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今だからこそ制作できた『龍が如く 極』の"旬の魅力"を2人の開発者に聞く【特集第4回】

by 電撃PS編集部 2016/01/21

本日発売の『龍が如く 極(以下、龍極)』は、昨年の12月にシリーズ生誕10周年を迎えた『龍が如く』シリーズの最新作にして、シリーズ1作目を最新の技術でよみがえらせた作品だ。基本の物語や舞台設定などはオリジナル版と同じだが、そこに主人公の桐生一馬と対峙する錦山彰のエピソードなどが追加され、ドラマがより厚みを増している。さらにそれ以外にもシステムや遊びの部分の追加がタップリ用意され、リメイクの定義を覆す意欲的な挑戦が盛り込まれているのが特徴だ。今回はこの最新作に込められた思いを、開発のキーマンたちの言葉からひも解いていこう。


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前回までの特集記事はこちら

「龍が如く」シリーズ10年の歩みと『龍が如く 極』の進化したドラマ【特集第1回/電撃PS】

10年の時を経て"極み"に達した『龍が如く 極』のバトルと街を体感せよ!【特集第2回/電撃PS】

『龍が如く 極』の"極"たる要素を3人の視点によるプレイインプレッションで探る!【特集第3回/電撃PS】

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横山昌義氏
株式会社セガゲームス所属。『龍が如く』シリーズの脚本、プロデュースを担当する。



吉田幸司氏
株式会社セガゲームス所属。『龍が如く 極』ではディレクターを務め、追加エピソードの制作も手掛ける。





■タイミングよくつながった『龍が如く0』と『龍が如く 極』


――はじめに、今回の『龍極』はどのような経緯で制作が開始されたのでしょうか?

横山:1作目の『龍が如く(以下、龍1)』を作り直したいという想いは、もともと以前からありましたが、その想いが強くなったのは『龍が如く0 誓いの場所(以下、龍0)』を制作してからです。ただ『龍0』制作時は、そもそも『龍0』をきちんとナンバリングタイトルとしてのクオリティに仕上げることに集中していたので、まだ具体的に『龍1』を作り直すことまでは考えていませんでした。まずは前日譚である『龍0』を作りきり、それがファンの方に認められたら『龍1』の再制作を改めて考えようと。幸い『龍0』はユーザーの方々から高い評価を頂きましたので、きちんとした形で新生『龍1』をお届けする使命ができたと思いました。さらには、これは個人的にですが、ゲームというメディアが一過性のメディアになってしまっていることへの反骨精神も強く影響しています。たとえば映画だったら古いフィルムでもDVD化すれば評価されますよね? でもゲームはそうではない。実際にユーザーが操作するプレイアブルな部分も、時代に合わせた形になっていなければ、過去に遡って評価されることはありません。システムや操作感が古いまま、「良いモノは良い」とするのは間違いだと思っています。だから再度『龍0』の後に『龍1』をプレイして欲しいと思うのならば、2016年『龍1』を作るしかないと思った次第です。


――たしかにPS3®で『龍が如く1&2 HD EDITION』を遊ぶという選択肢もありますが、インターフェイスやシステムはPlayStation®2版のままですからね。

横山:そうしたなか、PS4®、PS3®という環境で新たに『龍1』を作るというのは、僕たちとしてはベストな答えだと思っています。『龍が如く』プロジェクトが10周年という節目のタイミングだったということも大きいです。これが『龍0』を作る前のタイミングだったら当然制作はしていないと思いますし、『龍が如く6(仮称)(以下、龍6)』のあとでも作れなかったと思います。そういう意味で『龍極』は、いろいろな要素がフィッティングした今だからこそ制作できたタイトルなんだと思います。






■実現したかもしれないタイトル案は『龍が如く 怒りのフルリメイク』!?

――最初に『龍1』を作り直すと聞いたとき、吉田さんはどんなお気持ちでしたか?

