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『人喰いの大鷲トリコ』がエンターテインメント部門大賞受賞。文化庁メディア芸術祭・上田文人インタビュー

by PS.Blogスタッフ 2018/06/15

「第21回文化庁メディア芸術祭」エンターテインメント部門の大賞を受賞! 現在開催中の受賞作品展の模様をレポート

文化庁メディア芸術祭は、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバル。第21回を迎えた今年度は、世界98の国と地域から4,192作品の応募があり、大きな反響を呼んだ。

以前の記事でお伝えしたとおり、エンターテインメント部門ではPlayStation®4用ソフトウェア『人喰いの大鷲トリコ』が大賞を獲得! 「日本でしかつくることのできない、新たなゲームのかたち」と非常に高い評価を受けての受賞となった。



6月13日(水)から6月24日(日)まで、東京・六本木の国立新美術館にて第21回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展が開催中。それに先駆けて行なわれた内覧会と贈呈式の模様をレポートしよう。クリエイティブディレクター・上田文人氏のインタビューも!



「文化庁メディア芸術祭」公式サイトはこちら

会場に実物大のトリコが出現! PS4®版、PS VRデモも試遊出展

会場では、各部門の受賞作を貴重な関連資料などとともに展示している。『人喰いの大鷲トリコ』ブースでは、実物大のトリコと触れ合うことができる「プロジェクション・トリコ」、上田文人氏が出演する大賞受賞記念映像、PS4®版『人喰いの大鷲トリコ』やPlayStation®VR専用タイトル『人喰いの大鷲トリコ VR Demo』の試遊スペースが設けられていた。

実物大トリコのプロジェクションは、「東京ゲームショウ2015」などでも展示されたもの。手を振ったり、近づいたりするとトリコがリアクションを返してくれる。さらに、「東京ゲームショウ2015」では体験できなかった、タルや目の紋様のオブジェも用意され、トリコに見せて反応を試すことができた。

上田文人氏は、受賞に対して感謝のコメントを述べつつ、作品について次のように解説した。


「『人喰いの大鷲トリコ』は、少年を操作し、トリコという巨大な生き物と一緒に遺跡から脱出するアクションアドベンチャーゲームです。トリコはAIキャラクターなので、思い通りにコントロールできない部分もあります。その偶然性の中に、ゲームでしか味わえないドラマがあるのではないかと思っています。少しでもこのゲームを体験していただいて、ビデオゲームの楽しさを感じていただけたらうれしいです」



贈呈式スピーチ「開発を諦めなかった理由は、トリコへの"情"」

続く贈呈式では、林芳正文部科学大臣より賞状やトロフィー、目録が授与された。エンターテインメント部門の受賞者とともに登壇した上田氏は、次のように受賞のコメントを述べた。

「大賞をいただき、ありがとうございます。『人喰いの大鷲トリコ』は、前作『ワンダと巨像』、前々作『ICO』の反省からできるだけ短い期間で制作するというプロジェクトでした。結果的にはこれまで以上の時間を要してしまい、その間には対応ハードがPlayStation®3からPlayStation®4に変わったり、新しいスタジオを作ったり、本当にいろいろなことがありました。

何度か諦めそうになったこともありますが、諦めるという選択を採らなかった大きな理由のひとつとして、僕自身がトリコというAIキャラクターに情を感じていたことが挙げられます。そして、完成まで支えてくれたgenDESIGNのスタッフ、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の開発スタッフ、音楽をサポートしてくれた作曲家の古川さん、そしてSIEのトップマネジメントの理解があったからだと思います。最後に『人喰いの大鷲トリコ』を愛してくださったファンのみなさまに、この場を借りて改めてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました」

上田文人氏インタビュー「ゲームでしかできない表現を常に模索している」

会場では、上田氏へのインタビューも実施。改めて受賞の感想、ゲームならではの表現について話をうかがった。


──『人喰いの大鷲トリコ』は、これまでにも国内外でさまざまなゲームアワードを獲得してきました。今回は「メディア芸術」というさらに広い枠組みでの受賞となりましたが、その感想をお聞かせください。


作品のテーマや内容を決める時は、いつも「普段ゲームを遊ばない人にもプレイしてほしい」と思っています。ゲームのアワードをいただけることはもちろん嬉しいのですが、こういった広くメディアを俯瞰した賞をいただけたことをきっかけに、より広い層の人達が『人喰いの大鷲トリコ』に興味を持ってくれたら嬉しいですね。


──審査員のひとりである遠藤雅伸さんの講評では、高度なAI技術やグラフィックス表現により架空の動物との心の絆を描き出したこと、ナラティブなゲームであることが高く評価されていました。こちらの講評を受けての感想をお願いします。


素直にうれしいですね。自分たちとしては制作に力を入れた部分ですが、そういった点を評価していただくことは少ないので。そこをズバリと言い当てられました。


──発売後のゲームユーザーの反響について、想定通りだったこと、意外だったこと、新たな発見などはありましたか。


やはりトリコの動作についての反響が大きかったです。ゲームの中には、トリコというAIキャラクターの動作をたくさん入れ込んでいますが、さほど気を払わずに入れた動作がプレイヤーの印象に残っていることもあれば、逆にコストを割いて注力したものの、プレイヤーからするとさほど印象に残っていないこともあります(笑)。こちらの予測とは違う反響があり、それはそれで面白いなと思いました。


──たとえばどんな動作でしょう。


トリコの動作のなかでも、特に反響が大きかったのは、トリコが狭い場所に頭を突っ込んだ時に頭が引っかかるようなモーションです。開発の初期段階で入れた動作だったので、自分たちとしてはそれが印象的な動きであるということを忘れていたんです。でも、発売後にSNSなどでユーザーさんの反応を見ると、その画像がよくアップされていました。

