【E3 2018】蹂躙された故郷を取り戻す侍の戦い! 『Ghost of Tsushima』(仮称)メディアセッションレポート

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【E3 2018】蹂躙された故郷を取り戻す侍の戦い! 『Ghost of Tsushima』(仮称)メディアセッションレポート

Sucker Punch Productionsにとって夢のプロジェクト──雄大な自然美と濃密な剣劇アクションが見る者を圧倒!

PlayStation®4用ソフトウェア『Ghost of Tsushima(ゴースト オブ ツシマ)』(仮称)は、「inFAMOUS(インファマス)」シリーズなどの世界的ヒット作品を手掛けた開発会社Sucker Punch Productions(サッカーパンチプロダクションズ)の最新作。1274年に起こった元寇を題材とする、オープンワールドの侍アドベンチャーだ。

物語の舞台は、日本の鎌倉時代中期。戦も多く、変革の時代の中、プレイヤーは1人の侍(ジン・サカイ)となり、日本の歴史や侍映画の象徴とも言える、復讐や希望をテーマに冒険をしていくこととなる。

米国・ロサンゼルスにて開催中の「E3 2018」では、Sony Interactive Entertainment America(SIEA)のメディアセッションを実施。Sucker Punch ProductionsのクリエイティブディレクターであるNate Fox、アートディレクターのJason Connel、そしてプロデューサーを務めるSIEの片見龍平が登壇し、実機デモプレイとともにゲームの詳細な解説を行なった。

※「E3 2018」での発表内容です、日本での発売など詳細は未定のものが含まれます。

左から、アートディレクターのJason Connel、クリエイティブディレクターのNate Fox、プロデューサーの片見龍平。

デモプレイは「PlayStation® E3 2018 Showcase」で公開されたゲームプレイ動画と同様のシーンが使われた。プレイの流れに沿って解説が行なわれたので、あらためて映像をチェックしておこう。

◆『Ghost of Tsushima』(仮称) E3 2018トレーラー
※動画には過激な表現が含まれますので、ご注意ください。

なお、「PlayStation® E3 2018 Showcase」で公開された動画は英語音声だが、デモプレイでは日本語音声にローカライズ。これは全リージョンに搭載されるオプション設定とのことで、日本のユーザーにとって、とくに嬉しい要素といえる。

舞台となるのは、「不帰(かえらず)の森」と呼ばれるエリア。主人公のジンが草原を歩くシーンからスタートし、対馬の雄大な自然が映し出される。坂を上ると山の裏に川が流れ、湾にはモンゴル軍の船が停泊しているのも見える。

解説を務めるNate Foxは「侍ジャンルのゲームを実現するうえで重要なのは、自然の雰囲気を正確に伝えること。草が揺れ、竹がしなり、そこに1人の侍が誇り高く、静かに立っている。そんな雰囲気を、ぜひ楽しんでほしいと思います。また、対馬は非常に大きなオープンワールドの世界です。プレイヤーを鎌倉時代の1274年にタイムスリップさせ、自分の意思でどこに行きたいかを決め、探求してもらいます」と述べた。

続いては、ジンとモンゴル兵との戦闘シーンに。クラシックな侍の果し合いが展開され、お互いが攻撃を仕掛けるまでの”間”がじつに絶妙。そして一刀で敵の喉元を斬り、兜が吹き飛ぶ! 一つひとつの血しぶきがどのように飛び、何に当たるかを綿密に計算したうえで、こうした緊迫感のある表現に注力しているという。

また、生と死を分ける戦いの中で重視したのは、「泥」「血」「鉄」という3つの言葉。この表現により、戦闘の生々しい雰囲気を味わえるようになる。

女武芸者のマサコと合流して寺院に進むと、見張りの兵を後ろから仕留め、鉤縄を使って天井裏に侵入。気配を殺したまま飛び降り、次々と敵を葬るアクションを見ることができた。

本作ではプレイヤーに自由を与えられ、環境内のどこへでも行ける。ジンはこの自由度を使って、モンゴル兵が気づかないうちに不意打ちで倒すことが可能だ。ジンは侍として厳格なしきたりで訓練を受けてきたが、隠密のように暗殺するスタイルは侍の戦い方とは異なる。それはモンゴル軍に対抗するため、新しい戦闘スタイルを習得せざるを得なかったからだという。

デモプレイはマサコとの一騎打ちを制したところで終了。美しい自然と濃密な剣劇アクションの余韻が残るなか、Nate Foxはこう締めくくった。

「本作の物語は、単純な戦争の話ではありません。生々しい人間たちが、悲壮なモンゴル侵攻の中で生き抜いていく姿を描いた作品です。辛い時代の中では、良心を持った人間でも誤った道に進むことがあり、ジンはそうした人々と歩んでいかなければならないのです。

私たちにとって、本作は夢のプロジェクトです。このゲームプレイを世界に発表できて、本当にうれしく思っています」

こだわりの舞台設定からゲームシステムまで、開発スタッフへの質疑応答を紹介!

