開発者が選んだ2017年度最高の作品を表彰! 「PlayStation® Game Developers Choice Awards 2018」レポート

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開発者が選んだ2017年度最高の作品を表彰! 「PlayStation® Game Developers Choice Awards 2018」レポート

PlayStation®4のゲーム開発者向けに、技術情報の公開や交流などを行なう「PlayStation® Developers Conference 2018」を、5月24日(木)と25日(金)の2日間にかけて東京・コングレスクエア日本橋にて開催しました。

開催初日の24日(木)には、同会場で第1回「PlayStation® Game Developers Choice Awards 2018」を実施しました。2017年度(2017年4月〜2018年3月)に日本およびアジアで発売されたPlayStation®ゲーム作品の中で、最も輝いているタイトルを表彰する催しです。投票者は、ユーザーではなく日本のゲーム開発者。全6部門において、開発者が選んだ最高の作品を盛大にお祝いしました。

今回は、「PlayStation® Game Developers Choice Awards 2018」表彰式の模様と、各部門受賞者の喜びの声をお伝えします。

大勢のゲーム開発者でにぎわった会場内には、「PlayStation® Developers Conference 2018」でも展示された「Xperia Touch」を用意。テーブルに投影したスクリーンを指でなぞると、自由に文字や絵を描くことができ、ステージの大型スクリーンに表示されるというデジタルメッセージボードとしてお楽しみいただきました。

6部門の受賞タイトルを表彰! 開発者の視点で選ばれた最高の作品は!?

「PlayStation® Game Developers Choice Awards 2018」では、「ベストビジュアルアーツ」「ベストオーディオ」「ベストVR」「ベストゲームデザイン」「ベストテクノロジー」、そして「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」の6部門を順に表彰。各賞を受賞したタイトルの開発者にご登壇いただきました。プレゼンターは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント ジャパンアジアリージョンオフィス プレジデントの盛田厚が務めました。

※以下、すべて敬称略。

ベストビジュアルアーツ

『ドラゴンボール ファイターズ』

バンダイナムコエンターテインメント プロデューサー 広木朋子
アークシステムワークス ディレクター/テクニカルアーティスト 本村純也

「ベストビジュアルアーツ」は、アートディレクション、アニメーション、モデリング、キャラクターデザイン、テクスチャの作成など、ビジュアルアートの分野において優秀なタイトルに贈られる賞です。受賞した『ドラゴンボール ファイターズ』には、「リアル系3D表現全盛の時代にトゥーン表現の頂点を見せてくれました」「原作を読んで誰もが妄想する迫力のハイスピードバトルを、ゲームに落とし込むとこうなるという、ひとつの回答を見せてもらった」などのコメントが寄せられました。

すばらしい賞をいただき、本当にありがとうございます。今回、特にうれしいのはデベロッパーチョイスということで、ある意味でゲームを見る目が厳しい方も多いのではと思うなか、本作を選んでいただいたことです。この受賞は、世界中に愛される「ドラゴンボール」というコンテンツを、本作の”超ハイエンドアニメ表現”で描いてくれたアークシステムワークス様の技術力と、それを最高のパフォーマンスで出してくれたPS4®のおかげだと考えております。主人公の孫悟空が常に進化をし続けているところを見習って、『ドラゴンボール ファイターズ』もどんどん進化していきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いします。(広木)

このたびは、このような素晴らしい賞をいただき、感激しています。スタッフのみんなを代表して、お礼申し上げます。正直、身に余る光栄と言いますか、素晴らしいビジュアルのタイトルがたくさんある中で選んでいただいたということで、非常に感謝しております。トゥーンシェーディングのビジュアルを得意としている弊社と、「ドラゴンボール」のIPのマッチングのよさを結び付けていただいた、バンダイナムコエンターテインメント様のおかげというところもあると思います。また、開発に尽力してくれたスタッフの一人ひとりに、あらためてお礼を言いたいと思います。(本村)

ベストオーディオ

『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』

スクウェア・エニックス ディレクター 内川毅

「ベストオーディオ」は、サウンドエフェクト、楽曲、サウンドデザイン、技術などを含む、オーディオ分野において優秀なタイトルに贈られます。受賞した『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』への投票コメントとして、「新曲もありつつ、何年経っても色あせない名曲が印象的に残りました」「すぎやま(こういち)先生の音楽とドラクエ愛にあふれる音響が理由です」などが挙げられました。

