居酒屋座談会 ~続編を開発してます:前編~

「or2」でまさかの前作超えを果たした「勇者のくせになまいきだ。」。ますは開発チームのアクワイアさんとSCEJの黄金タッグにインタビューを敢行(もちろんアルコール込み)!「or2」発売後の身の回りの変化や、最新作に関する情報等マル秘ネタ満載でお届けします!

現代の「勇者」の代名詞、「勇なま」シリーズを振り返る

まずは前作の話を少しお伺いします。「or2」が発売されてからのユーザーの反響がかなり大きかったですよね。ネットでもすごく盛り上がっていましたし。

大橋
ああいう書き込みを見てると、やっぱり面白いですよね。こちらが意図していない感想もあったりして。
山本(正)
概ね好意的だったしね。

手ごたえとしては、「1」よりも「or2」のほうが大きかったですか? セールスでは「or2」のほうが売り上げは高かったですけど。

山本(正)
まさかの前作超えですからね。「1」の受け入れられ具合がかなり特殊だったから。そういう意味では「or2」も期待を裏切ってないよなぁ、と発表した当時は思いました。
小林
「1」から「or2」に流れていくときの盛り上がり方が、すごく良かったですね。

逆に「1」であれだけ反響があったのは予想外だった感じですか?

一同
う~ん……。
小林
僕は予想外でしたよ(笑)。
宮崎
僕もひっそりと……。
山本(正)
まぁ、ひっそりと消えていくのかなぁ、っていう感じはあったかな(笑)。でも体験版を出してから流れが変わって、「タダもんじゃない盛り上がり感」みたいなのはあった。
大橋
でも僕は「もしかすると……」っていう期待感は「1」の時からありましたよ。要素は色々と揃ってるし。
山本(正)
確かに、ネットでの盛り上がりを見て「(セールスが)10万越えあるな……。10万越えあるな!」って2回思った記憶が……。
大橋
その当時は「勇なま」と似たタイトルがなかったので、「実際に人気が出るのか?」みたいな不安は皆にあったと思います。でも月日が経つにつれて、だんだん数字が見えてきて。

今では「勇なま」に似たタイトルがいくつか出てきて、元祖的な位置に立っていますよね。

山本(正)
似ているも何も「勇者押し」の企画が増えたってだけだから……。「似てる」って言うと失礼だよ(笑)。やっぱり、これまでのゲームがあってこその「勇なま」なので、元祖は僕らではなくそのゲームたちですよ。
宮崎
「一番最初にパロディを取り入れたゲームなんだぞ!」っていう。
山本(正)
そういう意味の「元祖」か(笑)。それも別に無くはないもんなあ。でも、ほかのクリエイターさんもきっと、コンスーマーでドット絵で表現したゲームを作りたかったんだと思いますよ。でも、それがウケるかどうか半信半疑のままで、そこで「勇なま」が発売されて結構ウケるんだっていうのが分かったというか。そういう部分での反響も大きかったんじゃないかな。

ユーザーだけでなく、ゲーム業界にも影響を与えたということですね。わかります。そういえば皆さんは、「1」を作っているときから頻りに「モテたい!」ということを仰ってましたが、「or2」の発売後にモテるようになりましたか?

山本(正)
いや、それが全然……。
小林
宮内君は、「勇なま」チームに参加してから、モテるようになったらしいですよ。
山本(正)
まじで!? あ、宮内君は今回から「勇なま」チームに参加してもらったプランナーです。
宮内
よろしくお願いします。
小林
色んな女の子を紹介されるし、合コンの数も増えたって!
宮内
でも、その娘たちには全然「勇なま」を作っている、とは言ってないですよ! でも何故かモテるんです……。
山本(正)
つまり、自分のポテンシャルだと言いたいんだな。
宮内
いや、そういうつもりじゃあ……。

3作目にして、ようやく芽が出ましたか。おめでとうございます!

山本(正)
ピンポイントな反響や手ごたえは結構あったよね。アクワイアさんは新社屋に移ったし……。

それは「勇なま」で儲かった、ということですか?

