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『グランツーリスモSPORT』山内一典プロデューサー&イゴール・フラガ選手に直撃インタビュー!

by PS.Blogスタッフ 2019/10/28

多数のeモータースポーツイベントが開催された「東京モーターショー2019」で山内一典プロデューサーにインタビュー!

東京ビッグサイトおよびお台場周辺エリアで11月4日(月)まで開催されている、クルマの祭典「第46回 東京モーターショー2019」。本イベントでは、「ジャガー」とのコラボによるピュアEVレースカー「ジャガー ビジョン グランツーリスモ Coupé(クーペ)」のお披露目や、「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ」(以下「FIA GTC」)をはじめとするeモータースポーツ大会など、PlayStation®4用ソフトウェア『グランツーリスモSPORT』による多数のイベントが行なわれた。


「『グランツーリスモSPORT』「ジャガー ビジョン グランツーリスモ Coupé」公開!」記事はこちら



10月26日(土)には、『グランツーリスモSPORT』関連イベントが実施された「FUTURE EXPO MEGA WEB」の会場で、同作プロデューサーの山内一典へのメディア向けインタビューが行なわれた。「東京モーターショー2019」への参加の経緯や今後のeモータースポーツ展開など、さまざまな話題について語られたインタビューの模様をお届けしよう。


株式会社ポリフォニー・デジタル プレジデント
「グランツーリスモ」シリーズ プロデューサー
山内 一典

「FIA GTC」や国体を通じて「フェアでクリーンな競争は人を幸せにする」ことに気づいた

――今回の「東京モーターショー2019」では、『グランツーリスモSPORT』関連の幅広いイベントが実施されました。その経緯について教えてください。


山内:「グランツーリスモ」の大きな目的は、自動車という文化を維持し、広めることだと思っています。同時に、モータースポーツに参加する人たちをこれまで以上に増やしたい、モータースポーツファンの減少に歯止めをかけたいという思いがあり、昨年は「東京モーターフェス 2018」との共催で「FIA GTC」のアジアファイナルを「MEGA WEB」で開催しました。そうした僕らの意志が、「東京モーターフェス」や「東京モーターショー」を主宰する自工会(日本自動車工業会)さんの思いと一致したため、今回もさまざまなイベントが行なわれることになりました。


――イベントの一環として「GR Supra GT CUP」が行なわれました。ご覧になった感想はいかがでしたか。


山内:今回の「GR Supra GT Cup」は、1シーズンにわたって選手たちがずっとオンラインで戦ってきて、その上位ランカーが世界中から一堂に集まって世界一を決めたイベントです。車の差がないワンメイクレースというのはドライバーの実力がそのまま出るもので、そこに参加した世界中のプレイヤーの中で1位になるというのはとてつもなくすごいことなんですよね。結果を見ると、勝つべくして勝ったというか、やはり年間を通じていちばん強かったドイツのヒザル選手が勝利して、スポーツというのはそういう部分を裏切らないなと思いました。



――「FIA GTC」は2シーズン目が終盤を迎えましたが、同イベントに対してはどのようなご感想をお持ちですか。


山内:最初の1年目で気づいたのは「スポーツとは何か」についての新しい知見で、それは「人は誰もが祝福されたいし、誰かを祝福したいのだ」というものでした。そして2年目の今年も新たに気づいたことがありました。人間の不幸せって、貧困であったり、寒かったり、ご飯が食べられないといった形でわりと定義可能ですが、一方で幸せについては人によってさまざまな形があり得て、ひとことで定義するのは難しい。「FIA GTC」を開催してきて、その人間の中に、人と競い、より上を目指す幸せというのもあるんだと改めて気づかされました。「FIA GTC」はeスポーツの一カテゴリーに位置するものですが、極めてクリーンでフェアな競争が行なわれるという点で、さまざまなスポーツの中でもレアな選手権だといえます。自分自身が進歩すること、学習して一段高いレベルに上ることは人間の普遍的な欲求ですが、その結果を知るために行なわれる競争は、フェアに行なわれることが大前提なんです。その意味で、「FIA GTC」のようなクリーンでフェアな競争というのは、人を幸せにするんだ、ということに2年目にして気づきました。


