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『北斗が如く』のキーマンたちが語る新たな"北斗伝説"の姿!!【特集第3回/電撃PS】

by 電撃PS編集部 2018/03/08

「北斗の拳」×"龍が如くスタジオ"という、前代未聞のコラボの末に誕生した世紀末アクションアドベンチャー『北斗が如く』が、ついに発売! これまで、2回にわたって本作がいかに"「北斗」の常識を、ぶっ壊す。"作品であるかをお伝えしてきました。そして、連載企画最終回となる今回は、本作のキーマンとなる2人へのインタビューを電撃PlayStation編集部がお届けします!!


今回インタビューを敢行したのは、"これまでにない「北斗」の世界"を生み出すことに力を注いだ、佐藤大輔氏と横山昌義氏のお2人。本作への意気込みから苦労話まで、読者が気になる話題を大いに語ってもらいました。


ゼネラルプロデューサー
佐藤大輔氏(写真左)
本作のゼネラルプロデューサー。『龍が如く 極2』でもプロデューサーとしても活躍。

チーフプロデューサー/脚本
横山昌義氏(写真右)
「龍が如く」シリーズに引き続き、本作でもチーフプロデューサーと脚本・演出を兼任している。

「龍が如く」とは制作の視点が異なる『北斗が如く』

――PlayStation®4で「北斗の拳」を題材にしたゲームは『北斗が如く』が初となります。「北斗の拳」という作品をゲームというメディアに落とし込むにあたり、とくに注力した部分を教えてください。


佐藤:やはりバトルアクションをしっかりと楽しんでもらいたいという思いがあって、フレームレート(画面表示のなめらかさ)が60fpsになるようこだわりました。


――実際にプレイして、バトルに対するアプローチが「龍が如く」と比べて、よりゲーマー向けになっていると感じました。「龍が如く」と本作を比べた際、"バトルシステムに対する考え方"に違いはあるのでしょうか?


佐藤:ベースとして「龍が如く」の操作系統を押さえつつ、「北斗神拳をどう組み込むか」というところですよね。一撃必殺の強さもそうなのですが、「龍が如く」は多人数とのバトルでも、細かな1対1の戦いの連続で進行していきます。本作では、一気に敵を倒せる爽快感を持たせたかったんですよ。


横山:ゲーム全体の設計という意味合いで言えば、「龍が如く」はよくも悪くもストーリーを「幹」とした設計なんですね。そして、「枝葉」の部分にストーリーを盛り上げるためのバトルシステムやプレイスポットなどがあるんです。すべての構成要素が、ストーリーをおもしろくするために存在する、という設計思想です。例えば『龍が如く0 誓いの場所』の場合、バブル時代を描くストーリーだから金を軸にした成長システムがあり、主人公たちのストーリー上の設定があるから「水商売アイランド」や「マネーアイランド」といった遊びができたんです。


――たしかに、入手できる報酬金額も含めて"バブル"という特殊な時代が舞台だからこその遊びでした。


横山:一方『北斗が如く』に関してはその設計思想が「龍が如く」と大きく変わっています。『北斗が如く』の最も重要な「幹」はバトルです。ユーザーがケンシロウに成り代わり、いかにおもしろく北斗神拳を駆使して敵を倒せるか? ゲームの核はそこにあります。ストーリーはバトルを楽しむための味付け、つまり「枝葉」だと考えています。『北斗が如く』のストーリーがあるからあの世界が生まれたわけではなくて、「北斗神拳伝承者・ケンシロウ」がいるから救世主伝説があるんです。このように、本作の中心にあるのはバトルで、バトルをおもしろくするためにエデンという舞台や荒野などが派生しているという考え方なんです。


――だからこそ、バトルの楽しさが重要なんですね。


横山:最初の頃にバトルアクション担当に話したのが「このゲームはバトルに飽きてしまったら終わり。ケンシロウの北斗神拳をいかに楽しませるかがゲームのキモなんだ」ということでした。「ここがおもしろくなかったら、ストーリーやプレイスポットがどれだけおもしろくても、つまらないゲームになってしまう」と。ゲーム体験においては「龍が如く」と異なり、『北斗が如く』はバトルに割く時間が一番多くなります。だからこそバトルが一番おもしろくあるべきなんですね。これは僕の考え方なのですが、「龍が如く」の桐生一馬は"戦う人ではない"んです。ですが、ケンシロウは"北斗神拳で戦う人"なんですよ。常に戦っているべき人なので、そこは意識して作りました。このように「龍が如く」と『北斗が如く』は、根本的な設計思想が異なります。ここはけっこう大きい部分ですね。


――そういう思想で作られたゲームは、"龍が如くスタジオ"としては初ですか?


横山:初ですね。「龍が如く」はいくつか外伝的な作品も作ってきましたが、どれもやはりストーリーが中心にありましたので。『北斗が如く』は、ある意味では開発における自由度があまりなかったと言えます。「北斗の拳」という世界があって、"ケンシロウがやれること"も決まっていました。答えはもうあるので、それを彩るために周りを作っていくのは、作り手として難しかったかなと思います。



――『北斗が如く』の開発を終えた今、開発中を振り返ってみて、過去に作ってきた作品と比べての大変さはいかがでしたか?


横山:作っている最中は大変でした。


佐藤:過去最高ぐらい大変だったと思います(苦笑)。


――一度発売日を延期されていますが、これはどういった理由からなのでしょうか?


佐藤:「目指すところに、まだたどり着けてないな」という感覚が拭いきれなくて、もう少し時間が必要だと思ったからですね。


――たしかに、昨年の12月に開催された秋葉原での体験会のときと比べても、製品版では明らかに操作感が違いました。


横山:"龍が如くスタジオ"が作ったアクションのなかでも、一番楽しいバトルになっていると思います。1バトルにおける戦闘時間もただ漫然とボタンを押すだけだと、「龍が如く」より長くなるようにしています。ある程度敵が硬いけど、その硬さを一発でブチ抜けるのが北斗神拳であるというコンセプトで調整しています。戦っていて飽きないものに仕上がりましたが、ここに至ったのは本当に最後の最後でしたね。コンボのクセが人によって決まっているじゃないですか。そのせいで、途中まではこの人は「北斗百裂拳」ばかり、あの人は「北斗壊骨拳」ばかり......というような感じになっていたんですよ。開発後半になって調整が入ってからは、発動する奥義もバラけて、かつ狙いたいときは狙って出せるようになっていきました。それを見て、2週間延期した甲斐があったかなと。それ以外にも、荒野の設定などでも苦労がありました。


佐藤:ほんとうにギリギリまで調整していました。そのおかげで、やりごたえのあるおもしろいものに仕上がったと思っています。



――あとは『北斗が如く』というタイトルでファンの心をつかんでいるのが、やはり原哲夫先生が描かれたパッケージイラストだと思います。こちらをお願いするときに特別なやりとりはありましたか?


