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津田大介が語る インディーズゲームのクリエイティビティと可能性

2014.11.26

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津田大介が語る インディーズゲームのクリエイティビティと可能性

CDや映画など、「独立系」制作会社がつくるインディーズ作品。実は、ゲームの世界でもインディーズとして制作されたものが数多く存在します。そこで今回、大のゲーム好きでネットやデジタルをとりまく社会現象に造詣の深い津田大介さんに、インディーズゲームの価値と可能性について伺いました。

■インディーズゲームの広がりの背景には、やはりSNSがあった

小規模なチームや個人がオリジナリティ溢れるクリエイティブを提供しているインディーズゲームの世界。オンラインで販売される場合が多く、無料のものから有料のものまで幅広く存在し、手を伸ばしやすいものが多いことはもちろんですが、近年の急激な広まりは、津田さんいわく昨今インディーズゲームが広がりを見せている背景には、別の要素も大きく関係しているそうです。

「『マインクラフト』なんかがいまFacebookやYouTubeで拡散されていますよね。かつてだったら『シティビル』とか……街づくり系のゲームというのはプレイヤーそれぞれの個性が出やすいし、そのなかでの競争も起きてくるので広がりやすい。上手な人がプレイしているのを見るのは面白いですから。それはかつてアーケードゲームで、凄腕プレイヤーの後ろに人だかりが出来ていたのと同じことが言えるわけで、それが今ネット上で起こっているというのはごく自然なことですよね」

津田大介が語る インディーズゲームのクリエイティビティと可能性

――『マインクラフト』は、もうインディーズの領域を超えていますよね。プレイ動画を見ることはゲームの楽しみかたのひとつですが、他の業界でも似たようなことは起きているのでしょうか?

「現在ゲーム業界で生まれている現象は、音楽界で言えばEDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)のブームとリンクする部分がありますよね。あの市場の少し特殊なところは、中心になっているのがDJである点です。今年の9月末に「ULTRA JAPAN」という音楽フェスが開かれましたけど、商業的にも大成功を収めたわけで……。演奏しているミュージシャンよりも、音源を選んでプレイするDJたちのほうが高収入という事例も多いんです。ゲームを選んでプレイして、その動画を配信するというゲーム実況と、DJは似ていますよね」

――「このDJがプレイしている」というキッカケで新たなミュージシャンを知ることもありますよね。ゲーム実況を観て、「これは……」と興味を抱く人も多いと思います。

「またApp Storeとかでも、人気アプリ紹介サイトで発売後いかにすぐ取り上げられるかが勝負という世界になってきているじゃないですか。広めるインフラ、稼ぐインフラが出来たと同時に、稼動競争みたいなものも生まれている。稼動競争のなかでいかに広めていくかは、ネットであればソーシャルメディアをいかに使うかという話になります。それは音楽でも出版でも同じことが起きていますしね」

――たしかに、SNSで各出版社が人格際立った会社アカウントを開設したり、ミュージシャンが音楽ファイル共有サービスなどに自ら新曲をアップして宣伝するのも珍しくなくなりました。

「Twitterで言えば、本の著者本人が書き込んで宣伝したほうが効果的だという考え方もあります。こうした考えは2010年くらいから広がり始めましたが、いまではもう当たり前。『もしドラ』が270万部売れたのも、ネットでの話題作りや緻密な拡散戦略の賜物だと思うんですよ。メジャータイトルは勝手が違いますが、インディーズで活動しているクリエイターたちには、そうした広報戦略が重要な時代になってきているなと思います。上手く使えば、インディーズでも認知度を上げることができるわけですから」

■インディーズはクリエイターにとって絶好の表現の場

――『風ノ旅ビト』、『オクトダッド』『Pull Me Push You』など、近年多くの話題作が登場しているインディーズゲーム。こうしたゲームは比較的低い予算と少人数で作られている傾向があります。津田さんが分析する背景とは?

