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『Detroit: Become Human』ネタバレなしレビュー:本作で味わえるあなただけの体験とは【特集第5回/電撃PS】

by 電撃PS編集部 2018/05/25

ついに発売を迎えたPlayStation®4用ソフトウェア『Detroit: Become Human(以下、『Detroit』)』。これまで4回に渡り、電撃PlayStation編集部は本作の魅力をさまざまな視点からお届けしてきましたが、最終回となる第5回では、一足先にクリアまで通してプレイしたうえでの"ネタバレなし"レビューを紹介! アンドロイドが普及した世界で描かれる3体のアンドロイドたちの物語を見て、何を感じたか、見どころはどこなのかを、ライター、編集の2人の視点でお伝えしていきます。


ライターが語る:さまざまなものを抱えて、乗り越えて進んでいく"つらさ"こそが魅力

本作のディレクター&脚本を手がけたデヴィッド・ケイジ氏が語っていた「生きるということは、選択の連続だ」というセリフこそ、本作に込められたメッセージだと思います。作中で、とあるキャラクターも口にする言葉ですが、実際にプレイしているとこの言葉が身に染みます。

これまでインタビューなどでも触れられていたとおり、本作には明確なゲームオーバーがありません。どんな選択を取り、どんな結果になったとしても、物語は最後まで続きます。プレイ中は心が締め付けられるような結果になってしまうことも多く、巻き戻してプレイし直そうかと思ったのは一度や二度ではありません。それでも、やり直しはしませんでした。プレイヤーという、いわば"神の視点"でプレイするのではなく、もっと主人公たちの立場になって"物語に入り込む"ことこそ、本作を楽しむために必要だと感じたからです。そして、その決断は間違っていなかったと思います。



もちろん、本作はキャラクターに没入するための工夫がいたるところに施されているため、自分で意識して「なりきらなきゃ」と思う必要はなく、そのまま違和感なく物語に入りこめるでしょう。しかし、自然と感情移入してしまうからこそ、コナーとハンクを仲良くさせてあげたくなったり、マーカスの革命運動を成功させてあげたくなったり、そして苦難の道を進むカーラを幸せに導いてあげたくなってしまうのです。

おそらく、誰しもプレイ中に「あそこで違う選択肢を選んでいれば、カーラとアリスはもっとラクをできたのでは?」と思うはず。でも、やり直しが効かないからこそ、真剣に悩む。そしておそらく、後悔するでしょう。それは現実とは違い、異なる選択肢が目に見えているから、というのも理由のひとつかもしれません。



正直いって、本作で提示される選択の多くは苦しいものです。だからこそ、うまくいったときは安堵したり、心が温まる。失敗すれば、つらい結果が待っているケースもあります。これらで動かされるのは、「嬉しい」とか「悲しい」といった単純な感想ではなく、心臓を締め付けられるような"素の感情"に近いものでした。

この感覚は、何も情報がない真っ白な状態でしか体験できないもの。2周目以降は、どうしても「まだ見てないルートを選んでみよう」という、理性的な思考が介入してしまうのは避けられません。だからこそ、最初の1周目は何も見ずに、やり直しもせずにプレイすべきだと、あえて強く言っておきたい。それほどの体験と価値が本作にはあると感じました。

観るだけではない! 緊迫感と焦燥感をほどよく盛り込んだゲーム性

本作では映画さながらの重厚なドラマが展開されますが、ゲームなので観ているだけというわけにはいきません。といっても、複雑な操作は必要なく、ゲームに慣れ親しんでいない人でもプレイは容易だと思います。

しかし、操作が簡単ということは、失敗しないということではありません。感嘆したのが、簡単な操作であってもミスしてしまうほどの緊迫感を、演出で与えてくることです。例えば、ホラー映画などで殺人鬼から逃げるとき、ただドアのカギを開けるだけなのにもたついてしまう心理といえばいいでしょうか。そういった演出が本作には散りばめられています。