佐藤:これは、横山のイメージが反映された形ですね。


横山:とある映画のイメージが今作のストーリーのイメージと重なっていたので、それを原先生にお伝えしたんです。そうしたら、原先生もその映画の主演役者のことが大好きだったので、ノリノリで描いてくださいました。


――そうだったんですね。


横山:アイキャッチが必要なメインビジュアルなのに、ほぼモノクロで、ユリアのドレスだけが真っ赤に染色されているというかなり挑戦的なデザインですが、これこそが『北斗が如く』というものを表していると思います。「北斗の拳」が世に出てから35年経ちますが、その間にアニメや映画、そして近年では遊技機中心にかなりの商品が作られてきました。そのたびに、広告用のポスターが作られているわけですが、その多くがカラーでケンシロウが描かれたものです。今回『北斗が如く』という商品を作るにあって意識したのは、既存商品との差別化、既視感を感じさせない絵作りでした。


――たしかに、モノクロが基調になっていることで「なんだこれは!」というインパクトがあります。


横山:ケンシロウというのはとんでもない有名人なんですね。街を歩いていると、駅やコンビニ、書店にゲームショップ、至るところで彼の顔を目にします。そういうこともあり、メインビジュアルにケンシロウを登場させる以上、同時期に世に出ている別商品とは明らかに違うケンシロウを描く必要がありました。ケンシロウとわかりながら、世界観を感じさせ、ストーリーを表現する絵柄でなくてはならない。ですがビジュアルひとつでそんなものを表現できる人間は、原哲夫先生しかいないので、その意図をお伝えして描き起こしていただきました。


――女性を抱えているというのも、これまでのケンシロウのイメージとは違う印象を受けました。


横山:本作の話は、大雑把に言うと「ユリアという女に会いたがっているケンシロウという強い男の話」でしかありません(笑)。それをストレートに伝えるパッケージになりました。


佐藤:ストーリーを最も表している構図になっていると思います。


――『北斗が如く』というロゴも2つのタイトルがクロスした感じがまた印象的です。


佐藤:これはものすごく苦労しましたね。


横山:じつは『北斗が如く』というタイトルに決まったのは、去年の8月にあった新作発表会の直前でした。いろいろな案が出たんですよ。それこそ、「北斗」という言葉を入れない案もありました。「ユリア」が入っている案も多かったです。愛の話をどう表現するのかみたいな(笑)。あと、このロゴの構成を決めたのは名越(稔洋氏。「龍が如く」シリーズ総合監督)ですが、「この人はすごいな」とあらためて思いました。


佐藤:『北斗が如く』というタイトルに決定したあと、名越が「ロゴを"北斗の拳"の文字と"龍が如く"の文字がクロスフェードしているデザインにしてね」と言われまして。


横山:要は、タイトルには入らない"の拳"と"龍"という部分もロゴに生かしてくれという話だったんです。


――タイトルとして読ませない部分も残っているというのは、かなりめずらしいですよね。


佐藤:それをデザインするのがひと苦労で(笑)。いろいろなパターンを作ったのですが、ぜんぜんしっくりこなくて。


横山:最初は、デザインが強すぎて読めないものばかりでした。ですが、最終的に一番シンプルで一番かっこいいのがうまく出来上がってきましたね。


――ここにたどり着くまで大変だったんですね。


佐藤:その苦労もあって、いろいろな方からほめてもらえるくらいのデキにはなりました(笑)。


横山:いろいろな意味が込められています。"如く"という言葉を付けることで、「北斗の拳」しか知らない人には「これは何を言っているんだろう」という反応になりかねないですからね。あとはB級スピンオフ的な印象に受け取られるのも嫌ですし。そう受け取られないために、フォントを作品のロゴに寄せるなど工夫もしました。名前を決めるところからロゴの完成までの時間で言うと、半年以上かかっていますね。


佐藤:最初は、全然違う名前とかも考えていました。それこそ、「北斗」という言葉を使わないものもたくさん考えました。


横山:「暗殺拳の男」とかね(笑)。例えるならば「バットマン」を「ダークナイト」、「スーパーマン」を「マン・オブ・スティール」とタイトルを付けるのと同じように、「北斗の拳」をそのまま呼ばないやり方はないだろうかと、いろいろ模索していた時期もありました。


どの世代にもハマる「北斗の拳」を目指して

――物語についてはオリジナルで展開しますが、この方向でやることに決めた大きな理由を教えてください。


佐藤:そもそも最初からオリジナルで作ると決めていたんです。というのも、原作をただなぞるゲームならば"龍が如くスタジオ"で作る理由もないかなと。我々しかできない「北斗の拳」の世界を作りたかったので、ならばストーリーもオリジナルでと最初から決まっていました。


――実際にプレイし、原作の印象的なシーンやセリフを絶妙な感覚でブレンドしているなと感じました。原作準拠だと、展開を知っているのでストーリー的な新鮮さは失われてしまうんです。それをオリジナルストーリーにすることで、先が読めないドキドキ感が生まれていました。同時に「地下牢に入れられたら最後はあいつが出てくるんだろうな」といった、原作を知っていることで期待が持てる作りになっているのもおもしろかったです。ストーリーとしての新しい驚きと、お約束的にあったほうがいいだろうという要素のバランスは、相当考えられたのでは?


横山:じつは企画の原案はほかのチームでの立ち上げで、僕がシナリオを構築する前のたたき台のようなものは存在していました。舞台やキャラクターが部分的にあったのですが、それがあまりうまく組み上がっていなかったので、僕があらためて組み直しました。原作の「北斗の拳」はケンシロウのロードムービーで、じつは旅の目的があいまいなんです。それがゲームというメディアに作品を落とし込む際のネックでして、あまりゲームには向いていないんですよ。やはりゲームには短期的な目標が常に必要ですから。原案は「北斗の拳」のコアファンが中心になっていたので、よくも悪くも原作らしさが強かったんです。


――ファンだからこそ陥りがちな部分ですね。


横山:ですが、そのままではゲームとして成り立たない形でした。そこでまずケンシロウに"死んだはずのユリアがエデンという街にいるかもしれないから会いに行く"という目的を作りました。そして、エデンにすんなり入れてしまったらすぐに目標が達成されてしまうので、エデンは閉じた街であるという設定が生まれたんです。そこから、入口が閉じているからには理由があるはず......ということを足していって、今の形になっていきました。そこに「龍が如く」のエッセンスを加えようと、例えばエデンに入るためにわざと捕まって、地下牢から出るためにデビルリバースを倒して自由を得る......という展開にしていったり。これは「龍が如く」でいえば、桐生が賽の河原の地下闘技場で勝ち抜いて、情報を得るという感じですね。あとはそこからストレンジャーだったケンシロウが街の人に認められて、仲間が増えて、大目的に向かっていく......という流れを作りました。