「まず大きいのは『Unity』のようなゲームエンジンの登場ですよね。昔は一つのゲームを作るのに莫大な資金が必要だったのが、いまは初期投資が比較的少なくてすむ。しかもそのソフトが優秀。開発環境は整ったことで、少人数のチームでゲームが作れるようになりました。音楽では"プロツールズ"という革命が起きてレコーディング費用が劇的に下がりましたが、その構図とまったく同じですよね」

――優秀で比較的安価な作成エンジンが登場したことによって、クリエイターになれる人の数も増えたということですか。

「ソーシャルゲームでいえば、僕がここ1年くらいやっているセガの『チェインクロニクル』がいい例ですね。第一章ずつ提供されていて、クリアしてしまったら二章が配信されるまで待たなくちゃいけない。その間はイベントとかでつないで、第二章がでたら進めるという……。あれもたぶん第一章が成功したから第二章が作られたんだと思うんですよ。成功したから開発資金を投入できた。すごい開発資金をかけたら失敗できないじゃないですか。途中までエンジンがしっかりしたものを作って、人が集まったら続編をつくっていくみたいな。開発のフレキシビリティは確実にあがっていますよね。だから、時間のある大学生がゲーム制作に目覚めて、ヒットを生むことも十分ありえます」

――こうした背景からクリエイターたちの表現の幅が広がるということもありえますか?

「そうですね。クリエイターがわかりやすさを気にせずに、世界観を自由に提示するのは昔にくらべてやりやすいと思います。例えばコアなアニメが好きな人は、所属するアニメサークル内で楽しみを共有するしかなかった。それがネットでシェアされて広がることによって、同じ趣向を持った人が集まってくる。オフラインで発表しても広く普及しないような情報が、どんどん共有されていくんです。求めている人たちに届きやすくなったということは、尖った表現も受け入れられやすいということで……。多様性の時代ですよ」

■インディーズとメジャーを行き来しろ!

――開発においても宣伝の手法においても、インディーズゲームが広がるプラットフォームはすでに出来ているという津田さん。さらに普及するためには、いったい何が必要でしょうか?

「かつてレコード会社には3つ機能があると言われていて……一つ目は発掘で、いかに素晴らしい才能を確保するか。次に資金ですね。膨大な制作費を工面する。最後はプロモーションして世の中に広める。いまは発掘もネットで出来るし、"プロツールズ"をはじめとするソフトで制作費もさがって、広めるのはソーシャルになっていった。ゲームの世界もそうなりつつある。だからあとはパブリッシャーの積極的な支援があるとより良いですよね」

津田大介が語る インディーズゲームのクリエイティビティと可能性

――そうすることでインディーズの価値が押し上げられる?

「価値というか、まずメジャータイトルがあるからこそインディが面白いわけで。漫画家であれば、同人からメジャーの漫画誌で描くようになっても、平行して同人でしかできない表現を続けたりしている。メジャーのゲーム会社がインディ市場をコミットしてすみ分けて支援することで、双方が育っていくみたいなのが望ましい。インディーズとメジャーを行き来するようなクリエイターがいれば、色んな層に向けてゲームが作れるということです」

――やはり支援が重要ということですか。

「そういうクリエイターの生活を支えることで、ゲーム業界面白いってみんなが思う。それは他業界からもです。メディアアートとかハリウッド、ITなどで活躍する面白い人をしっかり捕まえられるか、またその人たちが創造性を発揮する場所を提供できるか。これが可能になれば、インディーズシーンは様々な表現のハブになる可能性がありますよね」

■PlayStation®4(PS4™)の"SHARE"機能がインディーズを後押しする?

――PS4™からゲームプレイの模様を配信できる"SHARE"機能。インディーズのみならず、ゲーム業界全体に与える影響はどのようになると思いますか?