――『グランツーリスモSPORT』がフェアでクリーンなレースを楽しめる理由は、どこにあると考えていますか。


山内:ひとつには「グランツーリスモ」が持っているフィロソフィーやブランドイメージをプレイヤーのみなさんが共有していることですね。この20年にわたる「グランツーリスモ」のカルチャーみたいなものを、プレイヤーのみなさんが子供の頃から共有していることが大きいと思います。また、先ほどのフェアでクリーンな競争、コンペティションが必ず人を幸せにするはずだというのは、僕個人の思いなわけですが、そのフェアさには選手が使えるお金のことも含まれるんです。リアルなモータースポーツはどうしてもお金がかかるので、原理的にフェアにならないんですよね。やっぱりお金のある人が勝ちやすいということになってしまう。これはモータースポーツ以外の、かなり多くのスポーツにおいても実際に起きていることです。自分が向上していくという感覚は誰だって持ちたいはずなんです。でも、世の中って案外フェアにできていないから、どこかで嫌になってしまうということは本当にあると思うんです。けれども「グランツーリスモ」の場合はそれが起きない、ということがすごく大きいんじゃないかと思います。極端な話、タイヤ1セット分のお金で何年間も遊べて、本物のコンペティションができるわけじゃないですか。それはやっぱり他のスポーツとの大きな違いだろうし、その基盤があるから選手たちは心から競争を楽しめるんじゃないかと思います。

『グランツーリスモSPORT』の発表時、僕は「今後100年のモータースポーツをデザインする」という言葉を申し上げました。その思いは今も変わっていません。モータースポーツにはだいたい150年くらいの歴史がありますが、もともとは貴族のスポーツとして誕生したもので、ヨットとか登山、あるいは南極探検や北極探検に似たところがある。貴族が自分たちのプライドをかけて戦うというところが、いってみればモータースポーツの起源でした。それが、時代が変化して1970年代の初めぐらいに、クルマにスポンサーのステッカーを貼るだけでコマーシャルなお金が流れ込んでくるものになり、モータースポーツにとってある種、例外的な時代が訪れました。ただ、その時代は90年代ぐらいに終わっていて、たった20年ぐらいしか続かなかったんじゃないかという気がしています。それで、今またリアルなモータースポーツは元の、選ばれたもののスポーツという姿に戻ろうとしてるんじゃないかという予感がしています。でも「それでいいのか?」と思います。僕らはすでにモータースポーツの素晴らしさを知ってしまったし、それを後の世代にも伝えていきたい。だから、リアルなモータースポーツの進む方向とは違う、未来のモータースポーツを作らないといけない、という思いがありました。それが『グランツーリスモSPORT』を作った理由でした。逆に、そうした理念をいかに保つかも重要だと思っています。変化は容易に訪れてしまいますし、そこをどうデザインするか、僕らは常に試行錯誤を重ねています。いったいどういう文化を作りたいのか、それを実現するためにどう作っていくのかは、自分たちで決めることですから。



――「FIA GTC」も含め、さまざまなリアルイベントを実施する中で、今後新たにやってみたいことは?


山内:たとえば今回の「東京モーターショー2019」では、国体と連動した形でU18の選手権も開催していますが、こうした新しいカテゴリーが増えるのはいいことだと感じています。「FIA GTC」は世界のトップオブトップのドライバーたちが戦う場になっていますが、もう少し、トップよりもう少し下のカテゴリーのチャンピオンシップなんかもやっていきたいなと思います。以前はシニア層の大会もやってみたいとお話ししたことがありましたが、そうした幅広い層へのアプローチもきちんと念頭に置いていて、現状は何を順番に実現していくのかを検討している段階ですね。先ほども申し上げたとおり、クリーンでフェアなスポーツの本質というのは、人間を幸せにするものですし、やっぱりウィナーはたくさんいればいるほどいいんです。


――国体で「グランツーリスモ」の大会に協力して、何か感じられたことはありましたか。


山内:「いきいき茨城ゆめ国体」の文化プログラムである「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI」に参加するまで、僕らは国体というイベントの名前は知っていても、それほど関心があったとは言えませんでした。でも、今回実際に自分たちで経験してみると、各都道府県から代表の皆さんと、そのご家族が集まってきてああいったスポーツが行なわれるというのは素晴らしいことだと思いましたし、それが「グランツーリスモ」のようなeスポーツを通じてこれまで以上にポピュラーになっていくとしたら、それは素晴らしいことだと感じました。今後も機会があれば積極的に協力していきたいですね。


――『グランツーリスモSPORT』の発売からちょうど2年が経った現在、大会もすごく増えてeスポーツがムーブメントと呼べるものになっています。そのことについてどうお考えですか。