――たしかに原作だとケンシロウは一カ所にとどまることはあまりないですし、能動的に拠点を作るという要素そのものが、原作にはない要素です。そこは本作の独自性を表している部分なのかもしれませんね。


横山:これまでいろいろな「北斗の拳」の物語が生まれてきましたが、ここまで目的や理由があるストーリーはめずらしいと思います。今回は完成された「北斗の拳」をどう使っていくかという話なので、シナリオ制作は「北斗の拳」のガチファンである佐藤と折原(純氏。本作ディレクター)と、そこまで詳しくない僕と名越の4人でチェックしました。そのようにバランスを取ることで、原作を知らない方が感じるであろう疑問点を自分たちが洗い出し、コアファンでないと見落としがちな部分を佐藤たちがフォローする感じでした。原作のセリフを入れる入れないのジャッジなどですね。ただ、原作のセリフを単に網羅するのでは脈絡がないので、みなさんがグッとくるセリフの取捨選択は行なっています。


佐藤:「このキャラクターが絡む場合は、こういう会話をしてほしい」といったように、要所にチェックを入れました。例えばシナリオではケンシロウとレイと会うシーンで、血塗れのケープを出していなかったんです。でも、そこはやはりケープは絶対に出すべきだろうと。あとはNSPさん(株式会社North Stars Pictures。「北斗の拳」の版権管理を担当)と密に連絡を取り合って、一言一句チェックをお願いしながら作っていきました。もちろん、NSPさん側の要望で入れられた要素も多くあります。だからいろいろな人の「北斗の拳」の知識が詰め込まれた作品なので、ファンは納得してもらえるシナリオになったと思います。



――やはり原作を知っている人、そうでない人の両方の視点があったほうがいいと感じましたか?


佐藤:そうだと思います。チームの中には若い世代もいましたし、逆に僕らの世代はリアルタイムで毎週連載を読んでいましたし(笑)。


横山:『北斗が如く』という名前を付けた瞬間に、「北斗の拳」ファンも「龍が如く」ファンも、両方を楽しませなければならないという"宿命"を背負ったんです。「龍が如く」しか知らない人が理解できる話にしなければならないと。そこの尺度として"知らない人"が重要で、彼らが理解できれば大丈夫だろうと。理解できない部分に正しく理屈を付けて、いかにわかりやすくしていくかという作業も多く行いました。


佐藤:だから「北斗の拳」を知らなくても『北斗が如く』の物語は理解できますし、コアファンの方も納得してくれる作品になっていると思います。


横山:ただ、登場人物をしっかりと知るには、原作を知っていたほうがいい部分もあるかもしれません。「シンはなんで白い拳法着を着ているの?」とか、「その肩パットは何?」とか言われちゃうと、そういうものだからとしか言えませんし(苦笑)。


――そこは原作どおりですから(笑)。


佐藤:そこは確実に守っているからこそ、「北斗の拳」世代がプレイしても違和感はひとつも覚えない作りにしてあります。


――「北斗の拳」のファンだけど「龍が如く」は遊んだことがないという電撃PlayStationのスタッフがいるのですが、彼が本作をプレイしていたときにものすごく絶賛していました。しかも、けっこうなパチンコプレイヤーで、本作の奥義の成功の金文字演出に「激アツ!」と興奮していました(笑)。あれは、パチンコの演出に近づけているのでしょうか?


佐藤:バトルのリーダーがパチンコ好きなので、たぶんそういう演出は意識していると思います。ただ、「北斗の拳」は35周年にもなるので、"「北斗の拳」を知っている"という人が、どのコンテンツで触れたのかわからないんですよ。


横山:「漫画ファン」「アニメファン」「映画ファン」「パチンコファン」と、いろいろな可能性がありますから。どの「北斗の拳」のファンなのかわからなくて、マーケティングしきれないんです。となると、どのファンが遊んでも楽しいように作るのがベストになるんですよね。



――ラオウ編までの主要キャラクターは全員出すことは最初から決まっていたのでしょうか?


佐藤:ラオウ編の途中ぐらいまでですね。


――「龍が如く」では毎回何かしらのメッセージが物語に込められていました。本作にも、そのようなメッセージ性は隠されているのでしょうか?


横山:いやぁ、今回はそんなに説教臭くないと思いますよ。あえて言えば、「水は大事に」とか「争いはやめよう」とか、そんな世界平和的なメッセージでしょうか。世紀末ですし(笑)。


――逆にあまりそこは深く考えないで、「北斗の拳」の"ケンシロウがユリアを捜す"という話をわかりやすく楽しんでほしいという感じでしょうか?


横山:そうですね。「北斗の拳」をパチンコくらいでしか知らない方などにとって、ケンシロウはカッコよくて強いのがいいんです。本作はそのケンシロウを操作して、おもしろそうと思ってもらえればいいかなと。とにかくケンシロウがカッコよく見えればよかったんです。テーマとか裏目線とかはありますが、要はキャラクターがカッコよければいいと昔から考えていまして。カッコいいに勝るものはないですからね。その部分に関しては「龍が如く」とあまり変わりませんでした。こちらはいかに桐生をカッコよく見せるかにこだわっていますし。キャスティングについてもその発想からきています。


――たしかに演出はケンシロウのカッコよさが全開でした。そういう意味でも「北斗の拳」ファンは非常に楽しめるメインストーリーですが、サイドミッションについては「龍が如く」節が全開でしたね。そのギャップがまたおもしろくて(笑)。


横山:ビックリしませんでした?(笑)


佐藤:最初からサイドミッションやプレイスポットは、全般的にハジケてしまおうと考えていました。まさに"「北斗」の常識を、ぶち壊す。"というコンセプトどおりですね。最初は、"こんなケンシロウ見たことない!"と打ち出していたので、そこは「龍が如く」のノリでいいと指示しました。


横山:あと本作は"ドラゴンエンジン"ではなく、『龍が如く0』のエンジンで制作しています。"エンジン"というのはシステムの部分だけではなく、発想そのものを指しているんです。このエンジンは"最高の街遊び"を作れるエンジンなんですよ。キャラクターではなく、街という空間をいかにおもしろく表現できるかに特化しています。それを正しく使うとあの形になるのかなと。また、サイドミッションも"龍が如くスタジオ"なので、屈強な強い無口な男をイジらせたらお手の物なんですよ(笑)。子どもに弱くてお願いされると真剣にかくれんぼをするなど、ケンシロウと桐生は芯の部分がよく似ているんですね。だからケンシロウのイジり方の発想方法も同じでいいので、そういう意味では自信があります。これが別の性格を持つキャラクターならば、ものすごく苦労したと思います。ちなみにサイドミッションは、「龍が如く」でサブストーリーを担当している堀井(亮佑氏)が担当しています。まさに"堀井ワールド"が全開ですね。まあ、やりすぎて自主NGにしたものもありますが(笑)。


――ちなみに、このサイドミッションはNSPさんが確認されているのでしょうか?