わかりやすいのはアクションシーン。誰かから逃げたり、追いかけたりといった場面で、画面に表示されていくボタンを入力していくものです。先にも述べた通り、本作では明確な失敗はなく、入力がうまくいかずとも物語は進みます。しかし、やるからには成功させたいのが人間というもの。めまぐるしく画面が動く中で、一度も失敗したくないという気持ちが焦りを生み、結果的にいいスパイスになっています。

もうひとつが、ゲーム内と現実の時間がリンクしているシーン。例えば5分以内に何かを見つけるとか、どこかへ行くというものです。ただ真っ直ぐ進むだけなら難しくはないものの、早いけど危険な道を通るか、遠いけど安全な道を通るかといった選択や、襲われている人を(時間を消費して)助けるか否かといった、焦燥感をあおる演出も。もちろん、選択を選んでいる間も時間は流れ続けるので、即断即決ができるかもプレイヤーの心境しだいでしょう。なお、自分はギリギリまで選べないタイプでした。



選択によって大きく物語の展開が変化する本作において、この簡単ながらも失敗もし得るゲーム性が非常によくマッチしていた印象を受けました。自分の操作が物語に影響するという実感は、ゲームだからこそ表現&体験できることといえるでしょう。

主人公によって見えてくるものの違い。あなたのお気に入りは?

プレイする前までは、主人公3体の視線の違いを頭では理解していたつもりでした。ですが、実際にプレイしてみると、それ以上に「心に訴えかける問い」が違うことに気付かされます。

個人的に最も印象に残っているのはコナーです。彼は人間の側に立つアンドロイドという、2つの存在の境界に位置する人物だけに、物語では「人(任務)を取るかアンドロイド(同胞)を取るか」という選択を突きつけられます。最初は割り切るのも比較的簡単でした。ですが、物語が進むに従って、人の醜さや自分との社会意識のズレのようなものを感じ始めたんです。アンドロイドでありながら、アンドロイドを捕まえることを命じられる自分はいったい"何"なのか。ハンクとのさまざまな捜査を経て、その答えにたどり着くことがコナーの命題となっています。



2体目の主人公・マーカスは、一言で現すとヒロイック。奴隷のように人間の「道具」として扱われているアンドロイドたちを率いて自由獲得のために戦うリーダーです。しかし彼が置かれている環境はそんな華々しいものではありません。マーカスに投げかけられる問いは「希望か怒りか」もしくは「理想か現実か」というところですが、それまでのマーカスに何が起こったのかを体験することで、この問いが選びがたいものになります。彼は一度地獄を見ます。そして、もっとも人間の悪意に触れるアンドロイドかもしれません。天国から地獄へと落とされても、はたして希望を抱き続けることができるのか? と問われているように思えました。何かを得るには、何かを犠牲にしなければならないとしたら? マーカスのエピソードでは、もっとも大きく重要な決断を迫られることになります。



そしてカーラは「無償の愛」というのがいいでしょうか。子供がいない自分でも、「なんとしてもアリスを守りたい」と思わせるストーリーテリングがすごい。裏を返せば、そこまで思うほど過酷な運命が待ち受けるということでもありますが......。ともあれ、カーラのエピソードでは「アリスを守るために何を犠牲にできるか」という問いかけが多い印象でした。犠牲になるのは単純に他人や物であったり、場合によっては倫理感や正義という抽象的なものの場合もあります。そして当然ながら、そういった行為をアリスは快く思いません。アリスが望まないことをアリスのためにするかどうか。またはアリスが望むことをリスクを負ってでもやるかどうか、というのが焦点になってきます。現実にお子さんを持つ方がどういった選択をするのか、気になりますね。



最終的には3つのストーリーが交錯し、物語はクライマックスへ。そしてそれぞれに待ち受ける究極の選択。最後は本当に胸が締め付けられっぱなしでした。何度やり直したいと思ったかわかりません。それでも、すべて終えて全エピソードのフローチャートを目にした時、やり直さなくてよかったと思いました。誰一人として同じ道は通らないだろうと思わせるほどの分岐の多さ。それがフローチャートという目に見える形として出たことで、この道筋を"自分の物語"として認識できたのです。