このような名誉ある賞をいただき、光栄に思っています。「過ぎ去りし時を求めて」というサブタイトルにあるように、これまでの「ドラゴンクエスト」の思い出を振り返ることもコンセプトにゲーム作りをしてきました。音楽に関しても、そのコンセプトに基づいて、すぎやま先生に作っていただいた新曲だけでなく、過去作の懐かしい音楽をお客様にお届けしたいというところで、過去の曲をシーンに合わせて選んでいます。30年以上続くシリーズの思い出が、みなさんの琴線に触れて、このような賞をいただけたのではないかと思います。

ベストVR

『V!勇者のくせになまいきだR』

SIE JAPANスタジオ 「勇者のくせになまいきだ。」シリーズプロデューサー 山本正美
アクワイア 「勇者のくせになまいきだ。」シリーズディレクター 大橋晴行

「ベストVR」は、最も優れたVRゲームタイトルに贈られる賞です。受賞した『V!勇者のくせになまいきだR』への投票コメントには、「キャラクターの圧倒的存在感。自分の手元で現実的に繰り広げられるファンタジーボードゲームの新しい体験がそこにありました」「家庭用VR機におけるVR体験の新しい形を示したと思う」などがありました。

すみません、身内のSIEが主催している会での受賞に申し訳ない思いもありつつ(笑)、すごく自信を持って作ったゲームなので、本当にありがたい受賞だと思っています。「勇者のくせになまいきだ。」シリーズは2007年にPSP®「プレイステーション・ポータブル」で初代が発売されてから、昨年で10周年を迎えました。自分ではそこそこ人気のシリーズだとは思っていたもののこうした賞レースとはとにかく無縁だったので、この受賞は心から嬉しいです。

僕にとってもチームにとってもVRのコンテンツを作るのは今回初めてでしたが、体感性や没入感が重要と言われるVRコンテンツにおいて、僕らはそのVR空間の中に、これまで培ってきたゲームのルールの面白さをしっかりと入れ込みたいと考えていました。その結果、一風変わったゲームとしてその立ち位置が認められたのだとしたら、本当に感無量です。ゲームが売れるのはもちろん嬉しいですし、メディアの方に評価されるのも嬉しい。ユーザーの方に喜んでいただけたらそれももちろん嬉しいですが、この場にいらっしゃる開発者の方々にこのような賞を授けていただいたことは、僕らにとって何物にも代えがたい誇りになりました。ありがとうございました。(山本)

本作は、昨年の「勇なま」シリーズ10周年という節目のタイミングでリリースさせていただきました。今回、ゲーム開発者のみなさまからこのような賞をいただくことができて、10周年にふさわしい記念すべきタイトルになったと思います。開発チームを代表して、お礼申し上げます。本当にありがとうございました。(大橋)

ベストゲームデザイン

『モンスターハンター:ワールド』

カプコン 常務執行役員 CS第二開発統括 兼 MO開発統括 プロデューサー 辻本良三
カプコン エグゼクティブディレクター/アートディレクター 藤岡要
カプコン ディレクター 徳田優也

「ベストゲームデザイン」は、ゲームプレイの仕組み、プレイアビリティ、プレイバランス、レベルデザインなど、ゲームデザインが優秀なタイトルに贈られます。受賞タイトルの『モンスターハンター:ワールド』には、「シリーズものに求められるもの以上のデザインがされていると思いました」「気持ちよくプレイが進んでいくとは、こういうことかと実感した」などの投票コメントがありました。

本日は、素晴らしい賞をいただきまして、ありがとうございます。世界の方、日本の方、すべての方に楽しんでもらえるタイトルにしようということで、シリーズタイトルでありながら、かなりゲームデザインに手を入れました。その部分に対して、同業者のみなさま方に選んでいただけたことは、本当にうれしいですし、励みになります。(徳田)

本作では、とくにアートディレクションを担当させていただきました。ゲームには没入感が大事だとずっと思っていて、ゲームデザインとグラフィックが一緒になってユーザーに伝えることを強く意識して作りました。この没入感を出すためのグラフィックが、ゲームデザインを後押しできたかなとも思い、このような賞をいただけたことをうれしく思います。(藤岡)