横山:もちろんチェックは出しています。とはいえ、NSPさんは"「北斗の拳」をよりおもしろいものにする"ことにとてもストイックなので、ほとんどNGはありませんでした。逆にネタ出ししてくださるくらいで、監修というよりも共同制作に近かったですね。



――プレイスポット自体もすごくブッ飛んでいるなと感じました。


横山:バッティングセンターの要素を『北斗が如く』に入れようとなったときに、「なぜ、この世紀末にバッティングがあるのか」という理由付けが必要なんです。そういった理由付けには、相当苦労しました。あと「デス・バッティング」って、どう見ても悪党を殺しちゃっているんです。「龍が如く」と『北斗が如く』の最大の違いは、主人公が人殺しをするかしないかという部分で、殺しを是とするかどうかは"龍が如くスタジオ"としても葛藤がありました。だから豪快に是とはできなかったんです。これは原作でもそうですが、ケンシロウは何かしら理由があるから北斗神拳を使います。たとえミニゲームとはいえ、悪党を理由もなく殺していいわけはないんです。これは「デス・バッティング」に限らず、すべての殺しに理由を付けました。これがなかなか大変でしたね。「囚人闘技」が一番大変で、「どうしてコロセウムがあの街にあり、どのように機能しているか」をライラが細かく説明しますよね。あれはケンシロウを快楽殺人者にしないために、とても大事な部分なんです。


――ケンシロウが北斗神拳で悪党を葬るための説得力が必要なんですね。


横山:「龍が如く」は、戦闘が終わって敵が「ごめんなさい!」と言えば生きている世界なんですよ。でも、ケンシロウの場合は、北斗神拳で敵が爆死してしまうので、「ごめんなさい!」がないんです。もちろん、そこに意味を求めないというやり方もあるとは思います。ですが、僕は受け入れられなくて。それこそ、僕はファミコン時代のRPGですら違和感を覚えた子どもでした。自分が隣の町に行きたいがために、問答無用でモンスターを倒していいというのが、どうも引っかかってしまうんです。「通してくれ」と話して「だめだ。俺はモンスターだからお前を襲うぜ!」と言われて、初めて戦闘になるのなら納得できるのですが......。そういう対話がないのが受け入れがたくて、「龍が如く」では必ず対話をさせています。これが僕の信念なんですね。もし、ケンシロウが弱者を無意味に殺すようなキャラクターだったら、僕らはこのゲームを作っていません。


――たしかに地下牢に閉じ込められた際も、看守は北斗神拳で記憶を消しただけでした。


横山:少し油断すると誰かしらを殺してしまうので、そこのチェックはけっこう大変でした。


佐藤:相手がモヒカンだったら殺しちゃっていいんじゃないかという、錯覚に陥っちゃうんですよ(苦笑)。


横山:例えばショップ内でモメているモヒカンがいるのですが、最初のバージョンでは問答無用で殺していました。そういった些細なシーンでも、ほんの少しでいいから理由付けをしています。最後の最後まで修正を行なったのはこういった部分でしたね。開発の終盤ではたと気づいて、シナリオ上でも快楽殺人に捉えかねられない部分をすべて洗い出し、修正を行っています。


――でもシナリオやプレイスポットを含め、「北斗の拳」のファンとしては「ここまでやっていいんだ」というのは驚きました。


横山:それは、原作サイドへのアプローチの仕方しだいなのかなと。時代が経ったから、原先生やNSPさんが軟化したわけではなくて、最初から提案をしたかどうかの違いだと思います。原先生たちもとても柔軟に対応していただけまして、終始「おもしろければアリだ」というスタンスでした。


佐藤:「同じことばかりやっていても、「北斗の拳」自体が広がっていかない」「おもしろいことは、どんどんやっていきたいんです」とお話されていました。


横山:だから、「北斗の拳 イチゴ味」といったギャグ漫画展開もしていますしね。企画段階で名越が「話せばわかる方々だと思う。原先生と交渉してみよう」と言い出しまして。そういう場を設けたら、原先生と最初から意気投合していました。親分同士が盛り上がっていたので、僕らは「これはイケるな」と。そこで"エンタテインメントへの考え方"というものについて話していたようで、その波長が合っていたので「目指すところはうまくいくな」と感じました。やはり、そこがハッキリしていないと、互いに腹の探り合いになってしまうんですよ。「どこまでやってOK」というのがわからないと変な自主規制が入っちゃうんです。その線引きがわかるようにしたほうが、いい作品が出来上がるので、最初のウチにすり合わせた感じです。


――大枠として"できること"がわかるのは大きいですね。


横山:何も知らない状態で「ケンシロウは女性を口説いてはダメ」と言われたら、おそらく遠慮して「黒服ケンシロウ」も生まれてなかったと思います。ですが、実際は逆で「客として行かなければOK」で、むしろキャバ嬢とかはどんどん出したいというスタンスだったんです。


佐藤:原先生は「時間があったら、キャバ嬢をたくさんデザインしたかった」と(笑)。


横山:それは最後までおっしゃっていました(笑)。


キャスティングは黒田さんありきでスタート

――キャスティングを「龍が如く」の声優陣が声を担当しているのも『北斗が如く』のセールスポイントのひとつです。みなさんの選考基準や、どなたにどのキャラクターをアテンドするかなど、けっこう悩まれたのでは?


佐藤:誰にどのキャラクターを当てるかは、開発チームみんなでキャッキャ言いながら決めましたね。楽しくて楽しくて(笑)。"龍が如くスタジオ"で「北斗の拳」を作るということで、ほかにはない作品にしたかったんです。なので、主人公は黒田崇矢さんにぜひ演じていただきたかったんですよ。


横山:佐藤はこの案件が正式にスタートする前から、ずっと「北斗を作るなら、ケンシロウは黒田さんに」と言っていましたからね。正式に作ることになってからは、まず原先生に許可を取る必要がありました。だから異例ではあるのですが、黒田さんをスタジオに呼んでサンプルを収録しました。そのデモを持って原先生のアトリエへお伺いしたんです。そしたら、サンプルボイスを聞いた原先生がものの10秒くらいで、「素晴らしい。僕が理想とするケンシロウの声に近いです。こんな方がいたんですね。」とおっしゃったんです。


佐藤:声優を決めるにあたって、もちろんいろいろ議論はありました。オリジナルアニメファンも根強くいるので、そちらの声優さんにお願いしたほうがいいのではという意見もありました。ですが、もう亡くなられている方もいらっしゃいますし、変えるのであれば私たちが一番信頼できる方たちにお願いしたほうがいいだろうと。


横山:その考えを原先生にお話ししたところ、「おまかせします」と言ってくださったので、その期待に応えるべくこれまで仕事をしたことがある、最も信頼できる声優さんをキャスティングしていったわけです。そうしたら自ずと「龍が如く」のメンバーがそろいました。あとは、「龍が如く」でのキャラクターイメージも考えながら当てはめていきました。そこはもう楽しかったですね(笑)。



――原作に登場したキャラクターに誰を当てはめるか、逆にオリジナルキャラクターに誰を使うかというのはかなり悩まれたのでは? 原作キャラクターでいえば、山路和弘さんのリハク役がすごくピッタリで驚きました。


横山:すごくよかったですよね!