デモプレイ終了後は、開発陣への質疑応答が行なわれた。海外スタジオが侍アクションゲームを開発するうえでの奮闘やこだわりなど、その回答を紹介しよう。

──侍のオープンワールドゲームを開発しようと考えたのはなぜですか?

侍の世界というものは、オープンワールドにピッタリです。各地を歩き回り、いろいろな人を助ける。そんな世界観を表現したいと思いました。

──日本国内において、元寇は戦国時代などに比べてメジャーではありません。それを題材として選んだ理由は?

理由はいくつかあります。第一に、対馬は島であり、オープンワールドゲームの舞台として理想的です(笑)。第二に、日本に対して初めて火薬の武器が使われたという、象徴的な戦いだったからです。そして最後に、大規模なモンゴル軍が襲来しているため、たくさんの敵をバッサバッサと斬り伏せられる。ここはジンの故郷ですから、侵入してくる敵は誰を斬ってもかまいません。

ただし、モンゴル軍をただ悪役にしているわけではありません。モンゴル軍にも誇りをもってゲームを作る必要があったので、そこはひとつのチャレンジになりました。

──侍のゲームを作るうえで、侍文化のリサーチにどれくらいの時間を費やしたのでしょうか。

私たちが最初にこのゲームを作ると決めたときは、映画や小説からインスピレーションを受けていました。実際に制作へ入ることになり、たくさんの勉強をしましたし、日本のSIEの方と一緒に対馬を取材して元寇で何が起こったかを詳しく知ることができました。とくに印象に残っているのは、刀の博物館に行ったことです。刀がどのようにして作られるのか、鍔とは何か、たくさんのことを教えてもらいました。

私たちSucker Punch Productionsが、ソニーファミリーの一員であることは本当にラッキーだったと思います。日本のSIEスタッフがいることで、日本文化の認識に対するフィードバックをもらい、当時の侍の戦術を知っている専門家にも会え、立ち回りや姿勢などを教えてもらいました。それらをゲームに反映することで、まるで鎌倉時代にタイムスリップしたような世界を作れたのです。

──東洋では忠誠心などが尊重されるように、ヒロイズムの定義は東洋と西洋で違いがあると思います。そのバランスについて、どのように考えましたか?

まずは私たちでストーリーを作り、それを時代のモラルや忠誠心などに詳しい人に伝えてみて、実際との齟齬がないようにフィードバックを受けました。私たちは、東洋の文化に生まれた人間ではありません。ですから、専門家や文化を知る人たちを信頼し、そのフィードバックを得たのです。できるかぎり早くフィードバックを反映し、もう一度見てもらうことを何度もやってきました。

どんなゲームでも制作に時間はかかりますが、自分たちと異なる文化のゲームを作ることは、さらに多くの時間を必要としました。繰り返しになりますが、ソニーファミリーの一員だったことで、そのやり取りを早くできたのはとてもラッキーでした。

──タイトルにある「Ghost」に込めた意味を教えてください。

このゲームでは、侍が自分自身の存在や戦闘スタイルを変え、「対馬の亡霊」としての姿にならなければならないことを描きたかった。戦闘シーンの一部では隠密のような動きをしていますが、これは通常の侍の戦い方ではありません。でも、ジンはそうやって変化し、目的を果たそうとしているのです。

──ゲーム内における島の状況は? モンゴル軍に侵攻された対馬に、人々の村は残っているのでしょうか。

モンゴル軍は対馬を占領し、島民を苦しめています。本作の物語はオリジナルのフィクションであり、史実をもとにインスピレーションを受けながらも、歴史そのままに作ったわけではありません。実際のモンゴル軍は対馬を蹂躙し、長く占領することはありませんでした。しかし、その史実がインスピレーションを与えてくれて、本作オリジナルの物語を形成しているのです。