「モンスターハンター」シリーズも10年以上続いてきまして、僕たちの課題でもある”これからの「モンスターハンター」の土台を作る”というところはすごく意識していました。本作ではそのテーマを掲げたうえで、何を崩していいのか、崩してはいけないところはどこなのかを、これまでの経験の元、さらにチャレンジを続けるために、みんなで話し合いながら作ってきました。そして、10年以上続くシリーズのタイトルで、ゲームデザインの賞をいただいたことを、すごくうれしく思っています。これを励みに、これからもがんばっていきます。(辻本)

ベストテクノロジー

『アサシン クリード オリジンズ』

ユービーアイソフト リリース マネージメント マネージャー 岸田定幸

「ベストテクノロジー」は、グラフィックスプログラミング、人工知能、ネットワーク、物理など、技術分野において先進的かつ優秀なタイトルに贈られます。受賞した『アサシン クリード オリジンズ』には、「建築物を含めて完全な箱庭。群衆内容など常に先を見つめた技術検証をしている」「キャラクターの操作感を優先し、違和感のない繋ぎに力を入れているような調整がうまくできていた」などの投票コメントが寄せられました。

このような素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。ご投票いただいたみなさまと、SIEのみなさまに、感謝申し上げます。本日は、開発を主導していたモントリオールスタジオのスタッフが来られませんでしたが、代わりにプロデューサーのジュリアン・ラフェリエールのビデオメッセージをお持ちしましたのでご覧ください。(岸田)

ベストテクノロジー賞をいただき、開発チームは本当にうれしく思っています。この賞を受賞できたことは私たちにとって大変栄誉なことです。

『Assassin’s Creed Origins』は古代エジプトを再現しました。これはとてつもなく大きな世界なので、私たちはすべてのAIをキャラクターごとに書き分けることを決断しました。ゲーム内のNPCたちをクエストで使用するだけではなく、キャラクターたちそれぞれに予定や目的など、日常の生活を与えたのです。オープンワールドをさらに真実味のあるものにするため、数多くの技術への投資が必要でした。

また、ナビゲーションの考案に多くの時間を割きました。新たな「Assassin’s Creed」では、プレイヤーが走ったり登ったりしている間に流動的なナビゲーションを体験してほしいと思っていました。そのため、コードとアニメーションを基本的に1つの流動的な動きとして一体化したナビゲーションシステムを作りました。

これ以外にも『Assassin’s Creed Origins』のために開発した技術としては、自動的にゲームのフィールドを生成するものがあります。木々、太陽、砂漠などすべての風景はまず自動で生成され、その後アーティストが手を加えました。これにより、生産コストを抑えながら巨大な世界を生成することができるようになりました。

最後に、もう一度受賞できたことに感謝します。今回はそちらに伺うことはできませんが、この受賞は我々とって大変な栄誉です。本当にありがとうございました。

──ジュリアン・ラフェリエールプロデューサーのビデオメッセージより──

ゲーム・オブ・ザ・イヤー

『モンスターハンター:ワールド』

カプコン 常務執行役員 CS第二開発統括 兼 MO開発統括 プロデューサー 辻本良三
カプコン エグゼクティブディレクター/アートディレクター 藤岡要
カプコン ディレクター 徳田優也

最後の表彰は「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」です。こちらの賞は、すべてにおいて昨年度の最高の作品と思われるタイトルに贈られます。「ベストゲームデザイン」に続いて見事に受賞した『モンスターハンター:ワールド』には、「世界進出に苦しんでいた日本のタイトルの中で旋風を巻き起こしたタイトル」「独自のアセット管理機能が素晴らしいです。弊社でも工夫を考えたいです」といった投票コメントがありました。

最高の賞をいただきまして、ありがとうございます。本作は僕にとっても、チームにとっても、大きなチャレンジの連続でした。チームメンバーみんなが心血を注いで、がんばってチャレンジしてくれた結果、このような賞をいただくことができました。この賞をチームのみんなと共有できることが本当にうれしいです。(徳田)

本作を作るとき、グローバルで勝負したいという思いがありました。日本のゲーム業界がもっと盛り上がるといいと思っていて、その意気込みでチームメンバーが一丸となってがんばってきました。それが形となり、グローバルに名前を残せたと思いますし、これからもまだまだ業界が盛り上がるように僕たちもがんばっていきます。(藤岡)

投票してくださったみなさま、本当にありがとうございます。最新技術を使って最高の「モンスターハンター」を作り、グローバルで通用するゲームにすることがテーマにありました。この最新技術を使うところを実現させていただいたPS4®と、SIEのみなさまにお礼申し上げます。このご協力がなければ、僕たちの満足いくものはできなかったと思います。