――オリジナルキャラのジャグレも、まさに登場の絡み方がユウヤでしたし(笑)。


横山:ジャグレについてはユウヤから想像したのではなく、演じている三宅健太さんの演技に引っ張られた感じですね。ジャグレはユウヤよりもかなり活躍するキャラクターですし(笑)。そういう意味では、「龍が如く」の役の重さだけで配役を決めたわけではないですね。とくに、ジャグレ、タルーガ、キサナは、「龍が如く」のキャラクターとは完全に別視点でキャスティングしています。キサナの「頭がいいツンケンした美女」を演じさせたら沢城みゆきさん以上にうまい方はいませんし、ジャグレの「ひょうきんだけど勢いのある男」を演じさせたら三宅健太さんを超える人はいません。タルーガも「キザで強い男」を演じさせたら中村悠一さんの右に出る人はいないんですよ。逆に原作キャラのシンは、「龍が如く」の錦山彰とかぶらせた部分もあります。


佐藤:親友のポジションとして、レイ役もありかなとも考えました。ただ、やはり同じ一人の女を愛するという点や高いビルの上で戦って死ぬという点から、シンがより似合っているかなと思い、中谷一博さんにシン役をお願いしました。


横山:白い服を着ていますしね(笑)。となるとレイの役を誰にするかで、けっこう悩みました。「龍が如く」では錦山のほかにハマりそうなポジションのキャラクターもいなくて。最終的に森川智之さんにお願いしましたが、これは「龍が如く」の品田辰雄というよりも、森川さんがトム・クルーズの吹き替えをされているときの演技の印象で選びました。


――森川さんには「龍が如く」の品田とは違う演技をお願いしたんですね。


横山:そうなんですよ。そういえば「龍が如く」に出演されている声優さん方は、横のつながりが強いみたいでして。今回はあらかじめみなさんにほかのキャスティングを伝えていたので、別の収録現場で情報を交換していたみたいなんですよ。で、今回は宇垣秀成さんのジャギ役から収録をスタートしたんですが、その際宇垣さんに(「龍が如く」の)真島っぽい演技をお願いしたんです。そうしたら、その話を聞いた別の声優さんが、「え? 「龍が如く」のキャラの演技でやるの?」と驚かれたみたいで。レイのように「龍が如く」のイメージをまったく引きずらない場合もありますので、人によっては現場にやってきてからめちゃくちゃとまどっていました。いろいろな情報が飛び交っていておもしろかったです(笑)。


――そのあたりが人によっては収録に苦労された部分だったりしたんですね(笑)。


横山:収録自体も『北斗が如く』というタイトルが決まる前に行なっていたので、"龍が如くスタジオ"の「北斗の拳」という台本だったんです。なので、みなさん意味がわからなかったみたいですね(苦笑)。



――ちなみに原先生は、声と映像を合わせたものは確認されているのでしょうか?


佐藤:トキやサウザーなど、原先生が実際に確認しないとキャスティングできないキャラクターもいますので、確実にチェックされていると思います。原先生と武論尊先生でも、気にされるポイントが全然違うようですしね。


――オリジナルキャラクターも原先生がデザインされていますが、依頼時にはどのようなやり取りがありましたか?


佐藤:こちらからアイデアを出してチェックしていただくパターンと、テキストイメージだけ伝えて原先生にイチから作ってもらったパターンがあります。キサナやライラなどは後者ですね。


横山:じつはタルーガは目の前で描いてくださったんですよ。


佐藤:僕らが伝えたイメージと原先生のイメージに齟齬があったみたいで、「ちょっと違うんだよな」と言いながら目の前でサラサラっと。


横山:タルーガは途中で設定が大きく変わったので、イメージに齟齬が出ちゃったんですね。その後にタルーガのキャラクターについてすり合わせていたら、僕らの話を聞いている途中に紙と鉛筆を取り出して、輪郭を描きだしまして。15分ぐらいであれよあれよという間に、今のタルーガのイメージが出来上がっていました。僕はすごく感動していたんですけど、まわりのメンバーは無表情でしたね。


佐藤:あれは感動して声も出なかったんですよ(笑)。


横山:NSPの方もすごく喜んでいました。普段こういうことはあまりされないそうでして、今回は筆がノッたんでしょうね。「キザだからシャツのボタンは上まで閉めているか」「ここの材質はメタルでしょう」など言いながら、デザインしてくださって。タルーガのデザインはそのときのママですね。



――そんなオリジナルキャラで、お2人のお気に入りは誰でしょうか?


横山:僕はキサナが大好きですね。MVPですよ。声がすごくよくて、ずっと小言を言われていたい。シナリオだけ読むと、けっこう小姑みたいなうるささがあるんです。理屈っぽいし、抜け目もないし、よく威張りますし。でも、そこに沢城みゆきさんの声が乗るともうたまらないみたいな(笑)。


佐藤:僕はジャグレが好きかな。名越もジャグレが好きだと言っていましたね。


――原先生のイラストといえば、今回は「宿星護符」を使うとカットインが入りますが、あのイラストは新たに原先生に描いていただいているのでしょうか?


佐藤:いえ、原作のキャラクターは漫画からそのまま使用しています。キサナやライラといったオリジナルキャラクターの一部は、原先生にお願いしていますね。


――「宿星護符」はもともとどういう意図で生まれたものなのでしょうか?


横山:もともと「出会った人の宿星を背負う」という仕組みがあったので、それを武器としてアサインできないかという発想が始まりですね。そこから「ほかのキャラクターの技を使えるようにしたらおもしろいのでは?」という流れで、ラオウの「天将奔烈」などが入っています。


――キャラクターといえば、初登場時にイラスト→着色イラスト→ポリゴンモデルのような表現に切り替わるのは、インパクトがあっていいですね。「龍が如く」シリーズとはまた違う感じで。


横山:あれはいいですよね。あの劇画タッチな画は、うちのデザインリーダーががんばって作りました。


奇跡の街・エデンが生まれた理由とデザインコンセプト

――「北斗の拳」でひとつの街がここまで深く描かれていること自体が、初めての試みだと思います。「北斗の拳」的な世界観のなかにありつつも、インフラが整備されているというエデンという街のコンセプトは、どういうものを考えて作られたのでしょうか?