モンゴル軍は、鎌倉時代の日本になかった戦術を持ち、海を越えて突然やってきました。ジンは伝統的な侍の戦術では対抗することができないと考え、自分自身の戦術にイノベーションを起こし、いろいろな戦術を生み出しました。

──ジンの目的は、対馬の村々を解放することなのでしょうか。

一番の目的は、モンゴル軍を対馬から撤退させることです。たった1人で始める戦いですが、ゴーストという存在になるに連れ、島の中で伝説になっていきます。やがて島民が立ち上がっていくのです。

──マサコとジンはどんな関係でしょうか。

まず、今回のデモでマサコを見せることができてよかったと思っています。ゲームの雰囲気や表現の仕方をわかってもらえるからです。マサコは、本当はとても良い心を持った人です。モンゴルの侵攻による辛い状況の中で誤った道に進みそうになっていますが、それをジンが戻してあげるのです。

──ゲーム中に登場する寺院や風景は、歴史上存在するものを再現しているのでしょうか。

実際の対馬にあった風景にインスパイアされているので、コピーではありませんが、実在したものをもとに表現しています。鳥居が海に続く、和多都美(わだつみ)神社に似たロケーションも登場します。実在する美しい風景を、どれだけゲームに盛り込み、どんなストーリーを持たせるか。私たちにとって、とても野心的なチャレンジになっています。

──キャラクターの豊かな表情が印象的でした。ゲームエンジンでこだわったところはありますか?

『inFAMOUS Second Son』でも使っているスタジオ独自のエンジンをコアとして、パーティクルの表現などを進化させています。たとえば、地面には3万もの落ち葉があり、人物の動作で舞い上がったり雨でドロドロになったり、さまざまな表現ができます。長く使って慣れ親しんだエンジンですが、「ツシマエンジン」とでも名付けましょうか(笑)。

──本作の時間や天候の概念について教えてください。

昼と夜がサイクルする、ダイナミックウェザーで表現されています。時間の概念は現実世界と異なり、ゲームの中の時間の早さで進みます。また、昼と夜だけでなく、天候も自然と変わっていきます。今回のデモプレイでお見せした「不帰の森」は暗い雰囲気で天候もどんよりとしていますが、ほかにも光り輝く日中のシーンもあります。

──ウサギやシカなどの動物の姿が見られました。ほかにはどんな動物が登場しますか?

対馬にはいろいろな動物が棲んでいますが、具体的な種類は言えません。それをなぜトレーラーで見せたかといえば、自然の一部である動物がいることで、ゲームの世界観を知ってもらいたかったからです。

──とても多くの戦闘シーンがありましたが、オープンワールドゲームということであれば、プレイヤーが戦いたくないと思えば戦闘を回避することもできるのでしょうか。

本作の世界は非常に大きいので、プレイヤーが望めばたくさんの戦闘を行なうことができます。ただし、戦闘以外の要素もたくさん盛り込まれています。自然の美しさなどこの世界にプレイヤーが完全に没入し、自分がどこにいるか忘れてしまうような感覚を味わってほしいです。

──登場する敵は人間だけでしょうか。それともモンスターのような敵もいるのでしょうか?

私たちは「inFAMOUS」で体からレーザーを出すようなキャラクターを作ってきましたが、このゲームはリアリティをもとにしているので、モンスターや化け物は出てきません。タイトルにある「Ghost」もモンスターではなく、リアルな人間です。モンゴルの侵攻で生き残った侍が、今度は亡霊となってモンゴル軍に復讐する存在になるわけです。

──刀や弓矢以外にも、いろいろな武器が登場するのでしょうか。

武器について、今はまだ詳しくお答えすることができません。本当はもっとお伝えしてしまいたいのですが(笑)。

──戦闘でスローモーションになるシーンがありました。あれは特殊な操作やスキルの一種でしょうか?

スローモーションになっていたのは、剣術のスキルを磨くことで実践できるようになります。つまり、キャラクターの成長要素もあるということです。

──一撃で敵を倒していたのもスキルのひとつでしょうか。

ゲームプレイトレーラーや今回のデモでは、ユーザーインターフェースをあえて非表示にして、ゲームの世界観に没頭してもらうようにしています。通常のゲームプレイでは、できるだけ必要最低限のユーザーインターフェースが表示されることになります。ただ、実際のバトルシステムについての詳細は、また次回のお楽しみとさせてください。

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※「E3 2018」での発表内容です、日本での発売など詳細は未定のものが含まれます。

©Sony Interactive Entertainment LLC.

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