宮内
「勇なま」とか、その他のタイトルで(笑)。でも今年は、「勇なま」に憧れて入ってくる新入社員の人がすごく多かったんですよ。
小林
僕は子供と遊んでいるとき、近所のお母さんに「そのゲーム知ってる! 子供に買いに行かされたわよ。」と言われたんですよ。その子供が次の日に僕を見て「ガジガジムシでしょ?」て言ってくれたのが、すごく嬉しかったですね。「勇なま」が売れてるんだな~、と実感しました。
山本(正)
子供と言えば、陽明君は2人目が生まれたし、大橋君のとこもお子さんが生まれたんだよね。これ、お祝い渡すの忘れてた。おめでとう!

プレゼントを受け取る大橋さん

大橋
ありがとうございます!

「or2」発売後は、皆さん良いこと尽くしだったんじゃないですか。

山本(正)
そうですね。反響と言えばウチの社内に「勇なま」ファンがすごく多かったことに気づいたんですよ。社内報でも特集を組んでいただきましたし。綺麗どころの女性の方が結構遊んでくれていて感無量でしたね。
大橋
身近にファンというか、支援してくれる人がいると非常にやりやすいですね。

女性がファンの存在が判明したなら、山本(正)さんも充分にモテ体験をしたんですね。

山本(正)
生まれて初めて、サインを書かせていただきました。あれは気恥ずかしくもウレシイもんですね。

……とりあえず、奥様に謝っておいたほうが良いと思いますよ。

「or2」から「3D」へ。飛び出すのか、出さないのか!?

それで今回、最新作の「3D」が発表されたわけですが、構想はいつ頃からあったんですか?

山本(正)
「or2」が終わって海外版の制作を始めたあたりだから、本格的に動き出したのは今年の2月頃かな。「or2」は基本的に、「1」と比べて勇者は2.5倍! 魔王軍は3.3倍! とか、ボリュームアップすることをメインに制作していったんですね。ものすごく刻んだ数字でアピールしましたけど(笑)。
小林
普通、小数点なんか付かないですよね。
大橋
なんて男らしくない!
山本(正)
でもまあ「or2」から「3D」になったときにどうしようかっていうのが、大橋君も迷っていたところだよね。
大橋
ダンジョンを真剣に3D化にしようっていう案もあったんですけど、結局は2Dのままに落ちついて。
小林
2Dのままなのに、タイトルには「3D」(笑)。

今回のアイテムは「3Dメガネ」

その「3D」というタイトルにちなんで、今回はこんなアイテムを用意してみました。

一同
おお~。上手く作れてる!
(林さん手作りの3Dメガネをかける一同)
小林
皆「POLYSICS」みたいでカッコイイ!

その3Dメガネをかけてもらったところで、皆さんこれを見てください!

山本(正)
あー、出てる出てる。薄~く出てる!
小林
この動物のほうが出てますよ!

「出てる!出てる!」3Dメガネ体験中

大橋
ホントだ、出てる!(笑)
(7人の大人が手作り3Dメガネをかけ、数枚の絵を回しあいながら「出てる、出てる!」と叫ぶ異様なテーブル席。しばし店員がオーダーを取りに来ることはなかった……)

やはり「3D」と聞くと、ユーザーはまずこれをイメージするんじゃないかなってことで作ってみたんですが……。あ、もう外してくれても良いですよ。

山本(正)
そうですよね。でも「勇なま3D」は残念ながら、飛び出たりはしません(笑)。

「3D」の真相が明らかに。今回は3種類のダンジョンが存在する!!

タイトルの話に戻りますけど、「3D」というのは「3種類のダンジョン」を表しているんですよね。

山本(正)
そうです。タイトルをどうしようかって話が出た時、最初に大橋君からもらった企画書にすでに「3D」と書いてあったんですよ。3次元の意味ではなくて、ダンジョンが3種類あるから「3D」と呼ばせる裏切り方が、「勇なま」っぽくて即決でした。
小林
まず3種類のダンジョンを思いついてから「3D」と付けたんですか? それとも逆に「3D」が先で、そこからダンジョンの種類を増やしたんですか?
宮崎
どっちにしろ、思いつきだったような気がするけど。
大橋
でも先に、3種類のダンジョンを作ろうっていう流れがあったと思う。

水の概念が斬新な「メインダンジョン」

その3種類のダンジョンについてですが、どういうものが用意されているのでしょうか?