横山:最初はゲーム性だと思います。企画原案の段階のコンセプトが、ケンシロウが街で遊んだら?というシンプルなものでしたから、そのために世紀末だけど潤っている場所が必要だったんです。"こんなケンシロウ見たことない!"というのは、つまりこういう部分なんです。世紀末なのに電気や水がある場所で遊ぶということ自体が、普通ではありませんから。ただ、このアイデアには2つの大きな問題があるんです。ひとつ目はケンシロウが電気や水のある場所にいること自体が、すごく特殊なケースであることを原作ファン以外が感じないことです。世紀末が草木一本生えてない世界であることは、原作を知らないとわからないんですよ。原作を知っているからこそ「ケンシロウがバーテンダーになるなんて!」って笑えるシチュエーションなんですね。2つ目は単純に「電気と水が豊富にある」という理由がないってことでしょうか(笑)。そこを必死になって固めていきました。


――原作でもケンシロウの日常生活を垣間見られるシーンがほとんどないですね。


横山:じつはケンシロウは飲食するシーンを見せることがNGなんです。なので、店では背後からのカットになっています。飲んでも水くらいですね。


――たしかに冒頭では水を飲んでいましたね。あとはエデンにはイディアルという通貨がありますが、世紀末に通貨を存在させることには抵抗はありましたか?


佐藤:世紀末では、旧貨幣は役に立たないモノの代名詞ですからね。


横山:なので、閉鎖されたエデンという街の中だけの通貨なんですよ。


――一方で、物々交換がゲームのシステム的に入っていることには感心しました。


横山:それは名越が「そんな世界ならば物々交換がないとおかしいから入れて」と指示したんです。意外と「北斗の拳」に詳しくない人のほうが、そういう"当たり前"に気づくこともありました。


――通貨が流通していないなら、あって然るべきですね。


横山:ただ、原作にも通貨がある場所はありましたから。エデンがあの形になったのも、設定から形作られています。あれほど資源が豊かならば襲われますし、守りを固めるに決まっているので、ぐるりと城壁に囲まれたデザインになっているんです。じつはエンカウントバトルが発生したらダメな場所なのにもかかわらず、最初はエデン内でエンカウントバトルが発生する仕様だったんですよ。


佐藤:「なんでエンカウントする敵がエデンの中にいるの?」と担当に聞くと、「夜に抜け道から入ってきたんですかね?」とか「こっそり忍び込みました」とか(苦笑)。


横山:だからシナリオ側で「最初はエンカウントバトルが発生しないで、とある事件が発生してから街中でもエンカウントバトルが発生する」という流れを作りました。


――たしかに、その流れはプレイしていて「なるほど」と思いました。


横山:そこまでするからこそ、ケンシロウが苦労してエデンに侵入した価値が出てくるわけですね。ゲームをおもしろくするための設定を作らないで、無理やり成立させようとしたら歪みが出てしまうんです。門は堅牢だけど横はガバガバ。衛兵はいるのに治安はバラバラみたいな。スフィア・シティも「謎の施設」と説明されているのは、最初の案で本当に仕組みが決まってない謎の施設だったからなんですよ(笑)。


――完全にロストテクノロジーだったんですね(笑)。


横山:もともと"世紀末"という世界自体が想像の産物なので、そこにさらに"現実世界にも原作にもないもの"を無理やり入れ込むという部分は、なかなか苦労しました。どうリアリティを持たせるかが大変でしたね。


――"フィクションだけれど、原作ファンには馴染みのある世界"なので、なおさらでしょうね。


横山:そこに、カサンドラといった原作にあった場所も組み込んでいったので、どう表現したらいいか悩みましたね。拳王軍や聖帝軍の関わり方も考えなければいけませんしね。資源が無限に湧いてくる街なんてものがあれば、攻め込んでくるに決まっていますから。


――資源と言えば、ナイトクラブの登場シーンで盛大にムダ遣いしていたのは笑いました。


横山:ここのシーンに関しては、「北斗」というより「龍が如く」のお約束的なノリです(笑)。当初のアイデアは地面からゴゴゴ......と上にせり上がって終わりと、とにかく地味だったので「はっちゃけていいからおもしろい案考えて」と伝えまして。名越も完成した映像を見て「こういうのがバカバカしいけどいいよね!」とほめていましたね(笑)。「北斗の拳」だけでも「龍が如く」だけでも実現できない、オリジナリティあふれる仕掛けの詰まったシーンですね。



――「龍が如く」にはないといえば、フィールド(荒野)もまたそのひとつだと思います。こちらは「北斗の拳」を描くうえで必要だから入れたのでしょうか?


佐藤:世紀末ですので、荒野というフィールド自体は当初から制作していましたが、実際にそこをバギーなどで走るというのは、途中段階で追加した要素です。エデンという街の構成を考えていく中で、街の中だけでゲームを完結させるのは厳しかったこともあり、ちょうどストーリー上でカサンドラに向かうという展開があったので、ならばそこに向かうまでの荒野を自由に行けるフィールドにしてみようと。バギーをかっ飛ばしながらいろいろなものを探せるようにしたほうがおもしろいと考えたわけです。作業的には厳しかったとは思いますけど。


――さらに、そこからバギーのカスタマイズも生まれたわけですね。感覚的には『龍が如く0』などの「ポケットサーキット」に近い印象を受けました。


横山:巨大な動かせるポケサーですね。エデンは実在する現代の街をモチーフにした作りではないので、あまり多くのコンテンツを足せないんです。無理やり追加してもおもしろくなりません。そこは「龍が如く」と大きく異なるところです。「龍が如く」の場合は、街がリアルに寄っているからできる遊びも多いです。例えば飲食店ひとつとっても、機能としてはただ食事できるだけですが、そこにあるのがタイアップ企業だから「すしざんまいだ!」と思える。これだけでおもしろさがまったく違います。『北斗が如く』の世界では、そういうタイアップができるわけではありませんし、おもしろさにつながらないですよね。このように同じプレイスポットでも、おもしろさの質感が根本から違うわけです。体力を回復する、経験値を得るという効果は同じでも、そもそも持っている性質が現代劇と架空の世界では違うので、同じ楽しさが得られるわけではないんです。それであれば、無理に街にプレイスポットを増やすのではなく、『北斗が如く』ならではの世界観を生かした新たな遊びを作る方がいいですからね。その一つの答えが「荒野遊び」だったというわけです。


――荒野でのお宝探しも熱いです。


横山:現代劇とは違うメリットを生かして、今までの「龍が如く」にはない自由なおもしろさを提供できればと。世紀末は景色が大きく変わらないので、その点では想像以上に広大なフィールドを作ることができました(笑)。お宝はゲームセンターのゲーム筐体のようなものを撒き散らそうと考え、そこから「バギーをカスタマイズできたほうがおもしろいよね」というように、どんどん遊びが膨らんでいきました。レースも副産物なんですよ。荒野をバギーで走れるようにしたから、バギーレースもできるんじゃないかと。このおかげでまた別軸の遊びができました。


――荒野でのエンカウントは秀逸すぎて、『北斗が如く』ならではのおもしろさでした。


横山:あれは、佐藤が「荒野のエンカウントの仕方がおもしろくない!」と言い出したんですよ。


佐藤:これは最後の最後あたりで調整しました。かなりおもしろくなったので、無理をして入れてよかったなと。


「北斗の拳」を完全体現したバトルアクション!