本日は開発者向けの場だからこそ言いたいことがあります。「モンスターハンター」は大規模なプロジェクトになり、チームもすごく大きくなりました。ここにいる2人のディレクター、ならびに社内のスタッフ、そして外部の協力会社のみなさま、本当にありがとうございました。みなさまのおかげで、このゲームを完成できました。そして、このような評価をいただけたことをうれしく思います。(辻本)

喜びの声をもう一度! 各受賞タイトル代表者にインタビュー

表彰式終了後、各部門の受賞タイトル代表者のみなさんにインタビューを行ないました。登壇された方々に加え、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』からは岡本北斗プロデューサーにもご参加いただきました。みなさんの喜びの声をご紹介します。

『ドラゴンボール ファイターズ』(ベストビジュアルアーツ)

――「超ハイエンドアニメ表現」は本作の大きな特徴です。「ベストビジュアルアーツ」としてこれを評価されたことについて聞かせてください。

アニメをまるで自分で動かしているかのようなビジュアルは、本作でどうしても表現したいところでした。ユーザーさんからも、「ドラゴンボール」のアニメ表現を最大限に活かしたゲームを出してほしいという要望が多かったので、そこをアークシステムワークスさんの技術力で実現し、狙いどおりの評価をいただけたことはうれしいです。(広木)

――PS4®の開発環境について、どのような感想をお持ちでしょうか。

本作は3対3のバトルで、画面上に6体のキャラクターが同時に出ます。しかも、格闘ゲームなので60fpsを保持しなければならないため、当初は厳しい開発になりそうだと思っていました。しかし、PS4®のパワーのおかげで、思ったほど無理なく進められました。それなりの工夫は必要でしたが、スムーズな開発ができたのはSIEさんのおかげだと思います。(本村)

――今回は格闘ゲームで唯一の受賞になりました。

「ドラゴンボール」というカジュアルに楽しみたい題材に対して、格闘ゲームは敷居を高く感じてしまうかもしれないジャンルです。私たちには、格闘ゲームをもっと幅広い方に楽しんでもらいたいという思いがあり、そのためにグラフィックは力を入れなければならない部分だと思います。格闘ゲームは難しそうだけど、このゲームは面白そうだと感じてもらうには、グラフィックの力が重要です。アークシステムワークスさんと何度もすり合わせをしましたし、そこが格闘ゲームでの受賞につながったのであれば、とてもうれしいです。(広木)

グラフィックの要素はいろいろなゲームで大切ですが、格闘ゲームはまた違った意味で重要です。それは、遊んでいる人が楽しいのはもちろん、見ている人も楽しむためです。近年、格闘ゲームがeスポーツで盛り上がっている要因のひとつだと思います。今回はそこを強く意識して、見ているだけでも面白い、画面の中で何が起こっているのか、どんな駆け引きが行なわれているのかなどを、グラフィックを通じて表現することに注力しました。(本村)

――開発中、もっとも苦労したのはどんなところでしょうか。

おそらく、私も本村さんも同じ意見だと思いますが、何度もすり合わせを重ねたのが、まさにグラフィックの部分です。「ドラゴンボール」自体が長い歴史を持っているので、そのまま表現しようとすると、新しさが見えない表現になりかねません。「ドラゴンボール」ファンの方がイメージを変えることなく、それでいて新しい表現にするにはどうすればいいのかと、イメージボードも作ってすり合わせを繰り返しました。(広木)

アメコミ風で陰影の強いものから、ふんわりした表現まで、いろいろなパターンを試しました。ファンのイメージを崩さずにアピール力のある表現方法を絞り込み、その結果が今のグラフィックになっています。このすり合わせは、本当に心を削るような作業でしたが、今となってはいい思い出です。(本村)

『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』(ベストオーディオ)

――ゲーム音楽が好きなユーザーがたくさんいるのに対し、オーディオが評価・表彰される機会は少ないかもしれません。その中で本作が評価されたことをどのように感じますか?

