インタビュアー]林慶太(プロモーション/SCEJ)山本博幸(ライター)

「勇者」のタイトル候補は「or2」以外にもあった!?



――まず「or2」の企画が立ちあがった時期を教えてもらえますか?

大橋 去年の11月くらいには続編の話が出ていて、そこから「じゃあ、どうしよう」と方向性を模索しつつ、年末に向けて企画書を出した感じですね。「1」の頃は続編が出るなんて夢にも思っていませんでした(笑)。

――「勇者」の続編が発表されたときに、タイトルの「or2」についてネット上で様々な意見が飛び交っていましたけど、結局のところどういう意図で付けられたんでしょうか?

大橋 なんとなく……じゃないですかね(笑)。たぶん飲みながらタイトルの話をしていたんじゃなかったっけ?

宮崎 お菓子を食べながら、じゃない?

一同 笑

小林 最終的には大橋さんが席を外しているときに「or2」で話が盛り上がっちゃって。

大橋 そうそう。その頃は確か試作提出の直前でバタバタしていた中で定例の打ち合わせがあって、その流れで飲みに行きつつタイトルの話をしようとなったんですけど、僕だけ仕様書を修正しなければならなくて遅れて行ったんですね。そしたらもう、「or2」で話がまとまっていて……。

――ネット上では「or2」が土下座しているポーズだったり、アルファベットで「O」の次が「P」、「R」の次が「S」、「2」の次が「3」になるので、PS3でも発売されるんじゃないかなど、ユーザーの間でもあれこれと盛り上がっていましたけど、特にそういった意味合いもなく?

大橋 ……いや、狙い通りです!(笑)。でもいろんな意味にとれて良いですよね。ユーザーさんの間でも盛り上がってくれて嬉しいです。

――「or2」のほかにも色々と候補があったと聞きましたよ。「www」とか……。ほかにどんなタイトルがあったんですか?

大橋 何だっけ?

小林 最初は「魔ごころを君に」って付いていました(笑)。山本さん(SCEシニアプロデューサー)は「心の友よ」にしたかったらしいんですけど……。

大橋 あとは「勇者のくせになまいきだっ2ーの。」ってのがあった(笑)。

内山 ほかにも何かありましたよね。

大橋 「激情版」、とかね。

――僕が聞いた話だと、モン○ンと掛けて「2nd(セカンド)」とか、あとは勇者が64人出てくるから「64(ロクヨン)」とか。

大橋 振り返れば、その場のノリに任せて色々と言ってましたねぇ(苦笑)。


前作のクリアデータでトンデモナイことが……!?


――前作「1」は多くのファンを獲得して評判が良かったですが、制作時から「これは当たる!」という確信はありましたか?

大橋 そのへんは宮崎君が……。

宮崎 僕はもう、素のテンションで普通に作っていて……。ソフトを手に取ってくれた人が楽しんでくれればいいやと思っていたんですけど、意外にも(!?)売れているという話を聞いて、おかしな世の中だなぁと(笑)。

――想像してたのと違う反響でしたか?

宮崎 そうですね。思ったよりも(反響が)大きくてビックリしました。

大橋 でもたぶん中西さん(前作の「勇者」を手掛けたディレクター)的にはベストマッチというか、狙い通りだったとは思いますよ。レベルデザインとオマージュ要素でコミュニケーションを促進して、どんどん口コミで(ユーザーを)広げていくという。そこは前作を作っている最中にしきり言われていたんで。

――今回はユーザーの期待を背負っての発売で、「前作を超えなければ!」というプレッシャーはありましたか?

大橋 うーん、基本的に楽しみながら作っていますからね(笑)。でも例えば、前作の売上げがあまり良くなかったタイトルだと気が楽なんですけど、「勇者」って大きなプロモーションではなくて口コミで売れたゲームじゃないですか。それで続編の話を聞いたときに、それなりの期待感はあるだろうし、「次はどうすれば良いんだろう……」という思いはありました。それでも狙いどころとしてはビオトープ的な要素とゲーム性を掘り下げる意味で「突然変異」という新しいシステムを加えつつ、前作同様に全体をオマージュ要素というオブラートで包んじゃおうと。最終的にはイイ感じにまとまったと思います。自分的には「or2」は80点の出来ですね。

一同 満点じゃないんですか!

大橋 80点満点なんです。あとの20点は、いつもユーザーさんの評価込みで考えるので。ユーザーさん同士によるコミュニケーションの楽しさも「勇者」の面白さの一つですから。でも、そう言った意味で「魔王のおもいで」は……。

小林 (いきなりカットイン)いやー、あれはやりごたえがあって、「or2」の醍醐味ですよ、ホントに!!

大橋 あれが不安で仕方がなかったんだけど、歯ごたえがありすぎて……。1プレイに30分とか40分かかるんで調整に時間がかかっちゃって。

――すいません、いきなり知らないキーワードが出て来たんですけど……。「魔王のおもいで」というのは何ですか?