――本作の核となるバトルですが、まず「秘孔アクション」の爽快さと操作の一体感が素晴らしいです。この形になるまでは苦労されたのでは?


佐藤:何度も変わったので覚えてないぐらいですね。『北斗が如く』についてはバトルがキモなので、ここがおもしろくなかったらゲームそのものがおもしろくなくなってしまいます。プレイ時間のボリューム的にも、バトルがかなりの比重を占めているんですよ。


――そういわれると「龍が如く」よりも、戦闘の回数も多いですし時間も長いですね。最初は「龍が如く」的な動き方で、ボタン連打だけで戦っていたので長くなっていたのかもしれませんが。


佐藤:だから敵を素早く倒す秘孔関連の入力を○ボタンに集約して、秘孔をカンタンに突けるように誘導しています。奥義をたくさん出したかったので、秘孔を突くことでいろいろな奥義を出せて楽しめるようにしたんです。ですが、ずっとそればかりでは飽きてしまいます。僕はボタン入力のない「龍が如く」の一部ヒートアクションが物足りなかったんですよ。なので、すべてがインタラクティブになるように作っています。また、レベルが上がるごとにボタン入力が増えて、奥義の威力が上がるようにしました。爽快感という部分は「バースト」と「宿星護符」でも表現しています。


――ボタン入力に失敗しても奥義自体の失敗がないのはよかったです。


佐藤:それでもいつかは飽きがくるので、さらに「ジャスト秘孔」という仕組みを入れています。これを使えば、バトルテンポがかなりアップします。少し操作は難しくなりますが、慣れてくればサクサク敵を倒していけるような操作難易度に調整しました。サクサク倒せれば気持ちいいですし、強くなった気にもなれるので、そこはうまく調整できたのではないでしょうか。その先には敵の断末魔の叫びを武器にできる「ひで武器」というものもありますし。


――段階を追ってシステムが開放されるのも、1つひとつなじんでいく感じがよかったです。


佐藤:いきなりすべてのシステムを覚えるのは大変だと思うので、そこは意図的にバラけさせました。


――ただ「龍が如く」と比べると、少しだけ操作が難しい印象を受けました。


佐藤:あえてそこを目指して調整しています。ただ「北斗百裂拳」は□ボタン連打からの秘孔で確実に出せます。これは横山からの「「龍が如く」のような、カンタンな操作ラインを確実に残してくれ」という要望があったからですね。そこから一段上のアクションができようになると、より楽しめるような作りにしています。



――「龍が如く」だと、普段からゲームを遊ばない層もターゲットにして作られていますが、そことは少し違うところを見ているのでしょうか?


佐藤:アクションが苦手な人でも、「□ボタンや△ボタンで攻撃して○の表示が出たら○ボタンで秘孔を突けばいい」ということさえ理解すれば、問題なく遊べるようになっています。


横山:ボタン連打の回数が増えれば強くなるという、大雑把なゲーム性にはしたくなかったんです。一番カンタンなラインは残しましたが、余計に時間がかかるようにしてくれと要望しました。時間はかかるけどクリアはできる。ただ、もっとほかの技を覚えたくなるような作りをしてくれと。「龍が如く」のアクションはいわゆる押し切り型なんで、ボタンを連打していれば勝てます。ですが、『北斗が如く』はコンボのあとに秘孔を付く必要があります。操作説明では"「龍が如く」の操作感の延長線上に秘孔がある"と言っているのですが、目指しているところは別なんですね。


――似て非なるもの、という感じですね。


横山:プレイヤースキルが、そのままケンシロウの強さに直結する感覚を味わえるようにしたかったんです。じつは「龍が如く」のバトルは、アクションのうまい、ヘタの違いがパッと見であまりわからないんですよ。「龍が如く」は傍から見ていると華麗なバトルを繰り広げているように見えますし、そういうところを目指しています。だから、ヒートアクションもボタンを押せばシーンが再生されてスゴイ技を出しているように見えます。ですが、『北斗が如く』は腕の差が一目瞭然なんですね。ちゃんと操作をして秘孔を突かないと奥義が出ません。なので、ヒートアクションとは発想が根本的に違います。


佐藤:最初はもっとボタンを入力しなくてもいいゲーム性だったんですよ。そのときは「秘孔」に重きを置きすぎて、組み手のようなアクションになっていたんです。さきほど爽快感は「バースト」や「宿星護符」に逃がしたと話しましたが、それでも開発初期と比べたら格段に爽快感があるものになっています。というのも、今でこそケンシロウの通常攻撃でも敵が破裂していますが、最初はそんなことはありませんでした。パンチはただのパンチで、パンチと「秘孔」を分けていたんです。原作ファンだけが作ると、パンチは打撃だから敵は破裂しないんです。組手のようにパンチやキックを繰り返して、敵を動けなくしたあとにビシっと秘孔を突くようなイメージでした。その後、10秒くらいかけて敵が破裂するというのが毎回挿入される感じで、これではさすがに長いだろうと直しまして(笑)。だから初期から比べると4段階くらいバトルのテンポは短くなっています。


――ケンシロウが強くなっていくと、コンボだけで敵が破裂していくのはとても気持ちがいいです。


横山:通常の攻撃でも秘孔を突いている設定にしました。NSPさんも「原作でも足で秘孔を突くシーンがありますし、ケンシロウなら突けますから大丈夫です」とOKをいただきました(笑)。



――ゲームに慣れてくると、自分なりのバトルローテーションを組み立てるのが楽しいです。ゲーム終盤になるほど、どんどん理想のケンシロウになっていきます。


横山:「龍が如く」では、バトルを極めた人たちの動きは全員同じになるんです。ですが、本作では宿星護符の配置も含めて、それぞれ違う戦い方になるんじゃないかなと思っています。人によっては、ジャスト秘孔が好きな人、奥義が好きな人と分かれるでしょうし。それが開発側としても目指していたところで、その意味では"龍が如くスタジオ"史上でアクションが一番よくできていると思います。だから、飽きがこないんです。


佐藤:そういえば、荒野の下の方には行きましたか? そこには橋がかけられる場所があるのですが、僕らは通称"修羅の国"と呼んでいます(笑)。


横山:あくまで通称ですからね。原作に登場した「修羅の国」ではありませんよ。でも、それくらい危険な場所で、普通のザコ1体の強さがラオウみたいな場所で......ヤバイですよ(笑)。


佐藤:ここはやり込み要素として作った場所で、1周目に間違って入ったりしたら、敵のワンパンで帰ってきますよ。レベルをカンストさせてから行かないと即死......みたいな場所です。


――となると周回プレイで強くなる部分があるんですね。


横山:はい。2周目以降ではさらに気持ちよく戦えますよ。序盤のボスならば奥義1回で倒せるんじゃないでしょうか。デビルリバースの足を殴っているだけで倒すことも可能ですし。


佐藤:1周目とは違う、無敵のケンシロウが味わえますよ(笑)。


――あとは断末魔の叫びの「あべしコレクション」の条件が膨大でビックリしたのですが、あれもひとつのやり込み要素でしょうか?


