狂乱のオメガ戦はこうして生まれた! 『ファイナルファンタジーXIV』開発スタッフが語る完成までの舞台裏

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狂乱のオメガ戦はこうして生まれた! 『ファイナルファンタジーXIV』開発スタッフが語る完成までの舞台裏

“大改修”を乗り越えて到達した、オメガ戦の圧倒的緊張感!! 開発当時の心境をバトルコンテンツデザイナーが語る!

8月27日(月)にサービス開始5周年を迎え、全世界で累計プレイヤー数1,400万人(*1)を突破したMMORPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下『FFXIV』)。
*1 日本・北米・欧州・中国・韓国の5リージョンの累計アカウント数。フリートライアル版のアカウントを含む。

今回は、パッチ4.4で新たに追加されたハードモードのレイドダンジョン「次元の狭間オメガ零式:アルファ編3」のボス、オメガが完成するまでの道のりを中心に紹介しよう。

スクウェア・エニックス 『FFXIV』北米コミュニティチームのMatt Hilton氏が、バトルコンテンツデザイナーとして開発に携わった同社の鍋島義人氏に8つの質問をぶつけた結果、かつてない困難に満ちた舞台裏が明らかに!

新たなギミックが考案された「次元の狭間オメガ零式:アルファ編3」のオメガ戦

みなさん、こんにちは! 『FFXIV』北米コミュニティチームのMattです。今回はバトルコンテンツデザイナーの鍋島義人を迎え、お話をさせていただきます。

私たちは過去5年間で3つの異なるシリーズ(*2)のレイドをリリースし、プレイヤーのみなさんに挑戦してきました。『FFXIV』のレイドでは難易度が上がるにつれ、スキル回しだけではなくパーティのチームワークも試しています。一方で開発者にとっても、新しいギミックやストーリーに合うボスを企画する作業は、みなさんが想像するより難しいことかもしれません。
*2 「大迷宮バハムート:邂逅編/侵攻編/真成編」、「機工城アレキサンダー:起動編/律動編/天動編」、「次元の狭間オメガ:デルタ編/シグマ編/アルファ編」の3シリーズ。

今回は、レイドボスを制作する全工程をお見せしたいと思います! 9月18日(火)にリリースされたパッチ4.4の「次元の狭間オメガ:アルファ編」では、新しいボスが登場しました。なかでも、『ファイナルファンタジーV』(以下『FFV』)をプレイした人であれば親近感を持つであろう、オメガについて鍋島に聞いていきます。

【Q1】オメガ戦を制作するにあたり、最初に着手したのはどのような作業でしょうか。さまざまな作業が考えられますが、ゲームプレイのコンセプトなのか、ボスを物語に合わせることなのか?

まずは、”オメガ自身が自己強化するための戦いを欲し、その相手を選別するためのトーナメントを行なっている”という物語をしっかりベースにしています。そのトーナメントに勝ち上がってきた光の戦士たちに対し、オメガはどのように振る舞うのか? というところから考え始めました。

“オメガと光の戦士、どちらが強いか?”といったわかりやすいテーマでもあったので、ドラゴンなどの途中参加するモンスターは登場させず、このバトルはオメガの兵装のみで構成しようと考えました。

【Q2】敵の攻撃方法や範囲攻撃のパターンなど、ギミックはどのようにして決めたのでしょうか。

『FFXIV』のレイドボス戦を経験したことがある方はわかるかと思いますが、このゲームではよくパーティのチームワークを試すようなギミックが出てきます。個人的に、2人がペアになってギミックを処理する”二人三脚”や、パーティ全員でタイミングを合わせて処理する”大縄跳び”と呼ばれるようなギミックは、企画に盛り込むのが苦手なのですが……今回は、あえてそれに挑戦してみようと思い作成しました。

その中でも特に思い入れが強いのが、「次元の狭間オメガ零式:アルファ編3」の「レベルチェッカーフェーズ」と「パントクラトル」です。

「レベルチェッカーフェーズ」は、オメガが敵として初登場した際に使う「サークル」という技をイメージしたものになっています。オリジナルである『FFV』のオメガが使う「サークル」は、設定はあるのでしょうが、やや説明不足な技だと感じていたので、『FFXIV』ではそれをより膨らませて、大縄跳びに近いギミックを盛り込んでみました。