大橋 それはですね、「1」のクリアデータをpzdkまskれじゅwp……(ICレコーダーに不具合が発生!)

――ほんとですか!? それはかなり激しそうな……。

大橋 早く全国の破壊神さまにプレイしてもらいたいですね。30〜40分間プレイしても、それほど時間をかけた気がしないというか、没頭できるんです。で、つい「面白いなあ」って思っちゃいました。

小林 大橋さんが最初の頃に言っていた「魔物を変異させて強くする」というシステムの楽しさが、「ああ、これだったんだ!」と理解できました。

大橋 変異のさせ方次第で後半の魔物の構成がガラっと変わってくるんですよ。すると場合によってはクリアしにくくなったりしますからね。どの系統に変異させるか、とか、ここで変異キャンセルすべきか、っていう葛藤が生まれてくるんです。自分でもよく出来ているなと実感しました(笑)。こういった攻略面に関しては、学校や職場の休み時間とか掲示板やwikiで大いにコミュニケーションをはかって欲しいですね。


突然変異の誕生秘話!


――「突然変異」のアイデアはどこから生まれたんですか?

大橋 前作がボリューム不足と言われたのでステージ数を増やそうとは思っていたんですけど、単純にそれだけではやはり(プレイの)モチベーションが続かないだろうということで、魔物の数を増やすと同時に、そこに生態系的なシステムを絡められないかと考えたのがきっかけです。あとは丁度その頃、僕自身が遺伝に関するゲームを作りたいと思って別の企画を考えていた時期だったんですけど、そのへんも上手く合致した感じですね。

――突然変異のシステムを組み込むうえで苦労された点はありますか?

大橋 全体的なバランス調整は苦労したんですけど、それよりもまず突然変異が発生する状況の取得をプログラム的にいかに実装するかというところで苦労しましたね。基本的にはダンジョン内の各魔物の比率と死因が突然変異の条件になっているんですけど、単純に数が少ないだけだと最初からいきなり魔物が変異しちゃうし……っていう感じで、最初はなかなか思い通りにならなかったです。

――前作の基盤となったシステムを残しつつも、突然変異が加わったことによって絶妙なバランスに仕上がってますね。

大橋 ユーザーさんの立場に立った場合、システムが大きく変わっちゃうと分かりにくいという意味もあって、前作の基盤を残しながらも突然変異とか新しい要素を入れました。ウェブやゲーム情報誌で「or2」の記事を見た方には「こんなに(仕様を)変えちゃって大丈夫なの!?」と思われそうですけど、実際にプレイしてみると良い意味で前作とそれほど変わってないです(笑)。

――変異の種類は「異常種」「巨大種」「ピュア種」「レア種」とバリエーションがありますが、それ以外にも案はあったんですか?


ネムリトカゲ。
画像は開発中のものです。

大橋 特徴が異なる種を増やすという事は、ルールの複雑化に繋がるのであまり増やしたくはなかったんです。お手軽感は維持したかったですし。あとはぶっちゃけコスト(制作費)を考えて4種類くらいが限界だろうと(笑)。でも変異種にどんな役割を持たせようと考えていたときに、「単体としては強いけど増えにくい巨大種」と「単体としては弱いけど増えやすい異常種」を思いついて、それで全体が上手くまとまったんですね。ただ巨大種に関しては最後の最後まで四苦八苦したよね、これが。繁殖しにくいから「変異しても嬉しくないよ!」っていう(笑)。でも最終的には結構使える子になっちゃって……。

小林 俺は巨大種でしかクリアしてないですよ。

大橋 そんなに強いんだ! 俺めったに巨大種は出さないよ……。異常種で毒攻めだから!

――変異の種類は「異常種」「巨大種」「ピュア種」「レア種」とバリエーションがありますが、それ以外にも案はあったんですか?


ニジリゴケ突然変異いろいろ。(ボツ版)
すごく…おおきい。

宮崎 コケ類のレア種で「こうせいねんきん」という魔物がいるんですけど、それが良いなぁってずっと言ってたのは覚えています(笑)。

大橋 そういう意味では、試作で初めてメタボトカゲが生まれたときは、すごく感動しましたね。

――メタボトカゲは人気ありますよね。ユーザーからも「カワイイ!」という声が挙がっていますよ。

大橋 それはもうこの2人(小林さんと内山さん)の、デザインとアニメーションのタッグのなせる業で、あの可愛らしさが出たと思います。単純に力強いデブじゃなくて、愛嬌がありますよね。前作のトカゲおとこの愛嬌を、上手く引き継げているなぁと思います。

小林 今回、ガジロングの話を初めて聞いたときは結構モチベーションが上がりましたよ。「これは今回も頑張れるな」って(笑)。

大橋 「長い」「デカイ」はわかりやすいですからね。最初のガジロングはものすごくスムーズに動いていたんですよ、次世代機ばりに。でもそれだと「勇者」らしくないので(笑)、16bit機くらいでお願いしますと。

小林 それで思った以上にムシっぽく仕上がりましたよね。

―その2に続く―


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