吉田:最初は「これまでの作品と違ってすでに基本があるから、作業も比較的ラクになるのかな?」と思ったのですが、それは甘かったとすぐ考え直しました(笑)。

横山:じつは制作チーム内では、リメイクという言葉は極力使わないようにしていたんです。というのも、リメイクと言ってしまうと、チーム内でも「リメイクなら見た目をキレイにして作り直すぐらいでいいのか」などと、モチベーションの低下にもつながってしまいます。もちろん、リメイクとは今遊んでも楽しめるように正しく作り直すことですから、けっして悪いことではありません。ただ僕は、どうもリメイクという言葉自体が持つ悪いイメージがあることが許せなくて(笑)。だから、それを払拭できるものを作ってやろうという意識はありました。そういう言葉って多いじゃないですか? たとえば"適当"という言葉にしても、正しくは"適したものを当てる"というプラスの意味なのに、今では"いいかげん"みたいな意味になってしまっています。だから『龍極』は、リメイクの正しさを証明するタイトルでもあるんです。

音声を9割近く録り直したのもそうした戦いへの意志ですね。社内でもコストがかかるなど反対の意見はあったのですが、リメイクとは言わせないぞという強い意志で実行させていただきました。桐生役の黒田(崇矢)さんや遥役の釘宮(理恵)さんは、本来なら録り直す必要なんてないんです。でも、この10年でお二人の演技の幅が広がっていないかというと、そうではない。この10年で広がった演技のなかで、さらにいい演技をしてもらえれば録り直す価値はありますよね。『龍が如く』シリーズは、そうした意気込みを支えてくれたファンがいたからこそ続いてきたタイトルでもあるので、新作を作る覚悟で僕たちなりのリメイクというものを提示しよう、という意志は強かったと思います。


――メディア側もついリメイクという言い回しをしてしまいがちですが、たしかにプレイをしてみると「ここまで変えるの?」と驚かされました。

吉田:システム部分も、PS2®版を今遊ぶと、厳しい部分が少なくないんです。そうした不親切な部分を極力ユーザーフレンドリーにしているのも、本作の特徴かと思います。どこでもセーブができるようになったのもその1つですし、サブストーリーも、特定の章まで進めると未完で終わってしまうということがなくなっています。やはり時代や環境にあわせた改良は欠かせない要素でした。

横山:これは余談なのですが、タイトルの"極"は当初、あまりピンときていませんでした。タイトルを決める会議中、3時間くらい過ぎたころに総合監督の名越(稔洋氏)が「もういっそ『龍が如く 怒りのフルリメイク』にするか!」と言い出たんですね。もちろん冗談のつもりだったんですが、一番食いついたのは僕でした(笑)。「怒り」という言葉がリメイクという言葉が持つ負のイメージを一発でかき消すパワーがあるのではと思いましてね。その後ロゴの制作まで進行していたのですが、まあロゴの座りが悪いうえに営業のウケも悪くて(笑)。その後、ゲームの全ての要素を「極クオリティにするんだ!」というキーワードが出てきて、それならばタイトルに「極」とつけるのがよいということになり、タイトルが決まりました。






■神室町をもう一度作り直すということ

――作り直しという意味では、神室町も過去作のデータを流用するというわけにはいかなかったのでは?

横山:死ぬほど大変でしたよ。時代的に近い『龍が如く5』からデータを持ってきて接合しても、1作目の時代にあわせていくと隣のビルとのサイズが合わないとか、そもそも賽の河原がないとか店の立地も違うとか......。いじっている間に「これ、ゼロから作ったほうが早いのでは?」ということになりましたからね。

吉田:その横では『龍6』を作っていたりしますから、このデータが使えれば......と何度思ったことか(笑)。

横山:まあPS4®専用の『龍6』のデータをそのまま持ってきても動きませんからね。動いたとしても秒間5フレームくらいになるんじゃないかな。カクカクですよ(笑)。


――さらに音声も録り直しとなると、本当にリメイクというレベルではないですね。

横山:キャストを変更したことに対しては反発もあるかなとは思ったのですが、その人たちを納得させるくらいいいものを作ればいいという考えでした。それが本当の意味でのリメイクなんだと思うんです。やはり、過去作のデータを持ち込んだだけでは制作サイドの気持ちが負けてしまう。今、この時代でいいと思えるものを作りたいという意識から録り直させていただきました。セリフに1つでも追加があったら全部録り直す覚悟でしたね。ただ、演者のみなさんはほとんどが追加ぶんだけの収録だと思われていたようで(笑)。神室町といい音声収録といい、もし『龍が如く2(以下、龍2)』の『極2』を作るなんてことになったら、本当にゾッとしますよ。


――とはいえ、『龍極』をプレイすれば、そうした声がファンから必ず出てくると思います。

吉田:『龍2』は『龍1』同様に上からの固定カメラだったので、看板の裏側などの見えないところは作っていませんでしたからね。しかも、DVD2枚組のボリュームでしたから。

