【PS VR】『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』ができるまでを開発者に聞く第二弾。制作時の難題への対処法とは?

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【PS VR】『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』ができるまでを開発者に聞く第二弾。制作時の難題への対処法とは?

ボス、ステージ、そしてマルチプレイ──。さまざまな問題をどう解決したのか、ASOBI! Teamスタッフに聞いてみた!

好評発売中のPlayStation®VR専用タイトル『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』は、360度全方向でアクションを楽しめるVRプラットフォーマーだ。PS VRの性能を熟知し、常に新しくユニークなことに挑戦し続ける、ソニー・インタラクティブエンタテインメント JAPANスタジオのASOBI! Teamが開発を担当。PS VRならではの多彩でゲーム内だけにとどまらないアクションが満載されており、1人でじっくり遊べる内容となっている。

この独創的作品の開発工程に迫った前回の記事に続き、”『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』ができるまで”をASOBI! TeamのNicolas Doucet(ニコラス・デュセ:通称ニコ)に直撃! 第二弾となる今回は、開発中の難題にどう取り組んでいったか、具体的な変更やカットした内容について聞いてみた。

新しい体験の探求に無駄はつきもの!

皆さん、こんにちは! 『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』についての新しいお話をするためにPS.Blogに戻ってきたことをとても嬉しく思います。

今日はちょっと特別です。なぜなら、ゲームを制作している間に私達が遭遇した災難や障害について、またどのようにそれらを解決したか(もしくはしなかったか)を明らかにする予定だからです。ビデオゲームのような創造的なコンテンツを開発する時に気を付けるべきことは、仕事のいくつかは必然的に無駄になるということです。物事が正しいと感じるまで、新しい体験の探求が何度も繰り返されるということは、革新的なゲームにおいては特にそうなります。

それでは、あなたのアストロほうきを持って、宇宙ゴミの銀河へ飛び出しましょう。素晴らしいグラフィックを期待しないでくださいね。これらのアイデアは、私達の素敵なアーティスト達に触れられる前にすべて破棄されたので……。

手裏剣ガジェットの楽しさのために作り直した「メカ蜘蛛敵」

まず、火を吐く悪役をイメージして描かれた「大きな脚の敵」から始めましょう。これは私たちがやめた敵で、「メカ蜘蛛敵」と呼んでいます。この火を吐く機械蜘蛛は、主人公の「ASTRO(アストロ)」が最後の一撃を与える前に、あなたが手裏剣ガジェットでその脚を切る必要があります。

しかし、4本、3本、2本、あるいは1本の足でもうまく動かせるようにすることが難しかったし、良い手裏剣打ちの体験を、良いテンポで得るための距離が問題でした。私達は結局、よりシンプルかつ明確に打つことで満足な体験を得られる、竹の敵を選ぶことになりました。

アストロを火で攻撃しようとしている、通称「メカ蜘蛛敵」のプロトタイプ。

カットしたエリアを別のステージで再利用

完全に破棄されなかった場合でも、レベル(ゲーム内に構築する空間や地形)もかなりの量のカットを受けました。幸いなことに、私達のレベルの構築方法のおかげで、大きな部分を切り取り、再調整して別のステージに適応することができました。

そのひとつが溶岩ステージです。当初、長~いステージだったキャニオンステージを、私達は最後の大きな地形部分を切り取って、サイズを少し変更しました。そして岩石をテーマにしたビルディングブロックは、あっという間に溶岩と差し替えられ、その下の水は沸騰する溶岩に変わり、敵は火をテーマにしたものに置き換えられたのです! このように書くと簡単に聞こえますが、決してラクだったわけではありません。それでも最初から全ての要素を作成した場合よりも確実に早かったです。

いくつかのレベルはカットされ、他のエリアの一部として使われた。ここではキャニオンステージの3番目のエリアが、溶岩ステージのために再利用されている。

アストロが突然歌い出す!?

主人公のアストロも、時にはカットの対象となります。アストロがアイドリングしている時、私達は彼にダンスをさせ、ステージの音楽に合わせて歌わせようとしました。しかし、いざ試してみたところ、アニメーションのテンポや音楽スタイルが各ステージで大きく異なっているため、大量のカスタムメイドのアニメーションを作成しなければならないことに気づきました。

アストロがアイドリング中、つまりプレイヤーが操作をしていない時にしか、これらの要素が気づかれることはない──、いささか「わりに合わない」と感じた私達は、環境と立ち往生しているボットのアニメーションをより良くすることに注力しました。

アストロはクールかつグルービ―だが、アイドリング中に歌い踊るには至らなかった。

大きな決断となったマルチプレイのカット

大事なことを言い忘れていましたが、私達の最大のカットはマルチプレイです!

マルチプレイは、常にASOBI! Teamのプロジェクトの中心にあり、その傾向を続けることはチームにとって当然でした。そこで私達は、3人のプレイヤーがアストロと参加して同じプレイスペースを共有し、ステージを通して協力しながら、一方で登り合いや殴り合いをしながら、ふざけられるTVモードを開発しました。それはとても楽しくて、毎朝チームの笑い声が聞こえてくるのは、私達が素晴らしいローカルマルチゲームを作っているというサインでした。

ASOBI! Teamが定期的な朝のプレイでマルチプレイをテストしている様子。

……しかし、VRでゲームをする時、特に1人で遊ぶ時だけはそれほど面白くありません。マルチプレイ用に作られたレベルは大きすぎ、レベルデザインに十分な高さがありませんでした。すべては、TVカメラが常に4人のプレイヤーを画面に入れる必要があったからです。その結果、ゲームはVRを最大限に活用することではなく、TVプレイを優先していました。

すでに18カ月ある制作期間のうち9カ月目に入っており、重要な決断が必要とされていました。マルチプレイは、レベルデザイナー達の創造性を解放するために棚上げされました。

数日経って、その変更は「くらくら通りは工事中」というレベルが新しいベンチマークとして現れることで報われました。VRならではのゲームプレイが満載で、ずっと求めていたテンポが実現したのです。その後は言うまでもなく、もっと多くのレベルが生まれ続けました。

チームに最大限の力を引き出させるためカットされた、不運なマルチプレイモード。

マルチプレイのエピソードは、このプロジェクトにとって困難な時期であり、カットすることが一番難しいものでした。チーム内でもいくつかの議論が生じました。特にそれは、私達が何か価値のあるものを取り除くように感じたからです。しかし、より良いものとするためには、時にこのような決定は避けられないものです。結果としてゲームとチームが新たな領域にたどり着くことを可能にしました。今は全く後悔していません。

皆さんがこの洞察を楽しんでくれたことを願っています。同じような経験をした方がいらっしゃったら、コメントで知らせてくださいね!

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ASTRO BOT:RESCUE MISSION (アストロ ボット レスキューミッション)

・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・フォーマット:PlayStation®4
・ジャンル:アクション(VRプラットフォーマー)
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 4,900円+税
    ダウンロード版 販売価格 5,292円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:A(全年齢対象)

※PlayStation VR専用

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『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』公式サイトはこちら

©2018 Sony Interactive Entertainment Inc.

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