山内:昨年はちょっと困惑していたところがありました。6年前にFIAさんとの構想で『グランツーリスモSPORT』を制作し始めた頃は、eスポーツというムーブメントがやってくることはあまり想像していなかったんです。でも偶然、世の中でeスポーツが盛り上がりを見せ、そこに『グランツーリスモSPORT』のローンチや「FIA GTC」の開始が重なって、今のような状況があるのだと思っています。


――今後、「グランツーリスモ」のリアルイベントを、どう発展させていくか、何か展望はありますか。


山内:具体的な目標や数字があるわけではないんですけれど、自分たちが価値があると信じて作っているものを、現に人が楽しんでもらえていることに手応えを感じています。これからも一つひとつベストを尽くして、細かいインプルーブをどんどん重ねていきたいと思っています。


――クルマ業界との協力関係について、『グランツーリスモSPORT』が果たしている役割はどのようなものだと思われていますか。


山内:たとえば、今回「GR Supra GT CUP」が行なわれたGRスープラは、『グランツーリスモSPORT』の中でローンチ以来60万台ほどがゲームの中でユーザーに購入されています。トヨタのGRスープラ開発チームの皆さんはその人々にアンケートを行ない、ゲーム中でGRスープラに乗ったプレイヤーからのフィードバックをもとに次の年のイヤーモデルを作る、という野心的な試みを行なっていて、さらにそれを「GR Supra GT Cup」も含めてこれからも続けていく計画だとお聞きしています。また、今回のGRスープラカップに参加したプレイヤーの一部は、トヨタさんのご厚意で本物のGRスープラをサーキットでテストドライブさせてもらっています。彼らはゲームの中と実際の車の感覚が同じだと言っています。言うなれば、GRスープラが「グランツーリスモ」の中で試乗可能なわけです。

今の時代、ひとつのスポーツカーがあったとして、どのブランドを見渡しても、そのライフタイムを通じて1万台売れる、というのはそんなにないはずなんですよ。でも「グランツーリスモ」の中では60万人が実際に存在するスポーツカーをゲームの中で購入するという経験をしていて、そこでスポーツカーに興味を持った人たちが、いつか実際の自動車のカスタマーになる。それはすごくいいサイクルなんじゃないかと思います。僕は、自動車が好きですし、どうやったらこの文化を維持していけるかを考えています。だから、GRスープラのような試みを他の自動車メーカーさんもぜひやっていただきたいなと思います。


――今後、ハードウェアの進化に合わせて、ここを変えたい、変えられるといった部分はあるでしょうか?


山内:それはすごく複雑な問いです。コンピュータが進化して、それを取り巻く環境や人間社会の変化も同時に起きていて、今はそれらが影響し合いながら相互に変わっていく。それはビデオゲームも同じことで、今の段階で具体的にどうなるとは申し上げられないです。特に「グランツーリスモ」はクルマというある種社会的な存在を扱ったビデオゲームですから。コンピュータをはじめとした技術を基盤とする社会の変化に合わせて「グランツーリスモ」がどう変わっていくのか、僕らにとっても興味深いことです。


今年目指すのはネイションズカップとマニュファクチャラーシリーズのWタイトル! フラガ選手インタビュー

今回のイベントでは山内に加えて、「FIA GTC」の2018年シーズンのネイションズカップチャンピオンで、ヨーロッパで開催されている実際のレースである「フォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ選手権」でも4勝を挙げるなどリアルレースでも活躍するイゴール・フラガ選手にもインタビューすることができた。


「FIA GTC」2018シーズンのネイションズカップチャンピオン、イゴール・フラガ選手



――リアルレースでも目覚ましい活躍をされていますが、「グランツーリスモ」の経験は現実のレースでも役に立っているのでしょうか?


フラガ:本当に役に立っています。リアルレースもだんだん技術が進化しているけれど、ゲームの側もすごくリアルに近づいてきていますから。「グランツーリスモ」にはすごくいろんな車が収録されていて、コースも収録されているので。「FIA GTC」のような大会では1日に2、3回のレースがあって、使用されるクルマもコースも違ったりします。そうした経験を通じて、僕のスキルはすごく向上していると思います。リアルのレースでは週末のあいだはずっと同じ車とコースで走りますが、そこでやっぱりみんなよりタイムが出やすいという感覚を持つのは、「グランツーリスモ」のおかげかなという気がします。


――先日ヨーロッパ選手権で勝利されていたモンツァ・サーキットやレッドブル・リンクなどは、『グランツーリスモSPORT』にも収録されていますね。


フラガ:やっぱり「グランツーリスモ」に収録されているコースは、他のコースに比べて自分でも走っていてちょっと元気が良いなという感覚はあります。カタロニア・サーキットも、予選で雨が降ってしまってセットアップの面がなかなか決まらなかったのですが、レースではけっこういい追い上げができたと思っています。


――今年は「フォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ選手権」に出場されましたが、来期のリアルレースの予定はどうなっていますか?