横山:さらに『龍2』は神室町だけではなくて大阪・蒼天堀や新星町(通天閣がある場所)もありますからね。そうなると『極2』を作るかどうかは、今は考えたくないですね(笑)。






■錦山の新エピソード、「どこでも真島」......新要素から見る『龍極』の魅力

――『龍極』には新要素として錦山彰の新エピソードが追加されていますね。

吉田:錦山のエピソードについては、10年前の1作目から構想はあったのですが、描けないでいた要素なんです。ただ今回『龍極』を制作することになって、桐生の親友である錦山がなぜ桐生を裏切るような行動をとったのか? という部分はきちんと描かなければいけないというのは、スタッフの共通意識として存在していました。

横山:吉田と2人でプロットを考えていた時点で、錦山と真島(吾朗)を深く描こうというのは決まっていました。ただ、錦山に関しては『龍1』の物語がすでに世に出ていて、かつユーザーのみなさんそれぞれの錦山像がすでにあるという、外堀がガッチリ埋められた状態で作る必要があったので、大変だったと思いますよ。僕や名越などいろいろな人の意見を反映させて、吉田がまとめてくれました。

吉田:まず1作目をプレイしてくれた人からすると『龍0』の錦山を見て、「錦山ってこんなにいいヤツじゃなかった」という意見があると思うんです。そういったところも、ちゃんとしっくりくるようつなげていくのは大変でしたね。

横山:あとは、ここまで完全に客観視点で描くイベントって、じつは『龍が如く』ではめずらしいんです。通常シナリオでは、客観視点のイベントであっても、のちのち主人公が誰かしらから情報を聞くなど、ユーザーと主人公の情報量が近づくように配慮して構成しています。ただ、今回の錦山のエピソードは桐生がまったく知らないものになっています。それだけに、どこに挿入するかは悩まされましたね。

吉田:結果的に、各章の最後に挿入するという形になっていますが、偶然にも前後の物語とつながる部分があって、うまく収まっていると思います。



――キャラクター部分での新要素といえば、もう1つ「どこでも真島」も大きな追加要素です。

吉田:1作目って、じつは真島の出番はかなり少ないんですよね。これだけの人気キャラですから、それではもったいないというのが大きな理由でした。ただ、ムービーで登場させるだけでは物足りないと思われるでしょうし、やはりシステムとして組み込みたいと思ったんです。「どこでも真島」に限らず、システム全体が1作目のトレースだとつまらないので、そこは新システムにしようというのは早い段階で決まっていました。そんななか横山から、真島を"どこか"に出すのではなく、"どこにでも"出そうという提案があって(笑)。

横山:発端は「どこでも真島 ときどき嶋野」というシステム名からはじまっているんですよ。ザコ敵とのエンカウントってどこでも発生するじゃないですか? そうした普通のことを誰か特定のキャラがやるとおもしろくなることってあると思うんです。それが真島なら絶対おもしろいものになるという確信はありました。

吉田:あとは、私がメタフィクション的なノリが好きということもあり、毎回いろいろなところにシリーズのファンの方ならニヤリとできるネタを仕込んでいるのですが、今回も『龍が如く OF THE END』ネタとして、真島にゾンビ映画が好きと言わせたり、ボウリング場でのバトル時に桐生に「オレはボウリングの球でケンカしたりしない」とか言わせるなど、いろいろネタを仕込んでいます(笑)。ちなみに街を歩いていると「真島センサー」が発動して「桐生ちゃ~ん」と聞こえるけど、真島が周囲に見当たらないというときは、揺れている車やパイロン(カラーコーン)などを調べてみてください。真島が隠れている可能性がありますよ。真島がいなくても、レアアイテムを入手できることもあるので、揺れている車は要チェックです。

横山:『龍が如く』って、そうしたパンチの効いたシステムが話題になってきた部分もあるんです。『龍1』は口コミでじわじわと販売本数を伸ばしていったのですが、その口コミの内容が「キャバクラ遊びができるゲームがあるらしい」ですからね(笑)。ただ、今『龍1』のキャバクラをプレイしたらちょっと厳しいですよ。作り手も今よりキャバクラがよくわかっていない状態で、イメージでテキストを書いていましたから。今は10年たって蓄積した情報があるので、そういった細かい部分もきちんと進化させて『龍極』に入れ込みたかったんです。ミニゲームなどについても同じことで、『龍1』が発売された2005年頃は、「甲虫王者ムシキング」がアーケードで大ヒットしていましたが、当時は使わせてほしいなんて言えなかった。でも「龍が如く」がみなさんに支持していただける人気作になった今なら言えると思ったんです。まあ、ちょっとばかり内容はオトナ向けになっていますが(笑)。






■ゲームを、きちんと再評価できるエンターテイメントに

――ほかにディレクターである吉田さんがこだわられた部分などはありますか?