▲オリジナルのオメガが使う技からイメージされた「レベルチェッカーフェーズ」。

具体的には、「連鎖忘却」というデバフが付いたプレイヤー自身がマップの外周で弧(サークル)を描く動きをして、プレイヤー自身がサークルの一部となる。さらに内周側で別のギミックを処理する他のプレイヤーを消しに掛かってしまう……。そんな想像の元に生まれたギミックです。

▲「連鎖忘却」が付いたプレイヤーが、円を描くように動いてギミックを処理する。

「パントクラトル」では、”窮地に追い込まれたオメガが放つ、最大攻撃の嵐”を、光の戦士8人が”一丸となって乗り越える”──そんなギミックを目指して作成しました。順次繰り出される異なる処理方法のレーザー攻撃を、プレイヤー全員が特性を理解したうえで攻略する。そうしなければ、乗り越えられない攻撃という設計になっています。

▲「パントクラトル」では、パーティ全員で動きを合わせられるかどうかがカギとなる。

オメガと戦っている実感がない……ディレクター判断による大幅な改修指示が下される

【Q3】ボスの3Dモデルやフィールド、カットシーンなど、ボス戦を作るには他の開発チームとも協力する必要があると思います。1つの戦いを作り上げるにあたり、どのような流れで作業しているのでしょうか。

ボスはギミックから考え始めるわけではなく、通常であれば、シナリオや設定が決まったうえで、アートワークの作業が始まります。そしてラフができた段階でバトル担当の視点からイメージを伝え、要望を盛り込んでもらいます。

▲オメガのデザインスケッチ。

ただ、今回のオメガはパッチ3.5からすでに登場していたため、デザインは先に決まっていたという例外的なボスです。

▲パッチ3.5で登場したオメガ。

次に、世界設定チームから事前に必要な情報を聞き出したうえで、バトルの企画を立て始めます。この時点で、フィールドの形状やバトル中の各フェーズの流れを含め、使用するギミックをおおよそ決めてしまうことになります。

企画ができたら、バトルシステムとモンスターセクションの全員でレビューを行ない、ここで修正点などの指摘があれば企画を再検討します。企画はこのレビューを突破しないと、何度も練り直しを行なうことになります。

企画的なレビューが終わると、次はプログラム実装に問題がないか、テクニカルレビューの会議が開かれます。企画の段階で実装に大きな問題はないか。また、事前に担当プログラマーと相談などをしていますが、複数人のレビューを実施して、全体を通して実装可能か。さらに作業コスト感などを最終確認することになります。

この後、グラフィックスやサウンドのリソース(アニメーション、VFX、BGM、SE)を発注する流れになります。こちらもスタッフに集まってもらい、企画のコンセプトや意図を説明し理解を深めてもらったうえで、全体的なコストやスケジュールを勘案してもらうことになります。これで、ボスを制作するための発注がひと通り完了します。

以降は、それぞれできあがってきたリソースを使い、ゲームの組み立てを行ないます。バトルシステムとモンスターセクションのスタッフで繰り返しプレイチェック、後半はプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹も加えてバトルテストが行なわれます。ここで全チェック終了となり、あとはデバッグチームがバグを検証し、問題がなくなればリリースとなります。

──これが通常の流れです。

▲波乱の末に完成したオメガ。

しかし今回、『FFXIV』では初めてとなる”ディレクター判断による大幅変更指示”が「次元の狭間オメガ零式:アルファ編3」で下されました。

プロデューサー兼ディレクターの吉田によるチェックは、開発チーム内で「P/Dチェック」と呼ばれています。「P/Dチェック」では、それぞれのボスに軽度の調整が入ることはよくありますが、今回はその軽度の域を超えた大改修事案となってしまいました。あの時の空気感は、一生忘れられないと思います。

「P/Dチェック」によって吉田から出された最大のフィードバックは、「オメガと戦っている感覚がない」というものでした。当時の「次元の狭間オメガ零式:アルファ編3」には、前述した「レベルチェッカーフェーズ」が2回あって冗長で、バトル終盤にも今のような盛り上がりはありませんでした。

「オメガとの最終決戦なのに、オメガと戦っている実感がない」という意見をベースに企画を再検討し、修正案を作成。すぐにレイドデザイナーの腕利きたちにレビューしてもらい、開発チーム内の修正方針が確定しました。これを持って吉田に変更提案を行ない、なんとか了承を得ます。

