アトラス取締役・平岡氏に聞く『オーディンスフィア レイヴスラシル』の開発経緯。そして押切蓮介氏の描き下ろしイラストも!【特集第4回】

0 0
アトラス取締役・平岡氏に聞く『オーディンスフィア レイヴスラシル』の開発経緯。そして押切蓮介氏の描き下ろしイラストも!【特集第4回】

本作は、アトラスとヴァニラウェアのタッグで展開される2DアクションRPG。昔ながらの横スクロールアクションに、ヴァニラウェアならではの高精細のグラフィック、独創的なシステムをつめこんだタイトルだ。ストーリーなどは2007年に発売されたPS2®版と同じだが、システム面は大幅に進化。より遊びやすいタイトルとして”リ・クリエイト”されている。そんな注目作が開発に至った経緯、そしてヴァニラウェア作品の魅力とは? アトラスのコンシューマ事業を統括する平岡直人氏に聞いてみた。

———————————————————————-

前回までの特集記事はこちら

運命に導かれし者が紡ぐ新たな叙事詩!『オーディンスフィア レイヴスラシル』に収録される2つのゲームモードに迫る【特集第1回/電撃PS】

交錯する5つの運命――終焉の物語が描かれる『オーディンスフィア レイヴスラシル』の世界観とアクション【特集第2回/電撃】

プレイ動画も掲載! システム面から見る『オーディンスフィア レイヴスラシル』の進化!【特集第3回/電撃PS】

———————————————————————-

平岡直人氏
株式会社アトラス取締役 コンシューマソフトウェア局局長。数々のタイトルにおけるゲーム開発からその展開まで、アトラスタイトルのすべての舵をとっている。

■平岡氏と神谷盛治氏の出会い、そしてリ・クリエイト第1弾が『オーディンスフィア』である理由

僕が神谷さんのことを最初に知ったのは、神谷さんが『プリンセスクラウン』(セガサターン/1997年)をつくられていた頃です。『プリンセスクラウン』は、90年代後半の「プリクラ(プリント倶楽部)」から続くセガとアトラスとの関係性の流れから、アトラスが開発に携わるようになったタイトルで、アトラスの大阪スタジオにて開発されたのですが、当時神谷さんはこの大阪スタジオにいらっしゃったので、じつは僕の大先輩にあたる方なんです。

その後、ヴァニラウェアを立ち上げた神谷さんと、『プリンセスクラウン』のコンセプトを継承する作品としてPS2®版の『オーディンスフィア』の開発が始まり、親交を深めていきました。アトラスとセガの今の関係性は皆さんご存じのとおりかと思いますが、神谷さんを通じてこの土台が奇しくもその頃からあったのだと考えると、感慨深いものがありますね(笑)。

神谷さんに僕がきちんとご挨拶したのは、PS2®版『オーディンスフィア』が発売された後なんですが、今でもそのときのことは、よく覚えています。というのも、これはお話ししていいのか迷うところですが……じつはある件でアトラスが神谷さんに失礼を働いてしまったことがあったんです。そのとき、僕自身は引き継いだ案件だったのですが、立場上、僕が謝罪にうかがうことになりまして……。それが正式な初めての出会いだったので、なんとも複雑な印象ですよね(笑)。当事者ではないアトラスの責任者が謝りにきて、神谷さんもとても恐縮されていたのを覚えています。ただ、それは神谷さんにとっても印象深い出来事だったらしく、それが後にアトラスで『ドラゴンズクラウン』をリリースするきっかけのひとつになったようです。今でも一緒に飲みに行ったりすると、その話をされることがあるくらいです(笑)。

ヴァニラウェア設立後、初のアトラスとのタッグとなったPS2®版の『オーディンスフィア』(2007年)。

『オーディンスフィア レイヴスラシル』の開発は、2013年の冬頃からはじまっているのですが、当時アトラスはちょうど社名が変わるなど、新しい船出を意識していた時期でした。神谷さんからも『ドラゴンズクラウン』に続くタイトルを制作しましょうと声をかけていただいたのが、最初のきっかけですね。どんなタイトルがいいだろうと模索しているなかで浮かんだタイトルが『オーディンスフィア』でした。ヴァニラウェアさんは、基本的にリメイクは手がけないというスタンスだったのですが、新生したアトラスにふさわしいタイトルだということで快諾していただけたこともあり、『オーディンスフィア』をリ・クリエイトすることになったというわけです。個人的にも『オーディンスフィア』は思い入れの強いタイトルですからね。

本作『オーディンスフィア レイヴスラシル』には、新たなシステムが盛り込まれたメインモードの他に、PS2®版のゲームシステムのままで画面をHD化したクラシックモードも収録されている。