吉田:これまでの「龍が如く」でできていたことはすべて盛り込もうという意識はありました。1作目のシステムをそのまま反映させるのではなく、シリーズを重ねるなかで進化や改良がされてきているので、そこはちゃんと遊びやすい形で反映させていこうと考えていましたね。

横山:冒頭でも言いましたが、きちんと最新のシステム、環境で遊べるものを作り、そのうえで、「いいものはいい」と再評価してもらえるものを作る必要があるとは考えていました。というのも、このままゲーム業界が昔作ったものを使い捨てていけば、ゲームはいつまでたっても文化になりきれないと思っています。僕の今の最大の命題は「ゲームが命を賭すほどのエンターテイメントになるのか?」ということです。そのためにも過去作でもイイものなら、使い捨てではなく、きちんと時間が経過したときに再評価できる形にする必要があると思うんです。そこが認められるなら、ここまで作り直した意味はあったと思いますよ。もしかしたら、さらに10年後に『龍が如く 極極』なんて作品を制作するかもしれない。本作は、そうした過去作を再評価してもらうための1歩だと思っています。


――今年は秋に『龍6』の発売もひかえていますが、今後の抱負などお聞かせください。

横山:今は目の前の『龍6』しか見えていませんね。「龍が如く」シリーズは、明日しか見てこなかったからこそ続いてきたシリーズだと思っているので、それでいいのかなと思います。10年先を見据えて制作していたら、ここまで続かなかったんじゃないかな。今後は『龍6』のためにがんばります。最高のものをお届けできるとは思っているので、まずは体験版で楽しんでもらいたいですね。


――その『龍6』の先行体験版ですが、発売までまだ期間がある今に配信される意図をお聞かせください。

横山:僕たちクリエイターもPS4®専用のタイトルを作れることを待ち望んでいたんです。それは、アクションゲームとしての楽しさをふたたび探すことになりますし、今まで平面的だった神室町を立体的な遊びの場として提供できるチャンスでもある。そうした変化をストレートにお届けするには、体験版しかなかったというのが理由です。もちろん、製品版の発売までまだ期間があるなかで体験版を配信するのはリスクもあります。これでつまらないと判断されてしまったら、それを巻き返すのは至難の業ですからね。でも、そのリスクを冒してでも伝えられるものがあると思ったので、配信することになりました。今回の体験版は、ゲームの土台を体験してもらうためのものであり、物語も体験版専用のものになっています。もちろん、ここからもっともっとおもしろくなるので、大きな変化の一端を感じていただけるとありがたいですね。


――では最後に『龍極』を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

吉田:10年もシリーズが続いていると、いろいろなタイミングで始められた方がいるかと思います。過去作を遊んでくださった方には、『龍1』で描かれていなかった謎も明かされていますし、シリーズ初という方も『龍1』を現代のクオリティで遊んでいただけるいい機会だと思っています。すべての方に満足していただける内容を盛り込んでいるので、まずは手にとってプレイしてください。






制作スタッフの『龍極』への熱い思いをお伝えした第4回。『龍1』をプレイしたことがある人はその違いを、未体験の人は10年にもおよぶシリーズの原点を確かめつつ、さらに『龍6』の体験版でシリーズの未来を感じ取ってほしい。なお、『龍6』先行体験版は1月28日(木) 正午頃よりダウンロード可能だ(※)。
そして次回の連載第5回では、桐生一馬役の黒田崇矢氏、伊達真役の山路和弘氏、プロデューサーの横山昌義氏の3者による鼎談をお届けする予定。こちらも期待してほしい!

※ダウンロードコードはPS4®版、PS3®版を問わず封入されます。
※ダウンロード版購入の場合、ダウンロード権利が自動的に付与されます。
※詳しくは『龍が如く』ポータルサイトをご覧ください。



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