いいゲームを評する言葉として「記憶を消してもう一度遊びたいゲーム」というものを耳にすることもありますが、自分にとってこの作品はそれに当たります。実際にはそれが叶わぬとしても、いずれさらに歳を重ねたあとにプレイすると、感性が変化していて違った結果になるかもしれません。そういう意味では、結婚や子どもができたあとなど、人生の節目を迎えるたびに、再びプレイするのもおもしろいかもしれませんね。また、ほかの人のプレイを見るのも違った面白さがあります。ぜひご家族や友人などに勧めて、それを鑑賞してみてください。



なお、プレイし終わったあとは絶対に内容について語りたくなりますので、ネタバレに敏感な方は可能な限り早めにプレイすることをオススメしておきます(笑)。(hororo)

編集が語る:『Detroit』がまぎれもなく"あなた"の物語である、その理由

ゲームの全体的な解説はhororoが大体語ってくれたので、自分からはその補足を少しだけ。ただ個人的には、このゲームを買うかどうか迷っている方は、今すぐこのレビューを読むのをやめてPS Storeで本作を購入し、ゲームに没頭していただいた方が絶対にいいと思います(笑)。また、このゲームを買うつもり、もしくは買ったという方は、このレビューはクリアした後に読んで、「こういう考え方もあるのか」「そうそう、そうだよね!」と、自分の体験を反芻するのに使っていただくことをオススメします。それぐらいこのゲームは私的で、だからこそ他人のプレイが気になるゲームである、というのが、第1の感想です。

デヴィッド氏が「本作は我々の手がけたゲームのなかでも最高傑作です」と語っていた通り、おそらく本作は、すぐに世界中からクアンティック・ドリーム作品の中で最高傑作である、と評価されるでしょう。その理由はさまざまでしょうが、もし自分がひとつ理由をあげるとするならば、それは"感情移入の度合いが凄まじい"ことにあります。

それゆえ、本作において行動を選択する際は、最初こそ"コナーだったらきっとこうするだろう"というロールプレイをすることもあると思うのですが、"自分がコナーの立場だったらどうするか?"と、徐々に素の自分がその場で判断することになっていくはず。少なくとも自分はそうでした。そこに"ほかの誰か"が介在する余地は一切ないんです。そしてその判断が、物語を大きく動かしていく。さらにその物語は叙情的なBGMを伴って、実写と見間違うかのような映像で展開されていくのですから、本作のプレイ体験は映画鑑賞とは別種の体験、と言ってしまってもよいでしょう。



不思議な話なのですが、嘘偽りなく本当の気持ちとして、プレイしている最中は、「コナーは自分であり、マーカスも自分であり、カーラも自分」だったんですよね。もちろん、三者三様の独立したキャラクター、しかもアンドロイドなので、最初は自分がアンドロイドになりきって行動を選択すること自体に不思議な感覚を抱くと思います。ただプレイしているうち、徐々に自分とキャラクターとのズレがなくなってくる。その魔法のようなゲームデザインの解説はhororoの繰り返しになるのでここでは触れません。ちなみに、hororoは「苦難の道を進むカーラを幸せに導いてあげたくなってしまう」と言っていましたが、自分からすると「オレ(カーラ)は、アリスといっしょに何が何でも幸せに暮らすんだ! そのためだったら何でもやったるわ!」ぐらいの感情移入をゲーム後半、確実にしていましたね(笑)。



それだけに、自分が行動する際の緊張感とその行動がもたらした結果には一喜一憂しまくりでした。とっさの判断ミスでとんでもない結果になってしまったときは「えっ......えっー!?」と、夜中の編集部で声が出るくらいに......。そのときの自分の不甲斐なさや、ままならなさと来たら、やっぱりとんでもなくて、相当落ち込みました。ゲーム中は落ち込むヒマもない、緊迫した状況だったのですが。終盤は本当にちょっとしたことで物語が大きく変化することもあるので、ぜひ悔いのないようにプレイしてください。