佐藤:それ以外の何ものでもないですね(笑)。


横山:極めるのはかなり大変だと思います。


――こちらは昨年末に「あべしオーディション」という企画も募集していましたが、反響はいかがでしたか?


横山:おかげさまで多くの応募をいただきまして。応募には特定のカラオケ店に行く必要があるなど、なかなかハードルが高かったと思いますが、多くの方に参加していただけて感謝しかありません。


佐藤:意外とみなさんマジメに叫んでいましたよね。もっと、こう下品な叫びなどもあるのかなと思っていたのですが......(笑)。みなさん、ちゃんと演技なさっていて。


――ケンシロウにやられて叫び声を上げたいコアファンが多いんですよ(笑)。


横山:じつは女性の方もいらっしゃいました。


佐藤:今回「あべしオーディション」で収録されたボイスは、無料DLCを入れることでランダムに発生するようになります。収録時のIDも同時に表示されるので、自分の叫びかどうかもわかるようになっていますので、応募された方はぜひチェックしてみてください。


――では最後に、これから購入を考えている方にメッセージをお願いします。


横山:アクションという意味合いでは、"龍が如くスタジオ"は十数年積み重ねてきた経験があります。フルコンタクトアクションが減ってきた最近の時世に、ひとつやりたかったことが実現できている作品であると思っています。理想で言えばひとつの戦いで飽きないゲームが素晴らしいと思いますが、現実はそうもいきません。もともとアクションゲームとは、アクションをおもしろくするためにストーリーや舞台があるべきだと思っています。『北斗が如く』では北斗神拳のアクションが中心にあったうえで、それを最高におもしろくするための要素を入れ込むことができました。「北斗の拳」好きでも、「龍が如く」好きでも、アクションゲームが好きでも、最終的にはどの間口からでも入れるものに仕上がったと思います。"ゲーム屋"としてよくできたなという感触です。そこをぜひ味わってほしいと思います。


佐藤:横山のコメントと似てしまうのですが、やりごたえがあって2周目もおもしろいゲームを作れたと思います。手に取ってもらえれば必ず満足いただける仕上がりになったと確信していますので、ぜひ買って遊んでいただけたら幸いです。


横山:「世紀末プレミアムエディション」もかなりおもしろい特典があるので、そちらもぜひ(笑)。モデルを桐生一馬に変更できるモードが付いていて、僕は2周目から桐生で遊んでいます。違和感がなさすぎてビックリしますよ。


――「愛をとりもどせ!!」(クリスタルキング)と「TOUGH BOY」(TOM★CAT)の2曲も追加されるんですよね。


横山:オプションから切り替えることで、いろいろなシーンで流すこともできます。適度に切り替えてぜひお楽しみください。

豪華プレミアムエディションで「北斗」ワールドを満喫!

「北斗の拳」ファン、「龍が如く」ファンならば絶対に手に入れたい、スペシャルな特典が同封された「世紀末プレミアムエディション」が好評発売中! なかでも注目は、ケンシロウの外見を桐生一馬に変更できる権利で、桐生が「北斗百裂拳」を放つシーンは見ごたえバツグン。それ以外にも特典はタップリあるので、ぜひ手に入れよう!


【特典内容】
①ケンシロウの外見を『龍が如く』の桐生一馬に変身できる権利
※任意で切り替え可能です。
※一部イベントシーンでは反映されません。


②追加BGM
「愛をとりもどせ!!」(クリスタルキング)
「TOUGH BOY」(TOM★CAT)
※一部シーンでのみ変更可能となります。


③装備アイテム・宿星護符"南斗五車星"セット
・ジュウザ:一定時間、奥義が使えなくなる代わりに、攻撃力と防御力が大きくアップする。
・フドウ:一定時間、ガード、回避、ダッシュが不可能となる代わりに、ダメージ無効、のけぞり無効、かつ攻撃力が大きくアップする。
・シュレン:五車炎情拳による範囲攻撃を行い、ザコ敵は炎上する。
・ヒューイ:五車風仁拳による範囲攻撃を行い、ザコ敵は暗闇状態となる。
・リハク:バギー走行時、ガソリンが無くなって走行不能になっても復活する。


④原哲夫先生描き下ろしPS4®テーマ+「北斗の拳」アバター

『北斗が如く』とPS4®のコラボモデルが数量限定で本日発売!

ソニーストアでは、PlayStation®4用ソフトウェア『北斗が如く』を記念して作られた、PS4®のコラボモデル「PlayStation®4 北斗が如く Edition」を本日より販売開始!!

「PlayStation®4 北斗が如く Edition」は、PS4®本体(ジェット・ブラック)に加え、オリジナルデザインが刻印されたPS4®トップカバー、オリジナルテーマ、オリジナルデザインパッケージがセットになった数量限定商品です。

PS4®本体のHDD容量は500GBまたは1TBより選ぶことができます。PS4®トップカバーには、原哲夫先生の描き下ろしイラストが刻印されています。

※PS4®トップカバーは、商品同梱の説明書を参照して、PS4®本体に取り付ける必要があります。
※本商品に縦置きスタンドは付属しません。




「北斗の拳」という作品が持つ魅力を壊さないようにしながら、より楽しく・よりおもしろくを追求し、"「北斗の拳」の常識を、ブチ壊す"というアプローチに挑戦! 『北斗が如く』という作品は、その試行錯誤の末に誕生した作品となっています。NSPと"龍が如くスタジオ"の共同制作で生まれた新たな「北斗伝説」を、ぜひ堪能してみてください。


▼PS4®『北斗が如く』のPS Storeでの購入はこちらから


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北斗が如く

・発売元:セガゲームス
・フォーマット:PlayStation®4
・ジャンル:アクションアドベンチャー
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 8,390円+税
    パッケージ版 世紀末プレミアムエディション 希望小売価格 11,390円+税
    ダウンロード版 通常版 販売価格 9,061円(税込)
    ダウンロード版 世紀末プレミアムエディション 販売価格 12,301円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:D(17才以上対象)

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PS.Blogの『北斗が如く』記事はこちら

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©武論尊・原哲夫/NSP 1983 版権許諾証 GA-217

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