本作は新しいお客様と、30周年を支えてくれた今までのお客様、すべてのお客様に感動をお届けしたいという思いがあり、音楽に関しては新曲だけでなく、過去作のアレンジ曲もふんだんに入れ、それを実現しようと試みました。ゲームをプレイした方は、きっとそこにワクワクしてくれたのではないかと思いますし、受賞の要因のひとつだと思います。 (内川)

――すぎやま先生とのやり取りで、とくに思い出に残っていることを教えてください。

新しい物語の中で、どこかに懐かしさを感じてもらうという狙いがあり、過去作の曲も随所にちりばめています。思い出深いのは、エンディング曲ですね。堀井(雄二)さんの強い要望もあり、過去作の名曲をつなげてみてはどうかという話になり、すぎやま先生に具体的に提案させていただいて完成したのがあの曲「過ぎ去りし時を求めて」です。

あとは、ベロニカとセーニャが大空を飛ぶ場面の曲。本当は新曲を作ってもらっていたのですが、映像がしあがってきた段階で、双子だったら『ドラゴンクエストIII』の曲にしたいといって、我々から堀井さんに提案してシナリオテキストごと変更しました。イベントシーンにいろいろな楽曲を合わせた動画を作ってみたところ、鳥肌が立つくらいハマったんです。堀井さんも納得してくれたので変更しましたが、せっかく新曲を作ってくれたすぎやま先生には、あとで僕が謝りにいきました! (岡本)

写真左はインタビューにご参加いただいた岡本北斗プロデューサー。

『V!勇者のくせになまいきだR』(ベストVR)

――VRゲームの開発は初めてとのことでしたが、どんなところが評価されたとお考えでしょうか。

そもそも一風変わったゲームシステムと、それをさらに個性付けをするためにメタ的な遊びを取り入れている、というところがこの「勇なま」シリーズの特徴でした。インスパイアされたネタ元は、映画だったりアニメだったりマンガだったりと色々ありますが、ふと思えば、今日ここに集まっているみなさんが作られたゲームからヒントをいただくことが、やはり一番多かった。なので、僕たちがこの栄誉ある賞をいただいたという評価よりも、やっとみなさんに恩返しができたという思いが強いですね。(山本)

魔王やムスメとボードゲームを遊ぶという体験が、VRタイトルとして目新しかったと思いますし、そこが評価につながったのかもしれません。(大橋)

現実にあることをVR空間で代替するコンテンツは、優れたものが出そろっていると感じていましたし、僕らはVRゲーミング自体をネタにすると言いますか、VR空間の中に面白いゲームが入っている、という二重構造を作ろうと思いました。それが結果的に立ち位置の異なるVRタイトルとなり、評価されたのかなと思います。(山本)

――VRタイトルは長時間遊ぶと疲れるものもありますが、本作は長い時間でも没頭できるように感じました。

当初、1ステージのプレイ時間は20分程度を想定していましたが、いざやってみると疲れを感じ、10分ほどの構成にしました。休み休みプレイしていただいて1週間ほどは遊んでいただけるイメージでしたね。ところが、意外とみんな1プレイあたりの時間が長く、こちらの想定よりも早くクリアしてしまう方が多かったようです。ゲームの面白さと酔いにくさが長時間プレイに繋がったんだと思います。(大橋)

――開発でもっとも苦労したのは、どんなところでしょうか。

技術的なところでは、画面の描画まわりでしょうか。魔王やムスメをしっかり描画するために、フィールドの魔物の処理をどこまで間引けるか。持ち味であるゴチャゴチャ感と、大きなキャラクターの描画を両立させるところは大変でした。(大橋)

あとは、VRコンテンツの開発者はどなたも苦労するところだと思いますが、ゲーム側にカメラの主導権がないのはやはり大変でしたね。ルールが面白いVRゲームを作ろうとしたとき、ルールを覚えてもらうためのチュートリアルが大切になりますが、このカメラ主導権の問題があるので、最終的には看板をドドンと置く形になりました(笑)。ここはもっとほかのやりようが発明されていくだろうと思います。(山本)

『アサシン クリード オリジンズ』(ベストテクノロジー)

――まず、同業者であるゲーム開発者から評価されたことへの感想を教えてください。

開発の方から認めてもらえたということで、非常にうれしく思います。開発チームが常にチャレンジを続けて、新しい技術を導入しようとしているので、それが評価されて大変光栄です。

――個人的に、どんなところがもっとも評価されたと思いますか?