ままならなさと言えば少し話は変わりますが、現実世界と同じでゲーム内の社会もまったくままならないんですよ。アンドロイドによって職を奪われた人もいれば、とくに理由もなくアンドロイドに当たり散らすような人もいるし......。ぶっちゃけた話、自分は最初、「自我を持ったアンドロイドは情状酌量の余地なく即廃棄なんてかわいそう」とか「完璧なアンドロイドと人間が比較されるなんてイヤな時代だな」などさまざまな考えがないまぜになってはいましたが、やや人間に同情的な立場だったんですよ。人間の生活を豊かにするために生み出されたはずのアンドロイドが、人のあり方を歪めてしまったように思えていたんです。



ただそういった複数の意見は本作をプレイしているうちに整理され、どんどん変わっていきました。そのきっかけとなったのは、あるキャラクターが発したひと言なのですが、ネタバレになるのでここでの記載は避けます。それにプレイヤーの数だけ、考え方も、それが変化するきっかけもあるでしょうしね。また、ゲームをクリアした今、当時の自分はなぜその選択を取ったのか、その瞬間は押し出されるようにして選んだ行動の理由が、なんとなくわかるようになりました。チャートを振り返りながら当時の自分を見つめ直すのもなかなかオツなものです。そういう意味で、初回プレイは自分の気持ちに素直に、かつ一気にプレイするのがオススメです。



あと、このゲームは "自分だけの物語"と感じさせるための仕組みのひとつとして、大量の分岐が用意されているのですが、裏を返せば当然ひとつの結末を見ただけでは、目にしなかった出来事やSF世界として綿密に作られた世界設定のすべては理解できません。ほとんどのプレイヤーは、本編を1周した段階では満足感もさることながら「私がさんざん悩んだあの選択、別のものを選んだらどうなるか試したい」とか、「本編のいたるところに散りばめられている2038年の世俗が記述された"雑誌"を読み集めたい」とか、行き着くところまで行ってしまうと「各チャプターのクリア後に表示される複雑怪奇なチャートを全部開けたい」といった、気になることややりたいことへの欲求が満足感を上回っているのではないかと思います(私もその1人です)。hororoと真逆の意見になりますが、自分はむしろ記憶は鮮明なまま残しておきたい派です。この圧倒的なボリュームで描かれる物語を自分の中に取り込む間に記憶が風化してしまうのが惜しいし、最初に自分がどういう意見だったか、この作品をプレイしてどういう理由でどのように気持ちが変化したか、それら自体に価値があると思ったんです。



さて、あまり"わたし"の物語について長く語るのも野暮というものでしょう。これはヒトとアンドロイド、そして"あなた"の物語なのですから。最後にあとひとつだけ無駄話を。ゲームをクリアしたらぜひ、『Detroit: Become Human』というタイトルについて、思いを馳せてほしいのです。『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』、『BEYOND: Two Souls』と、過去のクアンティック・ドリーム作品のタイトルも、クリア前とクリア後で印象が変わる、メッセージ性の高いタイトルでした。個人的には、本作は過去2作品以上に印象が変わるのではないかなと思います。



ではみなさん、『Detroit』でよき生活を! サイバーライフ社のアンドロイドたちが、万全の態勢であなたを「感情のジェットコースター」に乗せて、振り回してくれますよ!(あーや)




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Detroit: Become Human

・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・フォーマット:PlayStation®4
・ジャンル:オープンシナリオ・アドベンチャー
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 通常版 希望小売価格 6,900円+税
    パッケージ版 Premium Edition 希望小売価格 8,900円+税
    ダウンロード版 通常版 販売価格 7,452円(税込)
    ダウンロード版 Digital Deluxe Edition 販売価格 8,532円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:D(17才以上対象)

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PS.Blogの『Detroit: Become Human』記事はこちら

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『Detroit: Become Human』公式サイトはこちら

©Sony Interactive Entertainment Europe. Developed by Quantic Dream.

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