この後、関係者全員を集めての緊急会議が開かれ、プログラマーには新規ギミックの追加と、既存ギミックの仕様改変を依頼。アーティストには、新規ギミック用のアニメーション追加とVFX追加の対応を依頼。さらにサウンドチームには、新規ギミック用のサウンドエフェクトを付ける対応をお願いしました。すでに一度デバッグを行なっていた品質管理のQAチームには、「仕様追加されるので、再度デバッグをお願いします……」という悲報を伝えました。

この改修によって、「レベルチェッカーフェーズ」は1回となり、代わりに「サークルプログラム更新」後の攻撃がさらに激化するようになりました。「サークルプログラム更新」後のオメガの狂乱を表現するよう、アニメーションを追加しつつ、「高出力波動砲P」「拡散波動砲P」の2種のレーザーを新規追加しました。「ロケットパンチ(赤色)」という技も、非常に短い期間で準備していただきました。

このように、オメガは難産の末に生まれたバトルです。関係者には、多大な負荷を与えてしまいましたが、結果的に良いものになったと思っています。スタッフたちは、半ば呆れの気持ちもあったかもしれませんが、みなが寛大な心で修正を引き受けてくれました。とにかく感謝の気持ちでいっぱいです。

狂乱状態となったオメガの猛攻に注目してほしい

【Q4】オメガをコンセプトアートから3Dモデルへと忠実に再現するために、気をつけたことはありますか。

アートについては、担当した三石祐次に答えてもらいましょう。彼は本作のリードキャラクターアーティストです。

<リードキャラクターアーティスト 三石祐次のコメント>

非常にパーツ数の多いデザインだったので、すべてのパーツをひと通りそろえるのに大変な時間を要しました。また、それを配置する際にデザインイメージから逸脱しないよう、慎重に調整を繰り返しています。ボディの表面に施されたレリーフについては、オメガを印象付ける大切な要素だったので、立体感が乏しく華奢な印象にならないよう注意して制作しました。

【Q5】レイドをデザインしているなかで、当初の予定を変更するような”ひらめき”はありましたか。

今回の場合は、”ひらめき”というよりは、「次元の狭間オメガ零式:アルファ編3」の大改修という事案により、チームメンバーと相談して絞り出したアイデアが多かったです。オメガの「サークルプログラム更新」以降は、ほとんどがこれに該当します。

「サークルプログラム更新」以降の狂乱は、リーダーから「いっそ滅茶苦茶にオメガが暴れるモードにしたら?」というアドバイスをもらったことで生まれています。”オメガと戦っている”という感覚を、前面に押し出した結果になります。

▲滅茶苦茶にした結果、オメガと戦っていることが実感できる狂乱ぶりに。

また、前述したように、改修前の「レベルチェッカーフェーズ」には2回目がありました。今となっては考え直すきっかけがもらえて、とても良かったと思っています。

▲2回目の「レベルチェッカーフェーズ」を示した仕様書。

【Q6】オメガ戦の制作中に得たアイデアで、今後制作されるコンテンツに使ってみたいものはありますか。

ひとつ挙げるとすれば、「連鎖忘却」というギミックです。現状とはまた違った形で、新しいアイデアがいくつかあるので、別の機会にそれを試してみたいと考えています。

【Q7】オメガは過去の「ファイナルファンタジー」作品に登場したボスですが、オリジナルに忠実でありながら『FFXIV』の独自性を出すためにどのようなことを考えましたか。

「次元の狭間オメガ零式:アルファ編3」でしか見られないギミックになりますが、バトルの時間切れを意味するエンレイジに用意してある「サークル」という攻撃が一例になります。

『FFV』のオメガが使用する「サークル」は、攻撃対象者を問答無用でそのバトルから追放する効果を持つ技でした。しかし、それをそのまま『FFXIV』のギミックには使用できません。単なる即死ギミックになってしまい、面白くならないためです。

そこで考えたのが、時間切れであるエンレイジに「サークル」を使うというアイデアで、オリジナルのイメージを損なわずに実装できます。『FFXIV』でも、プレイヤーキャラクターが異次元へ消し飛ばされる演出として組み込まれています。

【Q8】オメガ戦でプレイヤーに注目してほしいところがあれば教えてください。

今回のバトルでは、やはり最も苦労した部分である「次元の狭間オメガ零式:アルファ編3」にのみ存在する、2回目の「パントクラトル」以降、オメガが狂乱状態になったように見える部分です。オメガの攻撃によって、画面中が攻撃で埋まるシーンをぜひ見ていただけると嬉しいです。また、失敗となってしまいますが、時間切れ演出である「サークル」もぜひ確認してください。

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