フラガ:まだ決まっていないです。来年は本当に上を目指しているんですが、モータースポーツはバジェット(予算)的にもすごくコストが掛かるので、いろいろスポンサーを探して決めている途中です。ただ、自分でできる範囲のことはすべてやりつくそう、という思いが自分の中にあるので、最後の最後までがんばっていきます。



――興味を持っているレースカテゴリーはどういったものでしょうか。


フラガ:たくさんあります。いろいろなカテゴリーを調べているところですが、やっぱりF1は夢ですね。ほかではスーパーGTやスーパーフォーミュラにも興味はあります。特にスーパーフォーミュラは、見ているだけで横Gがやばいなって感じますし、すごく興味があります。


――現在、F1ではフェルスタッペンやルクレールのように、フラガ選手と同年代の選手も活躍しています。彼らを意識していますか?


フラガ:やっぱり意識はします。今後はスーパーライセンスポイントのルールが変わって、チャンピオンにならないとスーパーライセンスは獲得できないので、自分と同じ20、21歳とかの若い選手がF1に乗るのは難しくなってきていますが、僕と同じ世代の人たちは、シミュレーターやeスポーツをリアルのレースと一緒にやっていて、それがすごく効果があるんじゃないかと思っています。


――「FIA GTC」では昨シーズン、ネイションズカップのチャンピオンを獲得されました。FIAの表彰式はいかがでしたか?


フラガ:まるで夢を見ていたような気分でした。表彰式はロシアで行なわれたのですが、ハミルトン、ベッテル、ライコネンといったF1ドライバーの方々をはじめ、FIAに認定されているいろいろなカテゴリーのトップドライバーが表彰されていて、そんな重要な方々と一緒にプライズをもらうことができたので本当に夢のようでした。


――今シーズンも「FIA GTC」に参加されていて、何か違いを感じる点はありますか?


フラガ:他の選手の意気込みが違うように感じますね。やっぱりみんな一生懸命がんばって練習しているので、昨年走ったときよりも速くなっていると本当に感じます、自分ももっとがんばらないといけないなと思います。僕個人としては、これまでと同様に常に自分のベストをつくすこと、去年より強くなることを目標にしています。今年はできればマニュファクチャラーとネイションズカップ、両方のタイトルを獲得したいと思っています。といっても、すごく難しいと思いますが(笑)。でも、マニュファクチャラーのチームメイトもすごく頼もしいですし、がんばります。


――次の「グランツーリスモ」があるとしたら、何か期待することはありますか?


フラガ:今の『グランツーリスモSPORT』はオンラインのレースがメインで、それがすごく楽しい反面、大会とかに出ているとプレッシャーとかもすごくあって(笑)。もうちょっと、過去のシリーズにあったようなオフラインモードのような、気楽に遊べる「グランツーリスモ」も欲しいなという気持ちはちょっとありますね。


――日本でも応援しているファンに、メッセージをお願いします。


フラガ:友達も、日本のライバルも含めて、いろんな人達にサポートを受けていて、ありがたいと思っています。今後も上を目指してずっと頑張っていきますので、応援し続けてもらえると嬉しいです。



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グランツーリスモSPORT PlayStation Hits
グランツーリスモSPORT Spec II

・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・開発元:ポリフォニー・デジタル
・フォーマット:PlayStation 4
・ジャンル:リアルドライビングシミュレーター
・発売日:好評発売中
・価格:グランツーリスモSPORT PlayStation Hits
     パッケージ版 通常版 1,990円+税
     ダウンロード版 通常版 2,189円(税込)
    グランツーリスモSPORT Spec II
     ダウンロード版 通常版 3,190円(税込)
・プレイ人数:1~2人(オンライン時:1~24人)
・CERO:A(全年齢対象)

※PlayStation®VR対応
※PlayStation VRでプレイする際の対象年齢は12才以上です。

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