■『オーディンスフィア』そして「ヴァニラウェア」への思い

『オーディンスフィア』は、ヴァニラウェア作品のなかでも、旧アトラスとヴァニラウェアさんとの初めてのタイトルでしたし、新生アトラスとして最初に世にリリースできるヴァニラウェア作品で、同じ熱量を帯びて作られた2DアクションRPG最新作だと認識しています。大西ディレクターをはじめとするヴァニラウェアスタッフ渾身のタイトルを2016年に再び発売できることは、とてもうれしいですね。

開発会社によっては、スケジュールを第一に考えるところもありますが、ヴァニラウェアさんにとっての発売時期は、クリエイティブな部分が最大限に発揮されたときなんです。ここまでゲーム内容にこだわる開発会社を、僕はほかには知りません。もちろん、それを裏付ける開発力があるからこそできることですし、お付き合いさせていただくようになってから、刺激を受けることが多いですね。もちろん、我々アトラスもゲーム開発には並々ならぬこだわりを持っていますが、リスペクトする部分は少なくないと思います。

そんなヴァニラウェアさんの魅力は、リ・クリエイトのうまさだと思っています。これは過去の作品を新たな形で新生するという意味にとどまりません。過去のゲーム史において名作とよばれるゲームのおもしろい部分を理解して、それをヴァニラウェア流に再構成して、新たなオリジナル作品を作り出していく技術には、目を見張るものがあります。『オーディンスフィア』も、基本は昔ながらのスクロールアクションですよね? でも、それを新たにアレンジして、ヴァニラウェアならではという作品にまで仕上げている。ゲーム本来の遊び方を伝えるのがうまいのでしょうね。

2013年にPS3®、PS Vita用ソフトとして発売された『ドラゴンズクラウン』は、今のゲームファンにベルトスクロールアクションの新たな魅力を提示した作品だ。

『ドラゴンズクラウン』から約2年半、さらに進化・洗練したヴァニラウェアならではのアクションが『オーディンスフィア レイヴスラシル』で幕を開ける。

■アトラスとしての”コンシューマゲームの未来”への展望

かつてのように、コンシューマ市場がまだまだ大きくなっていくというような、バラ色の未来図は描けなくなったという空気は感じています。ただ、アトラスにおいては『ペルソナ3』以降も手ごたえを感じられていることが大きく、ありがたいことにゲーム業界におけるマイナスイメージをあまり実感することなく、開発を進められています。それは、もちろん多くのお客さまに支えられてのことなので、アトラスの製品で遊んでくれているみなさんには、感謝の言葉しかありません。また、そうした製品を発売できたのは、社員全員が”ゲーマー”だから、というのが大きいと思っています。みんなゲームが大好きで、ユーザー目線でゲームを制作できているのが、いい意味で作用しているのではないでしょうか? 幸いにも、社員が作りたいゲームが、ユーザーさんが求めるものと合致しているというのも、大きな理由だと思います。

それは、ヴァニラウェアさんも同じで、作りたいものを作り、その結果、みなさんに支持されているからこそ、「だったら好きなものを作ってもいいよ」という、いい流れが生まれているのだと思います。たくさん売れることだけを意識した、最大公約数を狙うようなタイトルは、アトラスにもヴァニラウェアさんにもないのではないでしょうか。それは「300万本売れてそのうちの50%のユーザーさんが満足するゲーム」よりも、「30万本の販売でもいいから90%以上のユーザーさんに満足してほしい」という考えを持っているからです。その考えは、この先も変わらないと思います。

市場という意味では、今後海外にさらに力を入れていくことになると思います。数年前までは、海外向けの公式サイトの展開なども、海外のスタッフに任せていた部分がありました。ただ、近年は情報を同一化しようという流れに変わっていて、公式サイトもトップページからグローバルサイトに飛べるようになっています。とくに、2013年に発売した『ドラゴンズクラウン』はオンライン要素もあったため、日本国内と海外で発売日も近く設定するなど、国内との垣根はなくなりつつありますね。『オーディンスフィア レイヴスラシル』は、アメリカが6月7日発売、欧州はQ2に発売と、日本の発売日から少し遅れることになりますが、それは英語だけでなく、フランス語・イタリア語・ドイツ語・スペイン語の5か国語のローカライズを行なっているためです。そうした力の入れ方もあるということですね。

ヴァニラウェアとしてのこだわり、アトラスとしてのこだわりが、他では体験できない『オーディンスフィア』の世界を生み出している。

■2015年のアトラス、そして今年のアトラスは?