プロデューサーもコメントしていましたが、アニメーションの流れをスムーズにすることは前作よりもかなり強化しています。あとはNPCの生活感でしょうか。実際に生活しているかのように表現できたのは大きかったと思います。

――今回の6部門で、海外タイトルとして唯一の受賞となりました。

有名な海外タイトルがたくさんある中で本作が唯一選ばれ、正直すごくうれしいです。古代エジプトはたくさんの方が好きなテーマなので、そこにも魅力を感じてくださったのかもしれません。

――まだプレイしたことのない方に向けて、アピールしたいのはどんなところでしょうか。

古代エジプトがテーマということで、学校の教科書には数ページしか載っていない日本では少しニッチな題材かもしれませんが、余りあるほどの魅力が詰まっています。ぜひ、それをゲームの中で見つけてほしいと思います。

『モンスターハンター:ワールド』(ゲーム・オブ・ザ・イヤー/ベストゲームデザイン)

――受賞コメントの中で、今後の「モンスターハンター」の土台になり、何を変えて何を残すかを考えたというお話がありました。この残すべきものとは、どんな部分でしたか?

今回、世界一のマルチハンティングアクションを作るうえで、より初心に戻って、何を継続させ、何を変えるか、みんなですごく考えました。これから先のことも考え、フォーカステストを何度も繰り返して、ひとつひとつのことを細かく分析しました。残すか残さないかの判断はその都度行ない、トライアンドエラーの中で決めていったことです。(辻本)

マルチでコミュニケーションが取れるアクションゲームがあまりない中で、「モンスターハンター」は早くからそこに取り組んできました。アクションゲームの部分と、コミュニケーションを取りながらマルチで遊ぶ部分がとても大切なので、これを崩さない内容をきちんと考えてきました。(藤岡)

素材を集めて装備を作る要素は、海外では受けないと言われていましたが、僕たちは決してそうではないと思っていました。そこに至るまでの複雑さはそぎ落としても、自分を強化していくという根本の面白さは進化させる。そんなジャッジをひとつひとつ重ねていった結果が出ていると思います。(徳田)

――世界に通用するゲームを目指し、その実績も残した本作には、シリーズの中で大きな飛躍があったと思います。それはどんなところだと分析していますか?

一言では表わせませんが、ひとつ言えるのは本作が突然うまくいったわけではないということです。日本ほどメジャーでなくても、「モンスターハンター」を好きだという人は世界各地域にいて、そのコミュニティがすごく応援してくれました。その人たちは、このゲームにもっとたくさんの人が集まってほしいと考えていて、協力プレイで手厚く助けてくれたり、遊び方を配信してくれたりしました。また、近年は協力プレイへの注目度が上がっていて、そのタイミングでリリースできたのも大きかったと思います。(辻本)

これまで海外で展開し、認知度もありましたが、実際に遊ぼうというところまで届いていませんでした。今回は、その壁を乗り越えることができて、辻本が言ったようなコミュニティの後押しもあったと思います。(藤岡)

据え置きハードのゲームということで、ユーザーが実際に遊ぶかどうかを判断するラインは低くなかったと思います。始めて10分でどんなゲームか伝わるような、わかりやすさも必要です。ここでベータテストを踏まえ、いい評価をもらえたことで、段階的に広まっていったと思います。(徳田)

――まだプレイしていない方へ、どんなアピールをしたいですか?

まだ遊んだことのない人に、どう理解してもらい、興味を持ってもらい、実際に触ってもらえるかは、すごく大事なところです。今回、開発者が集まる「PlayStation® Developers Conference 2018」で、僕たちがどんな意識や気持ちで作ったかを説明させていただく機会がありました。そこで伝えたようなことをユーザーにも広めて、興味を持ってもらえるならうれしいですね。(辻本)

イベントや大会など、体験してもらえる機会はこれからもあります。まだ遊んだことがなくても興味を持っている方が、そうしたイベントで触れてもらえるとうれしいですね。また、初心者でも遊びやすい配信コンテンツも続けていますので、これを機にぜひ遊んでほしいと思います。(藤岡)

さきほども話に出たように、ユーザーコミュニティには初心者をサポートする意識が強くあります。下位のクエストでも、救難信号を上げれば助けにきてくれます。今から始めて遅いということはなく、助けてくれる人はたくさんいますので、仲間に入ってきてほしいですね。僕たちも助けにいきますよ!(徳田)

こうしてにぎやかな雰囲気のまま幕を閉じた「PlayStation® Game Developers Choice Awards 2018」。今回受賞したタイトルは、開発者がほかの開発チームの作品を評価するという視点で選んだものですが、ゲームユーザーにとっても魅力的なタイトルが勢ぞろいとなりました。まだ遊んだことのないタイトルがあれば、この機会にプレイしてみてはいかがでしょうか?

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