逆に、思いのほか印象に残らなかったのはトリコが飛ぶシーンです。トリコは大鷲というだけあって、ちゃんと空を飛ぶのですが、発売前にはその情報を伏せていました。サプライズにすれば、トリコが飛んだということがより強くプレイヤーの記憶に残るだろうと思ったんです。でも、こちらが期待したほどではなかったようです(笑)。


──『人喰いの大鷲トリコ』は多くのゲームユーザーに感動を与えました。その要因はどのあたりにあるとお考えでしょうか。

僕は「情感を揺さぶろう」と考えて、ゲームを作るわけではありません。制作中は、とにかく"映画や音楽、小説、漫画などほかのメディアではできないことかどうか"を常に意識しています。それが、結果的に感情を揺さぶることにつながっているのかもしれません。


──先ほどの受賞コメントでも、「ゲームでしか味わえないドラマ」という言葉がありました。ゲームならではの表現、その可能性についてお聞かせください。


僕の中に、明確に"コレ"というものがあるわけではありません。ゲームを作るうえで思いついたアイデアや表現を、常に「ちょっと待てよ、この表現はほかのメディアでも通じるだろうか」「ビデオゲームだからこそ効果的なアイデアなのかどうか」と照らし合わせながら作っています。そのうえで、自分自身でOKを出したものを採用しているんです。

たとえば「これはゲームでしかできない表現」という明確な指針があったとして、それを表現できればきっと制作も楽だと思います。いつかそうなればいいとは思いますが、なかなかその答えには行き当たらなくて。もしかしたら僕よりもずっと先、50年後、100年後には見つかっているものがあるのかもしれませんが、現時点では明確なものは自分の中にありません。いつも手探りで作っています。


──それが上田さんのモノづくりの指針になっているんですね。


そうですね。単に「より良いゲームを作ろう」という気持ちだけでなく、少し引いた視点でほかのメディアと比較し、どうすればそれらより良いものにできるか、また、ちゃんと太刀打ちできているのか、と考えながら作っています。いままで沢山のメディアに影響を受けてきているので、ゲームとして肩を並べていきたいと思っているんです。


──単純に「インタラクティブであるかどうか」ということでもないんですよね。


僕としては、そこはあまり強い武器にはならないかなと思っています。インタラクティブだから優れているかというとそうではありませんし、インタラクティブだからこそのマイナス面もあると思っています。


──『トリコ』に限らず、『ICO』や『ワンダと巨像』など上田さんの作品は独創性にあふれ、作家性を強く感じます。ご自身では、自分の得意とするところ、持ち味についてどのように捉えていますか?


自分が持っているものがあるとすれば、さまざまなものを分け隔てなく頭の中でミックスできるところかなと思います。真逆なもの――たとえば世俗的なものと高尚なもの、たとえば鳥と猫と犬、普通であれば「そんな組み合わせはあり得ない」と思うようなことであっても、まず分け隔てなくミックスしてみる。ある意味ナンセンスでもあるのですが、そこに面白さがあるような気がするんです。そこで出てきたものにリアリティを持たせていく、そういったところが自分の得意とするところかなと思います。


──日頃から、あらゆるものをインプットの対象としているからでしょうか。


そこまでいろいろとチェックしているわけではありませんが、比較的観ているのは映画ですね。エンタメ、アートに限らず、テレビ、CMから街並みや人も含めて、普通なら「ありえないでしょ?」という組み合わせを妄想するところはあります。そういう意味では、頭は柔軟なほうかなと思います。


──最後に、今後の展望についてお聞かせください。


次はもっと早く作りたいなと思います(笑)。

受賞作品展が現在開催中! 上田文人氏のトークイベントも

6月13日(水)から6月24日(日)まで、東京・六本木の国立新美術館にて第21回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展が開催中(入場無料)。

さらに、6月23日(土)には上田文人氏によるトークイベントも。ゲームクリエイターであり、エンターテインメント部門審査委員を務めた遠藤雅伸氏とともに、『人喰いの大鷲トリコ』の制作秘話などを語る予定だ。事前申し込みのうえ、ぜひ参加を!

第21回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展 概要

<会期>
2018年6月13日(水)~6月24日(日)


<メイン会場>
国立新美術館[2階企画展示室2E]
東京都港区六本木7-22-2
※一部の受賞作品の展示・上映は、サテライト会場にて行ないます


<開催時間>
10:00 ~ 18:00
※金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
※6月19日(火)は閉館


<入場料>
無料


<主催>
第21回文化庁メディア芸術祭実行委員会

エンターテインメント部門 大賞受賞者トーク 上田文人『人喰いの大鷲トリコ』 概要

<開催日時>
2018年6月23日(土) 15:30 ~ 16:30


<場所>
国立新美術館[3階 講堂]
東京都港区六本木7-22-2


<入場料>
無料
申し込みはこちらから


<出演>
上田文人 (エンターテインメント部門大賞『人喰いの大鷲トリコ』)
モデレーター:遠藤雅伸(エンターテインメント部門審査委員/ゲームクリエイター)


<定員>
250名

※プログラムの構成および内容は変更になる場合がございます。


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人喰いの大鷲トリコ Best Hits

・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・プラットフォーム:PlayStation®4
・ジャンル:アクションアドベンチャー
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 3,900円+税
    ダウンロード版 販売価格 4,212円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:B(12才以上対象)

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PS.Blogの『人喰いの大鷲トリコ』記事はこちら

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『人喰いの大鷲トリコ』公式サイトはこちら

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