2015年のアトラスは、初めてリズムゲームに挑戦した『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト』や、スパイク・チュンソフトさんとタッグを組んで、名作ゲームである『不思議のダンジョン』シリーズとコラボレーションした『世界樹と不思議のダンジョン』など、既存のIPを”横”に展開させることができた、非常に意義のある年だったと思っています。

そして、今年2016年にも、1月14日発売の『オーディンスフィア レイヴスラシル』を筆頭に、多数のタイトルが発売される予定です。夏にはみなさんをお待たせしている『ペルソナ5』が発売されます。もちろん、このほかにも未発表のタイトルがいくつかありますが、アトラスの人気シリーズが一堂に会する年になることは間違いありませんので、今年のアトラスにご期待ください! また、発売時期は未定ですが、ヴァニラウェアさんが手掛ける新作『十三機兵防衛圏』も絶賛開発中なので、こちらのタイトルにもご期待いただければと思います。

昨年9月にPVが公開された『十三機兵防衛圏』。これまでのヴァニラウェア作品とは大きく異なる世界観の作品となりそうなだけに、詳細が気になるところだ。

■『オーディンスフィア レイヴスラシル』を楽しみにしているユーザーの皆さんへ

本作を楽しみに待ってくださっているみなさんのおかげで、ヴァニラウェアさんのタイトルを”リ・クリエイト”という形で、再び世に出すことができました。それは、ヴァニラウェアさんのタイトルを発売するという責任を持つアトラスにとっても、大変うれしいことです。

PS2®版から9年の時を経て発売される作品になりますが、オリジナルが9年前ということを感じさせない上質な作品に仕上がっていますので、まずは配信中の体験版を試していただき、ぜひ手にとって遊んでいただければと思います。

■『オーディンスフィア レイヴスラシル』展示会開催中!

平岡氏の言葉からもわかるように、アトラス、ヴァニラウェア両者のこだわりによって生み出され、いよいよ発売となった『オーディンスフィア レイヴスラシル』。そのリリースを記念し、本作のイラストとともにその作品世界を体験できる展示会「オーディンスフィア レイヴスラシル ~屋根裏図書館への招待~」が、東京・アートコンプレックスセンターにて開催中だ。

会場ではPS2®版『オーディンスフィア』のものも含め、約70点ものイラストを展示。また、会場はゲーム内の屋根裏部屋を再現したかのようなレイアウトになっており、本作の幻想的なビジュアルと世界観を間近で堪能できるようになっている。さらにこの展示会では、本作の公式グッズの先行販売が行なわれているほか、会場内に隠された小さなマンドラゴラを探すミニゲーム「マンドラゴラを探せ!!!」が開催。すべて発見すると先着で参加賞のクッキーがプレゼントされるので、ぜひ訪れた際はチャレンジしてみよう。

◆オーディンスフィア レイヴスラシル ~屋根裏図書館への招待~

・開催期間:2016年1月24日まで開催(月曜休館)
・入場時間:11:00~20:00(最終日は18:00まで)
※混雑時は入場規制及び整理券を配布致します。近隣の迷惑になる行為はおやめください。
・開催場所:アートコンプレックスセンター
 東京都新宿区大京町12−9
・入場料:無料

■公式サイトで実録コミックを連載してきた押切蓮介氏のイラストコメントも!

本作の公式サイトにて、全5話にわたって掲載されてきた、漫画家・押切蓮介氏の実録コミック「オーディンスフィア レイヴスラシルを追え!!」。その完結を記念して、特別にイラストコメントを寄稿していただいた。こちらもチェック!

◆オーディンスフィア レイヴスラシルを追え!!

■PlayStation®Storeにて体験版配信中!

そして現在、PlayStation®StoreにてPS4®/PS3®/PS Vitaの『オーディンスフィア レイヴスラシル』体験版が配信中。体験版の内容は、東京ゲームショウ2015などのイベントや全国店頭試遊会で使用された「デモバージョン」がベース。個性的な5人のプレイキャラクターそれぞれの爽快感あふれるアクションバトルのチュートリアルを体験しつつ、美麗な世界観と魅力が味わえる構成になっている。

▼『オーディンスフィア レイヴスラシル』の購入・体験版ダウンロードはこちらから

『オーディンスフィア レイヴスラシル』の発売をみんなに伝える!

『オーディンスフィア レイヴスラシル』公式サイトはこちら

『オーディンスフィア レイヴスラシル』ソフトウェアカタログはこちら

—————————————-

電撃PlayStation最新号の詳細はこちら

©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

コメントの受付は終了しました。

お客様の生年月日を入力してください。

Date of birth fields