山本(正)
まず「メインダンジョン」に関しては、前作までの「ストーリーモード」にあたる部分で、基本的に「or2」までに搭載されているシステムを削がないようにして、新たに「水」という概念を加えました。「3D」では土を掘ると水が流れ出すんですけど、それで水棲魔物が生まれたりします。陽明君は水棲魔物を何体くらい描き起こしたんだっけ?
小林
純正な水棲魔物としては4種類で、そこから派生する魔物を入れると相当な数になると思います。

なんかクジラとかもいて、バリエーションが多そうですよね。今回、水の概念を入れたのは、「やはりビオトープには水が大切だ」というところに着目したからでしょうか?

「水」の概念が加わったメインダンジョン

大橋
実は「or2」の頃から水の重要性には気づいてたんですけど、「1」から「or2」へ移行するにあたって、水よりも突然変異のほうがよりマッチしていたんで、そちらを優先したんです。
山本(正)
遊ばせる段階としてね。まあ、生態系とかビオトープとか言っているんだから、「水がなきゃね」というのは確かにある。
大橋
それとその当時、ユーザーフレンドリーに水を使わせるというアイデアが正直思い浮かばなかったんですけど、「or2」が終わった段階で閃いたので、「3D」で入れようと。
宮内
水の要素は、はたから見れば不安でしたけどね。面白くなるとは思ったんですけど、かなりインタラクティブ過ぎる要素なので、(作風が)急に変わっちゃうんじゃないかなって。今はそんな不安は全くないですけど。

水が及ぼす影響は魔物だけなんですか? 例えば勇者が溺れるとか……。

山本(正)
溺れることはないですけど、使えないスキルがあったりするよね。水棲魔物は水以外の場所だと体力が削られて生き続けられないし。逆に水を凍らせるスキルを使う勇者もいるよね。

水の要素を入れることで、ユーザーに「こう遊んでもらいたい」という狙いは?

大橋
具体的にはないんですけど、初期の目標としては「1」から「or2」にかけてはボリュームアップはしたけれど、触り心地に変化はなかったので、「3D」ではそこを変えてあげたいという思いがあって。それによってファンも、より楽しく遊んでくれるだろうと。
山本(正)
単純に触り心地が良いし、相当新鮮だと思うけどね。やることは□ボタンを押しているだけなんだけど、ダンジョンの中を水が勢いよく流れていくのは、見ていて壮観ですよ。それに「1」と「or2」はピンポイントに魔物を誘導したいんだけど、そう簡単にいかないじゃないですか。その隔靴掻痒感というか、歯がゆいのが「勇なま」の面白さではあるんですけど、水の要素はそれをバランスよく突破する一発逆転的な要素にもなりますね。
大橋
今までとは考えるロジックが変わってきますね。
小林
今回触ってみて、どうしても水棲魔物に集中しがちじゃないですか。そこで初めてコケとかのありがたさを感じました(笑)。
山本(正)
だから「1」と「or2」で満腹になったコアなファンの人たちも、「3D」ではまた全く新しい食べ物を食べる感じになるんじゃないかな。
大橋
狙いはまさにそこですからね。前作までじっくり楽しんでくれた人も、「3D」は絶対の楽しいので。
山本(正)
料理で例えるとしたら何かな?
小林
寿司を食べたあとのカリフォルニアロール?
宮崎
ちらし寿司?
大橋
ヅケ丼は?
山本(正)
何で寿司系に流れているのかが分かんないけど……。

ちらし寿司とか食べて、最後にお茶漬けが出た感じ?

一同
おっ!?
宮内
「ひつまぶし」的な?

そうそう!

小林
うな重しか食べたことない人が、ひつまぶし食べたときは結構衝撃ですもんね。
山本(正)
いや、同じ地鶏なのに、某知事が宣伝したら味がちょっと違うみたいな感じでしょ!
宮内
それは気のせいですよ……。
山本(正)
……でも確実に遊びごたえは変わっていますよ。TGSバージョンをプレイしてもそう感じるもん。ステージ3つやっただけでも「あら~!?」って、違いが分かるはずです。
宮内
戦略が変わりますからね。
山本(正)
そう。今まで構築していた土台がいい意味で崩れる!