「音楽はライブ体験というバリューがあったんですけど、ゲームにはなかった。それを今やっているのがゲーム実況なんですよ。でもその場合、開発者じゃなくて遊ぶ側が主役になる。ゲームを遊ぶ人が主役なんです。音楽でも同じことが過去にイギリスで起きて、セカンド・サマー・オブ・ラブ(80年代の英クラブカルチャーを代表するムーブメント)はリスナーが主役だったわけです」

――まさに遊ぶ人の時代ということですね!

「つまり、ゲーム実況は、ゲームのニューウェーブと捉えることができる。遊ぶ側が主役だから広がっていく。みんなが広げていく。だからクラウドファンディングみたいのが生きてくる。アーティストもクリエイターも好きに作る、そして広めるのは、みんなだよって。PS4™で"SHARE"が出来るようになりましたけど、あれは時代にあっていますよね。ゲームは音楽と同じ繰り返し楽しまれるコンテンツなので、最強なんですよ。これからが楽しみですね」

<プロフィール>
津田大介(つだ・だいすけ)
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。1973年生まれ。大阪経済大学客員教授。京都造形芸術大学客員教授。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。フジテレビ「FNNスーパーニュース」"スーパーネットNAVI"プレゼンターなど様々なメディアに出演。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『Twitter社会論』(洋泉社新書)、『未来型サバイバル音楽論』(中公新書ラクレ)ほか。

最新 注目インディーズゲーム

『Never Alone』

『Never Alone』

© 2014 Upper One Games LLC. All rights reserved.

アラスカの原住民コミュニティの協力を得て制作された、パズルアクションアドベンチャー。アラスカの伝承民話「クヌーサーユカ」をベースとし、高いストーリー性が魅力。狩りの好きな少女ヌナと、相棒であるホッキョクキツネを操り、北極圏の大地を冒険せよ!

配信日:2014年12月4日予定
販売価格:1,500円(税込)
ジャンル:パズルアドベンチャー
フォーマット: PS4™
販売形態:ダウンロード
CERO:A「全年齢対象」
プレイヤー:1~2人

『オクトダッド -タコと呼ばないで-』

『オクトダッド -タコと呼ばないで-』

©Young Horses, Inc.

主人公・オクトダッドが、タコであることを家族に隠しながら生活するという、奇天烈な設定のアクションゲーム。グニャグニャ伸びる触手で階段を登ったり、熱心な寿司職人に狙われたりと奇想天外な毎日…。果たして、タコだとばれずに平穏な毎日を過ごせるのか。

配信日:2014年秋予定
販売価格:未定
ジャンル:シミュレーション
フォーマット: PS4™
販売形態:ダウンロード
CERO:審査予定
プレイヤー:1~4人

『One Upon Light -影の向こうへ-』

『One Upon Light -影の向こうへ-』

© 2014 Singapore University of Technology and Design

モノクロの世界で周囲のさまざまな物を操りながら、影から影へと渡り歩くアクションパズル作品。なぜこの場所にいるのか、なぜ光を恐れなければならないのか、主人公はその理由を探す旅に出た主人公に待っている結末とは?

配信日:2014年末予定
販売価格:未定
ジャンル:パズルアクション
フォーマット:PS4™
販売形態:ダウンロード
CERO:審査予定
プレイヤー:1人

『TorqueL』

『TorqueL』

© FullPowerSideAttack.com All Rights Reserved. © Active Gaming Media Inc. All Rights Reserved. PLAYISM, the PLAYISM logo and other related images are registered trademarks of Active Gaming Media Inc.

箱の回転と変形でゴールを目指すシンプルかつ奥深い2Dパズルアクション。シンプルなビジュアルとは裏腹に、ゴールにたどり着くのは至難の業。2013年にプロトタイプ版が公開されてから、インディーズゲームファンの間で話題になった同作はプレイ必須!

配信日:2014年末予定
販売価格:1,000円(税込)
ジャンル:パズルアクション
フォーマット:PS4™、PS Vita ※クロスバイ予定タイトル
販売形態:ダウンロード
CERO:審査予定
プレイヤー:1人

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