「メインダンジョン」では3段階の難易度が設定されているのも、「勇なま」では初の試みですね。

大橋
やはり、より多くのユーザーさんに「楽しい」と感じてほしいという思いが強くて。人それぞれに得意不得意はどうしてもあるので、「苦手だけど興味がある」って人にも楽しんでもらうためには必要だと判断しました。
山本(正)
ワンバランスですべてを賄えるのが、ゲームデザイン的には一番美しいんでしょうけど、それでクリアできない、もしくはクリアに途方もなく時間がかかってしまうようではいけないんじゃないかな、と思って。「勇なま」のコアなファンは遊び方そのものを発明してくれる人たちなので、どこまでも遊んでくれるじゃないですか。だからむしろ、新しいユーザーさんにどう楽しんでもらえるかを考えた時に、サクサク進む「メインダンジョン」があっても良いんじゃないかなと。
宮内
挫折者は作りたくないですからね。僕が最初に「1」をプレイした時、すごく難しかったんですよ。でも、やっていくうちにコツを覚えていったという経験があるので、間口を広げて多くのユーザーさんに、その快感を味わってほしいです。そこで楽しいと感じてもらえれば、高い難易度にもチャレンジしてくれると思うので。
大橋
それが結果的にコアなユーザーにもかえってくると思うんですよ。よりユーザー層が広がると、「○○○ダンジョン」で楽しめる機会が増えると思うし。
山本(正)
最近のゲームは、ネットとかで攻略情報を簡単に拾えるけど、決してそういう環境が整った人ばかりでもないと思うんですよね。その人たちが自力で何か解法を見つけるとなったときに、礎となるものはハナからゲーム側で用意しておかなければいけないな、と思います。

プレイする度に遊び方が変わる「まいにちダンジョン」。そしてファン待望の……!?

続いて「まいにちダンジョン」について伺いたいんですが、これは前作で言うところの「チャレンジ」や「トレーニング」に位置するものなんですか?

山本(正)
そうですね。「チャレンジ」なんかは、ぼちぼち目的やネタが尽きてきて、バリエーション出すのにどうすればいいかという問題があって。今回はそこを自動生成ダンジョンにして、また新風を吹き込もうと。ま、最大の問題は、ネタ担当大臣の宮崎君が力尽き、別のプロジェクトに旅立ったことに端を発するという。
宮内
で、その尻拭いを僕がしているっていう……。宮崎さんの意見をさらに取り入れて、より面白く。

自動生成ということですが、これは同じステージでもダンジョンの構造が全く違うっていうことですよね。

宮内
ダンジョンの形はもちろん違いますし、出題されるステージの順番もプレイする度に変わるんですよ。それによって難易度も変化するので、攻略方法が変わって何度プレイしても面白いですよ。ひとつのミッションがサクッと終わるのも非常に気持ちが良いですし。ダンジョンマネージメントをそこまで気にしなくても遊べるのが、今までの「勇なま」になかった大きな魅力になると思います。
山本(正)
「メインダンジョン」とは遊び方が違うよね。基本は「3D」も支えてくれるであろうコアな「勇なま」ファンを大事にしつつ、新しいユーザーさんやライトユーザーの方にも楽しさを体感してほしいんですね。少し触るだけで「勇なま」の面白さは充分伝わりますから。「まいにちダンジョン」は、お手軽にダンジョンを掘る気持ち良さを味わっていたい人たちにオススメです。途中で息詰まったり、自分なりの攻略法を考える必要があまりないので。今までの「勇なま」とは違った付き合い方ができる、新しい形なんじゃないかな。
大橋
「1」とか「or2」に比べて、触るだけで楽しいシステムになってると思います。

では3つめの「○○○ダンジョン」についてお聞きします。といっても、これについてはまだ、詳細は明かせないということですが、ヒントだけでも是非!

宮内
例えるなら「人にやさしく、そして厳しくなれるダンジョン」でしょうか。
山本(正)
ワケわかんないよね(笑)。

ファンが最新作で「あればいいのに」と思っているのが、どうやらこれになりそうですね。きっと多くのファンが喜ぶはずですよ。次の更新を待て!

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